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406話 闇の魔剣、計画①

この回はメアとマイヤ視点です。


 メアとマイヤはシェルビーと一緒に城の庭を散歩し、お開きなった。


「メア様、マイヤちゃん先生、私のワガママに付き合ってくださり、ありがとうございました。サーシャが心配しますので失礼します」


「フフフ……もうこんな時間ですか……。おやすみなさい……」


「おやすみ……」


 シェルビーはお辞儀をして城の中に入った。


「じゃあ、ウチも……」


「お待ちなさいマイヤ、夜はこれからというのに戻るなんてもったいないですこと……」

 

 マイヤもお開きになったからレイのところへ戻ろうとするが、メアが声かけ、足を止めた。 


「なんで……? また何か企んでいるの……?」


「そうです……。これからむっつりなお兄さんの手助けをします……」


「やっぱり……。ウチはあの変態に興味ない……」


「そう言わずにあなたの力が必要です……。手伝ってくださる……?」


「えぇー、めんどくさい……。ウチは戻る……」


 いつものことでマイヤは呆れる。時間の無駄だと思い、城に入ろうとすると、メアは無限収納から大きな塊のチーズを取り出した。

 再びマイヤは足を止めて、よだれを垂らす。

 そう、チーズはマイヤの好物である。


「なんで……塊を持っているの……? 食べたい……」


「フフフフフフ……ワタクシもアイシスと一緒で食材を管理していますので当然のこと……。もし手伝ってくださいましたら差しあげますよ……」


「わかった……やる……」


 さすがに欲望には勝てず、あっさり承諾してしまう。

 こうしてマイヤはメアのロクでもない計画に参加してしまった。


 マイヤは計画内容を聞かされて真夜中に決行する――。


 さっそく2人は【空間魔法】を使い教会に侵入し、ばれないように【隠密】で身を潜め、ミスティーナの像前でお祈りをしてお祈りをして天界へ――。


 庭園に移動すると、双子の天使が座ってゆっくりしていた。

 メアとマイヤに気づくと笑顔で駆け寄ってくる。


「「スライムちゃんに吸血鬼のお姉ちゃんだぁ~!」」


「相変わらずのおチビちゃんより笑顔が眩しいですこと……。ミスティーナ様を呼んでくださいますか……?」


「お願い……」


「「は~い!」」


 双子は翼を広げてミスティーナを呼びに行き、いつもの場所――庭園の中心で待つ。


「地上では夜中なのに珍しいわね、レイがいないのに何か相談でもあるの?」


 ミスティーナが来て不思議そうに2人を伺う。


「はい……個人的な相談です――」


 メアはアマーニとソウタを婚約させることを言う。

 ミスティーナ自身はアマーニが加護持ちだから相談しに来たと思い納得していた。


「アマー二をソウタと一緒にするには問題ないけど、訳を聞いてもいいかしら?」


「はい……新司教は毎日忙しく大変です……。それにストーカーまでいるではありませんか……。このままでは精神的に追い詰められて危険です……。ぽっちゃり体型からのあの変り果てた姿は見ていられません……。これ以上瘦せれば地上にはいられることはできません……」


「確かに瘦せすぎて心配していたのよ……。なぜメアがそこまで心配するの?」


「フフフ……ミスティーナ様を一番に信仰してくれるお方を死なせるわけにはいきません……。ご理解いただけますでしょうか……?」


「メア……そんなに私のことを……」


 ミスティーナはメアの言葉に涙を流す。

 だが、本人はそんなこと微塵も思っていない。ただ利用するだけだ。

 シャーロの場合は絶対にしないが、ミスティーナは許容範囲である。


「そこでむっつりなお兄さんを推薦します……。ストーカーにも守ってくれますし、地位もそれなりにあるので適任です……」


「なるほど、わかったわ。けど、アマーニとソウタをどうやって結ぶのよ?」


「それでお願いがありまして――」


 メアは計画のことをミスティーナに話すと――。


「いいわね、その計画。許可するわよ」


 意外に乗り気であった。

 メアはあまりにも順調で笑いが止まらないでいる。


「「うぅ……怖い……」」


 双子の天使は嫌な予感をしていたのか引き気味である。


「フフフフフフ……ありがとうございます……。ではマイヤお願いします……」


「わかった……失礼します……」


「私を完璧にマネてね」


 マイヤはミスティーナの背中を手にあて、魔力を流して身体の隅々まで確かめる。

 そして【擬態】を使ってミスティーナ姿形に変化させた。


「フフフフフフ……素晴らしいですこと……」


「「わ~い、ティーナ様だ~」」


 完璧な姿にメアと双子の天使は喜んでいたが、ミスティーナは隅々までチェックする。


「似ているけど、ちょっと違うわね。もっと胸があるわよ」


「えっ……? 似ていると思うけど違うの……?」


「そうよ、もっと胸を大きくしてちょうだい」


「わかった……このくらい……?」


「全然よ、もっとよ――」


 完璧だった姿なのにミスティーナは胸を盛るように指示をする。



「――ちがう」



「――――ちがう」



「――――――ちがう!」



 数十分に変化させてようやく納得いく姿になった。

 本人とは二回りほど違う胸を大きさである。

 まるで地上で信仰している像と同じ姿だ。


「これが本当の私よ。アマーニにやるときは手を抜かないでよね?」


「わかった……」


 マイヤには予想外の出来事で魔力を使い、スライムに身体になる。


「フフフフフフ……ご協力ありがとうございます……ではワタクシたちはこれで……」


 こうしてマイヤは胸を盛ったミスティーナの【擬態】できるようになり、地上へと戻っていく。

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