411話 みんなの都合
――翌日。
ソウタは城に戻らなかった。
様子を見に行ったメア曰く、教会に泊まって熱い夜を過ごしていたとのこと。
さすがの俺も呆れます……。
ローズさんにイチャイチャしたいとのことで、急遽ソウタは学校の訓練を休むと連絡がきたらしい。
それを聞いたヴェンゲルさんは怒りを通り越して呆れていた。
気持ちはわかります。
学校に行く途中――周囲の人はソウタとアマーニの話で盛り上がっていた。
「女神様から祝福された」と、広まるの早すぎだろう……。
学校でも話が持ちきりで、聞いているだけで疲れました……。
はぁ……大事になりすぎだ……。
午前の授業が終わり、予定どおりに城に戻る。
「フフフフフフ……ワタクシの玩具です……聞く義務がありますこと……」
メアも話を聞くとのことです……。
まったく……玩具なら今後、どう転んでもいいように責任を取ってくれよ……。
謁見の間に入ると――王様とヴェンゲルさんが待っていた。
「来たか……あとはアイツらだが……遅すぎる。休みをやったのにいいご身分だな……」
だいたい予想はつく、イチャイチャして遅れているだろうな。
数十分後――手をつないで、ご満悦のソウタとアマーニが入ってきた。
「陛下の前だぞ……本当にいいご身分だな……」
ヴェンゲルさんは殺気を出して臨戦態勢です。
「まあまあ、抑えて……」
王様は苦笑いして宥めて少し落ち着かさせる。
「陛下、お話とはなんでしょうか?」
「君たち女神ミスティーナに祝福されたみたいだね。王都中、噂が絶えないよ」
「はい……。女神ミスティーナ様に祝福の言葉をいただきました……。感動のあまり――」
「いいよいいよ、それはわかったから……。もう公の場で公表せざるを得ないね……。アマーニ・キュリセット――君をソウタ・アマガセの第一妻として認める。これからも恥じぬよう人々の役に立つように日々精進してくれ」
「はい、ありがとうございます」
あっさり第一妻と認めたぞ。
ヴェンゲルさんは頭を抱えて何も言えない状態になった。
すぐに認めないとは言ってもいたが大丈夫か?
「それでソウタ君、レイ君の領地にいるお嫁さんにはしっかり伝えるよね?」
「もちろん、これから伝えるつもりだ。皆、優しいから認めてくれるはずさ」
いや、無理があるだろう……特にスカーレットさんは嫌だろうな……。
「フフフフフフ……ではワタクシが一緒についてあげます……」
言うと思いました……。
メアさん、修羅場を楽しんで見に行ってください……。
俺は報告だけ聞くことにしよう。
「わかった、それとアマー二を第一妻と認めたけど、まだ公の場では話さないよ。それと、挙式もまだやらないでね」
「なぜですか……? 今すぐ教会で結婚式をあげたいです……」
認められて早々にもう式を挙げるのかよ……。
「それはダメ。理由としてはベースンの問題を片づいてからにしてね」
「えっ……? ベースンの件は賢者様が片づけましたよね……?」
「いや、まだ終わっていないよ。ベースンのせいで小人たちは大事な村をなくして、レイ君の領地に移住した。まだ慣れていないし、大変だ。それに最近、ベースンと繋がりがある者からレイの領地を貶めようとしていた。はっきり言って、ベースンと組んでいた黒幕を捕まえないかぎり、終わったと言えない。アマーニもその責任はあるでしょう?」
「お、おっしゃるとおりです……」
アマーニは何も言い返せなかった。
王様、無理やり結びつけたな……。
「だからね。解決するまで待ってほしい。それくらいできるよね?」
「はい……」
「それで、ソウタ君も終わるまでレイ君の領地を守ること、いいね?」
「えっ、ああ……もちろんだ……」
ソウタは曖昧に返事をした。
そうなると、黒幕って元を辿れば帝王になるよな。
いつ終わるかわからないですね……。
王様の都合――いや、みんなに配慮しましたね。
ソウタの嫁にも納得する時間を与えたことになる。
ヴェンゲルさんもひと安心した様子だ。
まあ、王様公認したのは変わりはないが、保留扱いってことでいいかな?
「それじゃあ、よろしくね」
こうして話は終わったが――。
「フフフフフフ……では行きましょうか……」
メアは楽しそうにソウタとアマーニを空間魔法で俺の領地にいる嫁と話に向かった。
――1時間後。
戻ってきたが…………はい予想どおりでした。
ソウタは顔――身体をボコボコにされて大怪我で、アマーニの服――装飾は焼け跡がついてボロボロになり怒っていた。
これくらいで済んだならまだマシかもしれない。
さて、ご満悦のメアさんに聞いてみますか。




