387話 張り合い
「「「ありがとうございました!」」」
生徒たちはお辞儀をして、練習場を後にする。授業は何も問題なく終わった。
勉強熱心な子が多くてとても教えやすかった。
だが、まだ最初の方だ、次は大学生だから教えるのは大変だ。
次々と大学生が集まって来るのだが、多すぎないか……?
上限の150人は集まった気がする……。
その中には王子とベルガがいた。
予想どおりになりました……。
授業を始めると――。
「賢者殿、私に「マジックランス」をお教えしてくれ!」
「先生、俺に「アースランスを教えてください!」
っと、さっそく積極的にほかの生徒を押しのけて俺の前に来ました……。
「私は急いでいる。そこをどいてくれないか?」
「俺は精霊使いを倒すために早く覚えたいのだ! 引くものか!」
ダメだこりゃ……。
王子のほうはわかるが、ベルガはどうしようもない理由だ。
というか個人授業ではないのだぞ……。
「気持ちはわかるが、落ち着け。順番に見るからに待て」
「じゃあ私からお願いしたい!」
「俺が先だ!」
話を聞かないな……。
「困ったことですこと……少しおとなしくしてくれませんこと……?」
「「ひぃ!?」」
メアは【威圧】を出して2人は震えが止まらなくなった。
助かるのだが、ほかの生徒にも影響がでていますよ……。
かなり手加減はしているけど、みんなには強力だ。
「順番は守ってくれますこと……?」
「「は、はい……」」
ここの全員はメアを怒らせたらいけないとわかっただろうな。
【威圧】をやめて、回復した人から教える。
大学生1年生はランス系の覚えるための授業だ。
まずは生徒がランスの魔法を使うように指示して、どのくらい進歩しているか把握する。
全然できていない子にはランスである形――槍の創造させる。
多少発動できる子はアローの魔法で速く的を当てるように練習をさせる。
大人数を教えることはこのくらいしかできない。
あとは1人1人質問があるなら答えるしかなかった。
大人数いると本当に大変だ。
特に王子とベルガはこの中ではかなりできていた。
「魔法よ、貫く槍と化せ――――マジックランス! 全然できん……」
「地よ、貫く槍と化せ――――アースランス! まだ完全ではない……」
お互いそれなりになっているが、発動も遅く、魔力を多く消費している。
練習を続ければ、自然と覚える範囲で俺が教えることはない。
「ベルガよ、まだまだだな……」
「いい気になるなよ、帝国の王子……。早くズイール大陸を平和にさせろよ……お前に構っている暇はない……」
「あいにく私はまだ力不足でな……。まだまだここで勉強させてもらうぞ……」
なぜか張り合っていた。
結構突っかかているが、ライバルみたいな関係か?
2人とも負けじと無理やり魔法を発動させて――数分後にはお互い勢いよく倒れて魔力がなくなった。
無理なことをするからだ。
「まだまだ……」
「精霊使いを……」
起き上がろうとするが、これ以上やると危ないから止めに入るが――。
「まだやれる……」
「俺は精霊使いより強く……」
言うことを聞かない……。
「あら……懲りていないですこと……」
「「ひぃ!?」」
メアが【威圧】を発動する前に後ろに下がり、怯えだした。
「フフフ……これで良いですこと……」
なんだかんだメアには助けられているな。
2人はこの授業での魔法をやめるよう指示をしておとなしくなった。
今後も起きなければいいのだが。
時間も過ぎて――少々問題があったが、授業は終わった。
午前の授業が終わって昼食の時間となった。
昼食は開放してある食堂に向かう――。
中に入ると――生徒や職員で賑わっていた。
まあ、無料で食べられるし、当然混むよな。
あっ、生徒たちは俺たちに視線を向いている……。
いろいろと聞きたい目をしているな……。
だが、奥の方に職員用の席があるとから回避はできる。
そこにはホルダーさんが座っていた。料理を頼み向かう――。
「おや、お二人ではありませんか。授業をやってどうでしたか?」
「慣れないことが多くて、大変ですね……」
「そうですか? ついさっきですが、お二人の教え方良いと食堂内では噂になっていますよ」
まだ半日しか教えてないのに話題になるのかよ……。
「ハハハ……そうですか……」
「まあ、無理をなさらず頑張ってください」
俺とメアはホルダーさんと会話しながら食べていると――。
「賢者殿、先ほどはありがとうございました!」
王子が挨拶に来た。
「いや、いいって……次も授業があるのだからしっかり食べろよ……」
「心遣い感謝する! 食事中申し訳ないが私の妹――シェルビーを紹介したくて、遅れて申し訳ない」
そういえば妹も来ていたっけ、そりゃあ一緒について行けば妹も学校で学ぶよな。
王様も一言くらい言ってくればよかった。
「その妹はどこに?」
「私の後ろにいる――シェルビー、挨拶をしなさい」
後ろにいる?
王子の後ろに隠れていた少女が出てきた。
ちょっと待て、どういうことだ……?




