401話 治す予定
城に戻ると夕食の時間になっていた。
食堂に向かうと、みんなは集まって食べている。
食べているのはいいが1名ほど、顔がボコボコにされて手を振るえさせてカレーをゆっくり口を運んでいる人がいますが……。
予想はつくが確認のために聞いてみるか。
「今日は遅かったな、早く食べないと冷めてしまうぞ」
「はい、あの……ソウタに何かありましたか?」
「ああ、コイツか、嬢ちゃんが渡してくれた栄養剤を飲ませたら、急によだれを垂らして胸の大きい少女を襲おうとしたぞ。まあ、俺が止めたからなんも問題はなかったけどな」
ですよね……。
なにも被害がなけらば問題ありませんな。
ソウタにはかわいそうだけど。
「ふぁれは……グラんどマスふぁーが……」
「テメェ……未成年の子を襲いかかったくせに、俺に盾突くのか……? 罰として休日はなしだ……」
「ふぁんな……」
ヴェンゲルさんに言い訳しても無駄だな。
休日がないのは大変だが、まだ良いほうだ。
「フフフフフフ……見られなくて残念ですこと……楽しみは休日に取って置きましょう……」
メアは予想どおりの結果になって大満足でした。
見てもかまわないが、やるべきことをしてからにしてください。
夕食を終えて王様にシェルビーの件――学校が休みのときに黒い靄を治すと相談する。
「わかった、休みは明後日くらいだね。部屋を用意するから安心してね」
本当なら学校が終わってから治したいが、疲れもあり身体に影響もあるからだ。
仮に治したとして急に魔力が流れて耐えられない可能性もある、考慮しないといけない。
魔力酔いくらいならいいが、暴走すると彼女の身体がもたない。
疲労がない状態で治したい。
王様にも了承を得たが、あとはシェルビーに言わないと。
「ワタクシが言いますのでご安心ください……」
メアとかなり打ち解けているしお願いでもするか。
「じゃあ、頼んだ」
「仰せのままに……」
じゃあ、シェルビーが言うなら王子に連絡しなくても大丈夫だな。
――――◇―◇―◇――――
――翌日。
学校に向かっている途中、登校している生徒――シェルビーを見かけた。
1人で登校しているが王子と一緒に行かないのか?
「言いに行きますね……」
メアはシェルビーに駆け寄り話をする。
学校門のまで歩くと、人気のない場所――端のほうに行った。
さすがに人前では話せないよな。
俺は先に職員室で待つとしよう。
話を終えたメアが来た。
「どうたっだ?」
「ぜひお願いしたいとのことです……ただ……」
「何か問題でもあるのか?」
「はい……王子は同席しないでほしいとのことです……」
まさかの王子を拒否とは……仲が悪いのか?
「理由は聞いているのか?」
「はい……兄面しているのがとても嫌みたいで……できるだけ一緒にいるのは避けたいと……」
なんとなく察した――帝王と長くいた兄と一緒にいるのは嫌だろうな。
王子が悪気なく接しているのはわかっているはずだが、受け入れないだろう。
かなり複雑だ……。王子に悪いが、シェルビー優先をさせてもらう。
「わかった。王子には言わないでおく」
「よろしくお願いします……。それと、もう一つお願いがあるとのことで……」
「それはなんだ?」
「不安があるので治す当日までワタクシと一緒にいたいとのことです……」
まあ、不安になるのは当然だよな。
それにしてもメアは予想以上に好かれているな。
「それなら別に一緒にいればいいじゃないか」
「ワタクシは問題ありませんが……むっつりなお兄さんの楽しいお顔が見れなくて残念です……」
結局そこかよ……。
「少しだけだから我慢しろよ……」
「わかりました……では、終わってからその分楽しませてもらいますね……」
また何か企んでいる顔をしている……。
少し我慢ということを覚えてほしいがダメなようです。
条件付きだが事を進めそうで良かった。
あとは当日を待つだけだ。




