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415話 不審者①

この回は領地での話になります。


 レイが留守をしている領地では何も変わらない日々が続いていた。

 騎士が警備しているが、今のところ平和である。 


「ラ~ラララ~」


 集会場ではオーロラが歌を小人たちに披露していた。


「主の歌声、いつ聞いても美しい……」


 リヴァはいつもどおり心酔してオーロラにメロメロである。


 その中に休憩をしている2人の騎士も聞いてお茶を飲んで満喫していた。


「平和だな……本当に変な奴なんて現れるのか?」


「いいじゃないか、平和で終わるなら一番だ」


「そうだな、王都とは違って、のんびりできて気が楽だ」


「グランドマスターがいるからあまり気を抜くなよ。団長に報告されて大目玉くらうぞ」


「ハハ、そうだな。オーロラ嬢の歌を聞いたら休憩終わりだ」


 歌はクライマックスに近づいたそのときに――。


「ククク……何も被害が起きていないのはおかしいですね……」


 突如、何もないところから黒いロープの男が現れた。顔はやせ細って健康とは言えないほど肌が灰色であった。

 周囲はどんよりとした空気に包まれて、静まり返る。

 みんなは思った――この世にいてはいけない存在だと。


「これは……マズいぞ……。早く応援を呼んでくれ!」


「わ、わかった!」


 1人の騎士は応援を呼びこの場を去った。


「もう待つのは飽きました。さて誰から…………おや? おやおやおや?」


 オーロラとリヴァを不思議そうに見る。

 そして歯をカタカタと音を立てて――。


「なんと!? セイレーンと【人化】しているリヴァイアサンがいるではないか! 私はなんて運がいいでしょう! はじめからみみっちいことをしなけでばよかったです! はぁ~なんて素晴らしい素材なんだ! もう我慢できん! 早く実験に――」



「――――旋脚!」



「よし、これなら――――覚悟!」



 小人は男には顔面を蹴りを入れて首がもげ、独り言を言っている隙に騎士は背後に周り背中に剣を刺して貫通する。

 だが、男は何事もないように笑っている。おかしいことに貫通はずの身体は血が出ていなかった。


「ククク……せっかちな人です……。少しおとなしくしてください――」


 男は急に訳のわからない言葉を言い始め、周囲は背筋が凍る。

 詠唱を唱えていた――唱え終わると、男の身体から黒い靄が出て、小人と騎士を襲う。


 靄は身体に入り、2人は倒れていった。

 男はもげた首と貫通した身体が再生し、元に戻ってしまう。


「な、なんなのよ……。あなた……本当に人間……?」


 オーロラはあり得ない光景に身体が震えて動くことができない。


「ククク……私は正真正銘の人間ですよ。ですが、不老不死を得たので少し神に近い存在になったと言いますかね」


「あなたが神ならこの世界は終わってるわよ……」


「そうですか、まあ、いいでしょう。私はとても気分が良いので、大目に見ましょう。ああ……小人よりなんて美しいのでしょうか……。早く解体したい……」


「いや……触らないで……」


 オーロラは必死に身体を動かそうとするが、力が入らないようだ。


「い、いやだ……。わあぁぁぁぁ――――!」


 リヴァはあまりの恐怖に逃げてしまう。


「逃がしませんよ。もう私の素材ですから――」


「ひぃ!?」


 男はリヴァの前に瞬間移動し、再び黒い靄を出して襲うとする――。


「リヴァちゃん!? きゃあぁぁぁ――――!?」


 オーロラは無理やり身体を動かしてリヴァを押し倒して黒い靄を受けて庇い、悲鳴をあげて倒れてしまう。


「ああ……主……」


「おや、身代わりとは無意味です。まあ、連れて帰るからいいでしょう。さあ、あなたもおとなしくしてあげましょう」


 再び男は詠唱をし始めようとするが、小人たちが一斉に襲いかかり阻止する。


「あああああ……私の邪魔をするな!?」


 黒い靄が出て小人たちに襲いかかってしまい次々と倒れてしまう。


「しつこい小人め……いい加減にしろ!?」


 男はドス黒い膨大な魔力を出して、怒り始める。

 周囲はあまりの強さに動くことができなくなった。



「――――シャイニングランス!」




「――――グフゥ!? 痛い……痛みがあるだと……?」


「ただの言葉がしゃべれるアンデッドじゃない。本当に不気味ね――シャイニングバインド!」


 スカーレットが光の槍を放ち――男の身体に貫通して怯み、光で拘束する。

 その隙にアリシャ、ガルク、騎士たちは倒れている人を抱えてみんなを避難させる。


「私が……アンデッドだと……? ちがうちがうちがう!? 下等生物と一緒にするな、このアマが!」


「おしゃべりなアンデッドね。エクレールでかいのお願い。あら? どうしたの?」


 エクレールに問いかけても、反応がない。

 スカーレットはエクレールの姿を見ると――青ざめて震えが止まらないでいた。


「苦手なようね。安全な場所に行って」


 エクレールはゆっくり頷いてこの場を去った。


「しょうがないわ、ルージュ、少し遊んでちょうだい――――シャイニングソード!」


「わかったわ、お遊びの時間よ、アンデッドさん」 


 魔法で光の剣を作り、ルージュに渡した。

 そして男に近寄り――。


「――――剣輝千刺」


「――――グアァァァァ!? やめろクソアマ!?」


 目が追いつけない速さで剣を身体をつき、穴をあける。

 騎士たちは剣さばきに見惚れ盛り上がる。


 その間、スカーレットは大きな魔力を使い、魔法の準備を完了していた。


「もういいわよ、下がってちょうだい」


「了解――」


 最後に光の剣で男の身体を貫通させ、剣を放して後ろに下がった。




「――――ジャッジメント!」




「――――グアァァァァ!?」



 男の頭上に極大な光――裁きの光が降り下りる。

 アンデッド相手には、跡形もなく消える光上級魔法だ。

 みんなは終わったと、そう確信した。

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