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405話 なぜそうなる……


 顔を赤くした新司教――アマーニとにやついている尻追い組らしき騎士が護衛として来た。

 急いで来たわけでもないがどうした?


「アマーニどうしたの? 具合でも悪いの?」


 王様は前と違い、もう堅苦しく話してはいないみたいだ。

 素で話されたときは驚いただろうな。


「いえ……その……女神ミスティーナ様から神託が下りまして……」


 えっ? このタイミングでティーナさんのお告げがきたとは……。

 アマーニに言うほど大変な起きているのか?


「それは大変だ。それで、何を言われたの?」


「ここでは言いづらいです……」


「ここで話せないのは穏やかではないね……。場所を変えよう、僕以外に話せる人はいないの?」


 王様はにこやかだったが真顔に変わり、事の重大とわかった。


「賢者様御一行と精霊使い様――ソウタ様なら大丈夫です……」


 俺たちが呼ばれるなら戦闘系のお告げかもしれない。

 嫌な予感しかない……。


「ソウタ君はお取込み中だから先にレイ君たち話せられる?」


「はい……問題ありません……」


 まあ、ソウタは後ほど報告すればいいしな。

 本当なら一緒に聞いた方がいいが、一刻を争うことだ。

 俺たちは場所を変えて、謁見の間に移動する。


「フフフフフフ……面白いことになりそうですこと……」


 メアは移動している間、笑いが止まらなかった。

 久々のイベントだ。楽しみでしょうがないか。

 まだわからないが、戦闘系だったらメアに大暴れさせようか。


「ここなら僕たちしか聞こえないから言ってごらん」


 アマーニは深呼吸をして自分を落ち着かせて――。


「昨夜のことです……。私が寝静まったあとに突然……部屋中、大きな光に包まれました……。そこにいたのは私たちが信仰をしている女神像と同じ姿したお方――いえ、女神ミスティーナ様が現れました……」

 

 まさか姿を現すとは……しかも寝ているときにとか相当急なことみたいだ。

 いや、かなり重要なら俺たちに早く報告すると思うが、そこまでではないのか?


「それは本当なの? 女神様が姿を現すなんて聞いたことがない」


「証明できるものはございませんが、神託で聞く美声に、神々しいほどにお美しい姿で……間違いなく女神ミスティーナ様であります……」


「まあ、そこまで言うなら本当かもね。アマーニは噓をつく子ではないから――それで女神様なんて?」


「それは…………」


「それは?」


 アマーニはなぜか言うのを躊躇い、少し沈黙が続き、再び深呼吸をして真っ赤になってして――。


「――私の伴侶を紹介してくださりました……」


 ………………はい? 伴侶ですか……?


 その発言で王様は口を開いたまま、ただ呆然とする……。

 これは王様に言う必要があるのか!? それに俺たちまで言う必要があるのか!?

 もう拍子抜けだ……。メアさん、我慢できず後ろを振り向いて笑っている。

 

 ティーナさん……なんでこのタイミングでアマーニの伴侶言う……。

 おかしいだろう……。


「ハハハハハ……神託ってアマーニの伴侶を言っただけなの……?」


「はい……。ミスティーナ様が私の伴侶を直々に教えてくれたことは奇跡です……。私がくじけそうと思い、姿を現したと言いました……。心の支えてくれる運命の人を紹介していただきました……」


 ああ……司教を辞めさせないように伴侶を紹介したのですね……。

 ティーナさんはアマーニのこと気に入っているからな……。


「へぇー、じゃあ、僕たちに相談したのはその伴侶を見つけてほしいと?」


 王様はもう興味がなさそうに軽く言いますね。


 そういうか……伴侶が遠くにいるからシエルを使って探して来いってことですね……。

 間違いないです……。

 これはティーナさんの頼みでもあるよな……? しょうがない、捜しに行くか。


「いえ、違います……。昨夜、すでにお会いにしました……。それで陛下に婚姻の許可をお願いしたくて……」


 もう会っているのかよ!?

