414話 エリクサー
万能薬なら治せるはずだ。
だが……。
「作り方はわかりませんよ……。それにエリクサーなんて神話級の品です……。作れるかどうか……あとユニコーンの角を使うではないですか……」
「なあに、心配するな、オレの城にレシピがある。【調合師】スキルを持っている大精霊と獣人なら余裕で作れる。問題のユニコーンだが……」
レシピを持っているなんて、さすが地上の管理者だ。だが、ユニコーンでため息をつく。やっぱり捜すのは難しいのか……。
「捜索は困難ですか……?」
「いや、オレが保護している。会いたければすぐに会える。アイツら気難しくてな……話を聞いてくれるかどうか……。聞いたとしても問題の角なんだが、失うと生えるまで力がなくなる。誤って折れた角があればいいが、簡単にはいかない……。まあ、盟友のためだ、必ず説得してみる」
保護しているのか!?
ユニコーンが気難しいかろうと、大きなチャンスだ。
だったら俺も――。
「魔王さん、ユニコーンがいる場所に案内してくれませんか? 俺も説得します」
「よそ者にはあまり口を聞かないが、行きたいか?」
「はい、お願いします」
「わかった、用意は――」
「ウチも行く……治せない責任がある……」
「俺も行かせてください……」
「私もお願い……魔王さん……」
「ボ、ボクも……」
マイヤ、ヴェンゲルさん、アリシャ、リヴァもお願いをする。
みんな責任を感じていて行きたいみたいだ。
「おい、そんな簡単に許可できんぞ。場所を漏らすわけにはいかない。お前たち、守れるのか?」
その4名は「絶対守る」と言って一歩も引かなかった。
「はぁ~、しょうがない……。わかった……詳しい場所は言わん、無理に特定はするなよ」
渋々了承してくれて4名が行くことになった。
遠い距離だからシエルも同行しないといけなくなった。
みんな早く行こうと魔王を急かす。
「待て、その前にレシピだ! ユニコーンの角が手に入ってほかに素材も段取りがある! すぐに出発できんから待っていろよ! 小娘、城に戻せ!」
「はいはい……」
魔王はレシピを取りに城に戻っていった。
戻ってくるまでやれるだけのことはしよう。
汚染されたみんなを広い宿に移動させる。
今はこれくらいしかできない……。
王様に連絡をして、予定より早く臨時講師をやめることを伝える。
あとケンカしている場合ではないソウタにも伝え――。
「容体はどうなんだ!?」
慌てて来てくれた。
黒い靄を見た瞬間、青ざめて崩れを落ちて泣き始める。
「ごめん……スカーレット……ルージュ……俺がしっかりしていればこんなことに……」
「テメェ……後悔しても遅ぇんだよ!」
「――――ガハァ!?」
ヴェンゲルさんはこれまで溜めていた怒りをソウタに顔面を殴る。
「テメェが早く来てもなにも解決しないだろう!? ふざけるな!」
「お、俺にも責任はある……。話は聞いている……俺もユニコーンを捜しに行く……」
「はぁ? テメェが行っても足手まといだ! おとなしく待っていろ!」
「で、でも……」
「でもじぁあねぇ! スカーレットとルージュを見守れ……テメェはムカつくが、この2人は女癖が悪いテメェをそれでも愛してるいるんだぞ……黙ってそばにいろ……」
「それでも俺を……。わかった……」
ソウタは涙をボロボロと流して言うとおりにスカーレットさんとルージュさんのそばにいき見守る。
なんだかんだヴェンゲルさん、嫌と言いながら優しいところがある。
――1時間後、メアと魔王が戻って、リフィリアとメメットにレシピを渡して、ユニコーンの角以外を確認――マンドラゴラの粉末がないとわかると、サイガさんに聞けばなんとかなるということだ。
「あとはユニコーンだ。レイ、ロールヘイス近くに移動してくれないか?」
俺は空間魔法を使おうとした瞬間、エクレールは無言で近寄ってくる。
しょうがない、一緒に連れて行くか。
気を取り直して、ウルマとララアの故郷のロールへイスに移動する――。




