386話 最初の授業
練習場には杖を持って整列している2年A組――50名の生徒だ。
それに担任をしている黒髪の男性エルフのワックさんもいる。
俺の教えが気になることで勉強させてもらうとのことです……。
俺に圧をかけないでください……。
「可愛らしい子ばっかりですこと……。教えがいがあります……」
メアは不気味な笑顔で言う……。
頼むから変なことはしないでくれ……。
「「「よろしくお願いします!」」」
俺たちに挨拶をし、授業が始まった。
時間は90分、魔力を尽きたとき用のマナポーションが置いてある。
まずは――。
「すいませんがレイさん、生徒に魔法を見せてください。みんなレイさんの魔法が見たいとのことで」
生徒たちは目を輝かせて俺を見る。
やっぱりそうなるよな。
「わかりました、ではどんな魔法を見せればいいですか?」
「噂で聞いたのですがユニーク魔法を覚えてると――ぜひお願いします」
ワックさんの目も輝いていた……1番みたいのはワックさんだな……。
しょうがない、見世物ではないが結晶魔法を使うか――。
「――――クリスタルランパート!」
結晶の城壁を創ると――みんなは「おお~」っと声をあげる。
「ありがとうございます! レイさんみたいに使えるように頑張ろう!」
「「「は~い!」」」
ワックさん、冗談でも生徒にハードルを上げないでください……。
気を取り直して――生徒たちを適性又は覚えたい属性に分ける。
火9人、水8人、風7人、地6人、雷5人、光4人、闇4人、回復3人、氷2人、無2人だ。
名簿確認したが、こうして見ると火はかなり覚えやすいみたいだな。氷の適性は少ないのはわかっていたが、無もそんなにいないのか。
意外な発見だ。
稀である時魔法を使う子はいなかった。
まあ、あれをホイホイ使える子が出てくるとおかしいけどな。
攻撃系が撃てる属性は俺が担当して、回復魔法はメアに任せた。
さて、みんなどのくらいか把握しないとな。
まずは各属性の球体を手のひらに出すことを言うと――半数くらいが出せた。
進学して早々まだ無理か、できなかった子は球体を出すように言う。
できた子には球体から矢をイメージするように言うと――できたのは少人数だった。
一気に減ったな、さすがにイメージするのは難しいみたいだな。
もちろんだが、ルルナは前から教えているから簡単できた。
ここからだ――設置してある的にアロー系魔法を使って当てるように言う。
「火よ、敵を射貫け――――フレイムアロー! わぁ!?」
「風よ、敵を射貫け…………」
「光よ、敵を射貫け――――眩しい!?」
暴発して失敗に終わる。まだまだ道のりは険しいか。
「氷よ、敵を射貫け――――アイスアロー! きゃあ!?」
ルルナも変わりませんな、魔法制御の練習でもさせるか――。
「雷よ、敵を射貫け――サンダーアロー!」
雷の矢を的に当て、完璧だった。
「これでよろしいでしょうか? 賢者様?」
凛とした小柄な少女はスーパーロングの金髪をかき分けて俺に言う。
この子はスタンピードが終わって城でお祝いしていたとき参加していた子だ。
海の都の伯爵――イデウス・メンデルトの娘のグレースだ。
初対面の印象は伯爵が挨拶ししていとき、後ろに隠れて赤く照れていたが、イメージとまったく違う性格だ。
「さすが、優等生! 3位だけど」
「さすが3位の優等生だ!」
「3位の優等生なら余裕か」
「3位は余計よ! 2年生は絶対1位になってみせますわ……」
なるほど、優等生だからできるわけか。
しかし、かなりいじられているな……。学年で3位ならすごいと思うが。
「よくできたな、ほかにも覚えている魔法はあるのか?」
「これだけですわ、ぜひ賢者様にこの私目に魔法の指導をお願いします! 私だけにですわ!」
やけに私を強調するな……。
「俺は今は講師だから先生と呼んでくれ。個別の指導は放課後ならいいぞ」
「本当ですの!? ありがとうございます賢者――いえ、先生! これで1位の座はもらいました……」
それで1位を取れるかわからないが……。
まあ、やる気のある生徒は大歓迎だ。
「じゃあ「サンダーショック」の練習をしようか? とりあえずやってみようか」
「はい、雷よ、衝撃を与えよ――サンダーショック! きゃあ!?」
グレースの周りに雷が暴発し、長い髪はボサボサになって失敗で終わった。
それを見た生徒は大爆笑だった。
「みてなさい……私が頂点に立ち、ギャフンと言わせるのだから……覚悟してなさい……」
さあ、この子はブレンダとルルナを追い越す日はやってくるのだろうか。
ルルナはそれを見向きもしないで練習をしているが。
だいたい把握できたし、順番で教えるか。
メアの方は――。
「全然ですこと……。もっと自分に愛があると創造しなさい……」
「「「はい!」」」
何を吹き込んでいる……。回復魔法に愛は関係ないと思うが……。
しかし、教えている子には「ヒール」らしき魔法が発動していた。
えぇ……そんなのありか……。
まあ、なんだかんだ教えているから、何も言わないが。
最初不安があったが、みんなに順調に教えることができそうだ。