 じゃあ、俺たち関係ないのでは……。


「なんで僕に? まさか……ファイスと……?」


 それなら王様に言わないといけないよな、騎士団長と新司教の結婚となれば王様の許可が必要だ。

 あと、ファイスさんが伴侶なら尻追い組も納得するし逆らえない、アマーニにとって支えにもなる。

 さすがティーナさん、良い人選だ。


「魅力の方ですが違います……。騎士団長よりすごいお方です……そう……聖騎士様です……」


 えぇ……ファイスさんでもないのかよ……。いったい誰だ?


「フフフフフフ……聖騎士様って……面白いことを言いますこと……」


 メアさん、だいぶツボにはまっていますね……。


「え? ファイスじゃないのだったら誰だい? そろそろ言ってくれるかな……?」


「はい…………そのお方は……精霊使い――ソウタ様でございます……」


 アマーニは真っ赤になって言う。

 

 ……………………なんでソウタ!?


 いやいやいや、ここでソウタが出てくるのはおかしいだろう!?

 なにかの人選ミスですよね……? 

 ティーナさん、なんでソウタにした……? このままだとアマーニの尻追い組に恨まれるぞ……。


 というかソウタはヴェンゲルさんの監視によって無理だ。中二病をこじらせていてとても行動できる状態ではなかったぞ。


 待てよ――。


「『メア……ソウタを連れてアマーニに会ったな……』」


「『フフフフフフ……はい……そうです……』」


 はい、メアの仕業でした……。

 じゃあアマーニがあったのはティーナさんに【擬態】したマイヤかよ……。


「『おい……勝手にティーナさんに【擬態】して怒られるどころでは済まないぞ……』」


「『ご安心ください……ミスティーナ様には許可を取っております……。むしろ喜ばれていました……。後ほどお話しますので……ご理解の方お願いします……』」


 許可までとってあるのかよ!? いったい短時間で何があった……?

 

 王様は苦笑いするしかないですよね。


「ハハハ……ソウタ君がね……。それで愛を誓ったんだね……」


「はい……ステキな言葉で……そのまま夜をともに過ごしました……。そして朝には姿がありませんでした……。聖騎士様は忙しいことはわかったので……仕方ありませんですけど。ひと声かけてほしかったです……。恥ずかしがり屋さんなんだから……」


 それはメアが急いで回収してとんずらしただけです……。

 あの清々しい顔したってことは……ああ……関係をもってしまいましたね……。


「なるほどね……。けど僕に婚姻の許可を取るのかな……? 関係ないと思うけど……」


「関係あります! 聖騎士様はスカーレット・シャイニと婚約しております。女神ミスティーナ様に正式に伴侶として公認されましたので私を第一妻とし、認めてください! そして公の場で公表もお願いします!」


 うわぁ……これはまたデカくきましたな……。

 絶対に修羅場になりそうだ……。

 さすがの王様もため息をついてしまう。


「フフフフフフ……最高な展開ですこと……ワタクシの予想を上回りました……」


 メアのお遊びが大事になるに決まっているだろう……。

 

「ちょっと考えさせて……時間がほしい……」


 ですよね……急な展開で王様は困惑している。


「良いお返事を期待しております。ではこれで――」


 そう言ってアマーニはスッキリした顔で謁見の間を出ていった。

 王様は頭を抱えてため息ばっかりです。


「はぁ……ソウタ君がここまで酷いとは……。いや、女神様が決めたから仕方ないのかな……? 昨日はおかしいと思ったらまさかソウタ君も神託を……? 困ったな……」 


 それは滋養強壮剤の副作用です……。


「どうしますか? 神託といえど、新司教を手を出したならかなりマズいのでは……?」


「そこだよ……。ごめん、ちょっと考えさせてくれるかな?」


「わかりました。この事は誰にも言わないほうがいいですよね?」


「噂されていると思う……言っても平気だよ……。もう手遅れだと思う……」


 諦めていますね……。俺たちは謁見の間を出た。


「フフフフフフ……」


 まったく……1人だけ面白いようになって……。


「で、どういう小細工をしてアマーニを騙した?」


「それはですね――」


 笑いを堪えながらメアが説明した――。  

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