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404話 副作用


 みんな集まり食堂で夕食を食べているのだが……。


「身体が疼く……全然足りない……もっと深淵の闇をくれ……」


 そう言いながらソウタは多めに食べていた。

 まだ中二病をこじらせているのかよ……。

 前回は夕食の時は正常だったはずだが……。

 いや、あの時はヴェンゲルさんがボコボコに殴って正気になったか。

 今回は腹パンだけで終わったから、元通りにはならないようです。

 まさか副作用があるとは……。明日には戻っていることを願う。


「メア様……ソウタ様は何を言っているのですか……?」


「気にしないでください……。いつものことですので……」


 シェルビーの質問に対して軽く流した。

 意外に中二病をこじらせたソウタを面白がると思ったが、つまらないみたいだ。

 俺としてはこっちの方が面白いと思うが。

 

「なにわからんこと言っている。やりすぎてぶっ飛んだか? ぶっ飛んでもテメェの休みはないからな」


「いいだろう……。俺を倒せる者はいない……。力の半分だけで終わらせてやる……。あぁ……俺の左目が疼き始めている……実に楽しみだ……」


「コイツ本当に大丈夫なのか?」


 さすがにヴェンゲルさんも少し心配になっていた。

 なぜか時間が経つたびに重症になっているのは気のせいか?

 

「明日ソウタさんは特別な力を出すつもりですか? お父様、外出許可をお願いします」


「いいよ。けど、ファイスと一緒に行ってね」


「ありがとうございます」


 王女さん、真に受けないでください……。ただの中二病なので……見学するほどはないです……。


 夕食を終え、寝室でのんびりしていたら――。


「主様……シェルビーさんとお散歩の約束があるので失礼します……」


「あっ、ウチも行く……」


 メアとマイヤは部屋から出ていく。

 すっかりマイヤも仲良しになりましたね。散歩とはいえ、病み上がりだ。城の庭で済ませるとは思うが。


 就寝の時間になってもメアとマイヤは戻ってこなかった。

 この様子だとそのまま一緒に寝た可能性があるな、戻ってこないなら寝るとしよう――。



 ――――◇―◇―◇――――



 ――翌日。


 目を覚ますと、メアとマイヤが横に寝ていた。


「フフフフフフ……おはようございます……主様……」


「おはよう……」


 メアはご満悦した様子でマイヤは大あくびをしてダルそうな感じだ。


「シェルビーと一緒に寝たのではないのか?」


「いえ……散歩があまりにも楽しくて……シェルビーさんと別れた後もしまいました……」


「お腹すいた……」


 だから夜遅くまで戻ってこなかったのか。

 しかも上機嫌だし、何か面白いことでもあったみたいだ。

 マイヤも戻らないで散歩したと思うが……魔力が半分以上なくなっているのは気のせいか?


「マイヤ、身体は大丈夫か?」


「うん……食べれば大丈夫……」


「それならいいが、何か使うことがあったのか?」


「それは――」


「マイヤ……秘密にしてくださいますか……? 主様……乙女の秘密です。申し訳ございませんが……答えできません……」


 乙女の秘密とはなんだよ……。

 なんとなく、察した――まさかシェルビーと夜遅くまで一緒に散歩したみたいだ。

 マイヤは【擬態】を使ってシェルビーになりすまして、サーメルの目をごまかしていたに違いない。

 まったく……病み上がりなのに夜中までするとは困ったな……。


「わかった。だが、ほどほどにしろよ……。次からは俺にしっかり言うように」


「フフフフフフ……ありがとうございます……」


 よほど楽しかったのだな、夜中まで一緒に散歩とは仲良しがよろしいことで。

 まあ、過ぎたことはしょうがない。


「お腹すいた……」


 マイヤはスライムの姿に戻り、限界のようだ。


「フフフ……ご苦労様でした……」


 しっかり感謝しろよ。

 しょうがない、起き上がり、マイヤを持って朝食を食べに食堂に向かう――。


 食堂に着くとマイヤは手から離れて【人化】して、急いで席に座ってシチューを食べる。


「美味しい……もっとちょうだい……」


 底をつかなければよいが……足りなかったら無限収納に入れてあるおにぎりでもあげよう。

 

 シェルビーも来て、メアの隣に座って仲睦まじい様子だった。

 こうして見ると、親友みたいな関係だ。

 

 賑やかな食事をしているとソウタもやってくるのだが…………清々しい顔をしている……。


「なんだよ、精霊使いなのに賢者みたいな顔をしやがって、気持ち悪い」


「そんなこと言わないでくれグランドマスター、今日は頑張れそうだ」


 昨日とは違い、爽やかに返すな。これも副作用なのか……?


「ソウタ、大丈夫なのか……?」


「ああ、昨日のことは半分覚えていないが、身体が軽い。休まずにやれそうだ」


 記憶がないのはかなり問題では?


「どこから覚えていない?」


「メアに飲まされたあとからだ。気づいたらもう朝になっていた」


 中二病をこじらせていたのはやっぱり自我がなかったのか……あの滋養強壮剤恐ろしい……。

 強い衝撃を与えないと正気には戻らないみたいですね。


「フフフ……また飲ませましょうか……?」


「あれがなくても余裕だ。今日は飲ませるなよ。飲まされる前に逃げるけど」


 さすがのソウタでも同じ手には引っかからない、だがメアのことだから違う手を使う。

 ちょっと挑発的な態度をとっているが大丈夫か?


「フフフフフフ……そうですか……。ただ残念なことに……今日はシェルビーさんとお茶をします……。都合が合わないのでお相手できませんこと……」


 あれ? 珍しく笑いで返して怒っていないぞ。

 まさかシェルビーを優先するとはそっちのほうが楽しいみたいだ。

 いや、ソウタに飽きた可能性もあるか。


「そうか、残念だな。まあ、念のため警戒するけどな」


 ずっとやられて信用はしてないですね。


「ご安心を……。何もしませんこと……そう、何も……」


 ここまで言うならやらないと思う。ソウタもしつこく聞くとまたやられるぞ。


 朝食を終えて、お昼頃に俺たちはお茶をする。

 予告通りメアはシェルビーと一緒にいる。


 さすがのメアも執着はしない、ソウタの考え過ぎだ。

 明日の授業に備えてのんびりしますか。


「珍しいね。今日は呼んでいないけど、何かあったのかな?」


 ん? 誰か来たのか?

 王様の発言で門のほうを振り向くと――。

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