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407話 闇の魔剣、計画②


 戻ったメアとマイヤは休むことなく教会内にいるアマーニを捜す。

 メアはアマーニの魔力を覚えており――奥の部屋まで進み、個室に着いた。

 ゆっくりドアを開けると――ベッドでぐっすりと寝ているアマー二の姿だ。


「フフフフフフ……手薄な警備で簡単に入れることができました……。まだ寝るのには早いですよ……。さぁ……もっと夜を楽しんでください……」


 メアの笑いを堪えながらマイヤに指示し――【擬態】でミスティーナ姿になり、【隠密】を解除した。

 そして光魔法(ライト)を使い、自分を照らして神様っぽく雰囲気を出す。


 アマーニは眩しい光に当てられて目を覚ます――。


「なんで光が……? あ……ああ……」


 【擬態】したミスティーナを見て、涙を流す。

 急な出来事にもかかわらず、自然に敬意を払い拝む。

 そう、本人は女神ミスティーナとすぐにわかった。いつも見ている女神像と同じ姿であると。


「アマーニ、私の姿がわかります?」


「も、もちろんでございます……。女神ミスティーナ様……ああ……なんてお美しいのでしょうか……」


「フフフ……ありがとうございます。夜遅くにごめんなさい」


「い、いえ、とんでもございません……。ミスティーナ様のためならこのくらい平気です……」


 アマーニは何も疑わず、すっかり信じ込んでしまった。

 メアはその光景に笑いが絶えなかった。


「そうですか……。アマーニ、あなたは誰よりも熱心に信仰をしてとても感謝しております……。ただ……」


「ミスティーナ様……私は何か間違いをされていましたか……? 未熟な私目にどうか助言ください……」


「間違いなどはしていません。ただ……あなたの身体を心配しています。無理をしていますね?」


「いえ、そんなことはありません! 日々努力をしています。決して――」


「噓を言ってはいけません、私は女神です。すべてお見通しですよ」


 マイヤは慈悲深い笑顔でアマーニに言う。

 完璧にミスティーナを演じきっている。


「申し訳ございません……お恥ずかしながら……。ミスティーナ様に情けないところを……」

 

「情けなくはありません。人として避けられない宿命です。自信をもってください。私の大切な信徒よ」


「ああ……なんて慈愛溢れるお方でしょうか……。ありがとうございます……。そう言われるだけで救われます……」


 アマーニは再び涙を流し始める。

 

「『フフフフフフ……滑稽ですこと……。もっと楽しませてください……。マイヤとどめを……』」


「そんな大切な信徒には奇跡を与えましょう。今晩、聖壇の近くに待つといいでしょう」


「聖壇ですか……?」


「はい、あなたの運命の人が訪れます。心の支えとなるでしょう。では――」


「待ってください、ミスティーナ様!?」


 言い終わった瞬間、メアは空間魔法(ゲート)を使い、城の庭へ移動する――。


 移動したらマイヤは擬態をやめて、スライムの姿になった。


「疲れた……」


「フフフフフフ……完璧な名演技でした……。ありがとうございます……」


「どうも……。まだウチはやらないといけないの……?」


「どっちでもいいですが……報酬は半分になりますよ……?」


「えぇー、わかった……やる……」


「次は楽ですので……大丈夫ですよ……」


 マイヤはどうしてもチーズの塊を食べたくしょうがないと思った。

 見事にアマーニを騙したが、休憩もすることなく次の段階に進む――。


 再び【隠密】使い、ソウタが寝ている部屋に侵入をする。

 滋養強壮剤の副作用がきれなかったのかソウタは鎧を着たままうつ伏せで寝ていた。

 

「フフフフフフ……むっつりなお兄さんにはご褒美をあげましょう……」


 メアは無限収納から前回飲ませたのと違う――黄色くとろみがある滋養強壮剤と取り出して、髪をつかんで飲みやすい態勢にし、無理やり口に突っ込む。


「――――っ!? ゲホゲホ!」


「フフフフフフ……むっつりなお兄さん、元気が出ましたか……?」


「身体が疼く……! ああああああ!? やめてくれ! 俺は闇の力に負けない! ぐっ、ぐああああああ!?」


 まだ副作用は切れていなかったようで中二病をこじらせていた。

 言動はおかしいが、理性を保てる状態ではあった。

 メアが飲ませた滋養強壮剤は少し強いのを選んだみたいだ。


「フフフフフフ……まだ中二病を患っているなら都合がいいことで……。マイヤ……あとはお願いします……」


「わかった……」


 再びメア「ゲート」を使ってソウタと一緒に移動して姿を消した。

 マイヤは部屋に残り【擬態】でソウタの姿になり待機する。


 すると――。


「おい、うるせぇぞ! 夜に騒ぐな!」


 隣にいるヴェンゲルが機嫌を悪くしてドアを開ける。


「我は力に勝ったぞ……。闇の力に……誰も我を倒すことはできん……」


「またわけわからんことを――次うるさかったら殴るからな!」


 そう言ってヴェンゲルは戻っていった。

 マイヤとは気づかないでごまかせた。


 その頃メアは――教会の扉前に移動した。


「さあ……むっつりなお兄さん……聖女がいるので思う存分楽しんでください……」


「聖女だと……」

 

 その言葉に反応して躊躇うことなく扉を開けた。

 奥には女神像を拝んでいるアマーニがいた。


 ソウタに気づくと驚きを見せないで、互いにゆっくりと近づく。


「闇夜も照らす聖女よ、ここにいたか……」


「まさか精霊使い――ソウタ様が私の運命の人だったのですね!」


「聖女よ、我はお前に力を求めている……。力を貸すならお前の聖騎士となりすべてを捧げる……」


「はい、よろしくお願いします……」


 運命の人と信じ込んでしまったアマーニは喜んで受け入れて、抵抗もしないで、寝室で熱い夜を過ごす。

 

「フフフフフフ……これが見たかった光景です……。哀れなむっつりと滑稽な聖女の戯れを……」


 メア不気味な笑みで飽きることなく、見続けて大満足だった。

 明け方にはお互いのベッドで寝ている隙にソウタを回収して戻る。

  

「フフフ……マイヤ、ご苦労様です……さて、ワタクシたちも戻りましょうか」


「うん……疲れた……戻ったらチーズちょうだい」


 お二方は何もなかったかのように部屋に戻り、マイヤに報酬のチーズを渡して、レイが起きるまで待つのであった。

 

 

 一方ソウタは――。



「う~ん、よく寝た。今日はやけに身体が軽いな。というか昼までの記憶しかない……。まあ、いいか、今日は頑張れそうだ」


 気にしないソウタであったが、大変なことが待ち受けるとは思いもしなかっただろう。 

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