421話 汚い湖
狭い道を抜けると――遠くまで広がる湖が見えた。
これまで見たなかではるかに上回り、茶色く濁っていた。
思っていたよりデカすぎだろう……。しかも泥臭い。
底には大型の魔力反応が数体ある。
その魔物が危害をなければいいのだが――。
「ここを管理してると言ったな、クズ野郎の命令と言うがお前が管理する必要がある?」
「こちらを見てください――」
兄は湖に近づくいて手を入れる。
手には光り輝き、周りは透き通った水に変わる。
「【浄化】のスキルを使えるのか?」
「はい、このスキルは僕しか持っていなのです。それが理由です。ただ……あまりにも濁っていて【浄化】が追いつきません……」
「なるほど、ここの湖は生活用水として使っているのか?」
「そうですね。主に身体を洗うのに使っています。今は小さな川を使っていますが、のびのびと洗えないですね……」
妹も同意見なのか頷く。
ユニコーンはきれい好きってことか。ほかの場所を確保したがダメなのか。
「それであのクズ野郎は早くきれいにしろと?」
「はい、ですがみんなのためにきれいにしております。愚か者のためではありません」
これも断らない理由の一つになるか。
しかし……【浄化】スキルを持っていてもここまで大きいと無理がある。
続けていたら魔力を使い果たしてぶっ倒れるぞ。
「濁ったのはいつくらいだ?」
「黒い球体が現れたときですね」
「ここには来ていないよな?」
「はい」
来てはいないのか。だが周辺には何かしらの影響はあったのかもしれない。
それじゃあ、暗くなる前に早く終わらせるか。
「ウチに任せて……」
マイヤはスライムの姿になると、高く――遠くの方に飛んで湖の中に入った。
そして身体を輝かせて【浄化】を開始する。
マイヤの周囲は徐々に透き通ったきれいな水に変わっていくき順調だ。
さて、俺も奥の方に行って【浄化】を――。
そのときだった――底にいる大型のらしき魔力反応は小刻みに動き始める。
微かに鈍い音と小さい振動が伝わってくる。底――地面の方で暴れている。
次第に湖は大波が発生し、マイヤは流されて陸の方に移動された。
【浄化】した場所は波とともに混ざり合い、元に戻る。
「邪魔された……」
マイヤは不満げな様子だ。
まさか湖を濁しているのはそいつか……。
「一応聞くが、底のいる奴はわかるか?」
「恐らく巨大なナマズだと思います」
「湖の中に入って危害を加えたりとかしないのか?」
「いえそんなことは、一度もありません。普段はおとなしいのですが、黒い球体が現れたあとは暴れることが多くなりました」
元凶が確定しました……。多分だが、厄災級を察知して本能的に危ないと思い、気が狂っている状態かもしれない。
本当かわからないが、ナマズを除去しない限り濁ったままだ。
「ナマズは倒しても大丈夫か?」
「全然問題ありません」
「わかった、魔法を使うからマイヤ以外危ないから遠くに離れてくれ、安全の保証がないからな」
兄妹とリヴァは俺の指示に従い、湖から離れ――森の中に入っていく。
俺たちが見えないところまで行ったなら思う存分魔剣を使える。
もちろん魔法を使うのは噓、湖が大惨事になるからだ。
魔剣ならあっという間に終わる。
「マイヤ少し待っていろよ――」
俺は右手に雷の魔剣を出して湖に突き刺し――。
「――――雷波!」
湖全域は紫色の雷が全域に走り――周囲が眩しいほど雷光を放つ。
底まで通ったのか、大型の魔力がなくなり、感電させて倒せたみたいだ。
発動を止めると、大きな紺色の物体――ナマズ5匹がゆっくりと浮かんできた。
思ったより大きいな、クジラくらいあるぞ。
再度、確認して湖の中には魔力反応はない。
「マイヤ、早く終わらすぞ」
「うん……」
マイヤは【人化】になり、俺たちは水の魔剣を出し、湖に入れ――【浄化】を発動させる。
一瞬で濁りが消えて透き通っていき、ものの数分で全域をきれいにできた。
さすが水の魔剣、【浄化】の能力が発揮してすぐに終わった。
あとは確認だ。
魔剣を解除して、お3方を呼ぶ――。




