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385話 出勤初日


 ――翌日。



 今日から講師として出勤する日となった。

 ソウタはというと、ため息ばっかりついていて食欲がなかった。

 実技練習だから俺よりは楽だが、ヴェンゲルさんに公開処刑されて精神的ダメージを負わされた。

 生徒は推薦の権利がもらえてるからやる気で、尻追い組がいるし、不安がいっぱいだよな。


「ソウタ君、急で大変だけど、特別にヴェンゲルがついているから大丈夫だよ。頑張ってきてね」


「そうだぞ、テメェは俺が見張っているから安心しろよ」


 むしろ不安要素が多すぎる……。

 

「では私も時間があれば、様子を見ようではないか」


 いや、ファイスさんが来てしまったら余計に刺激してしまう……。

 

「私も行きます。生徒の全力が見たいですし」


 王女さんも行くと大変なことになりますよ……。

 絶対、刺激されて稽古したがると思います。


「フフフフフフ……人気者は大変ですこと……。ワタクシも見たいですが、残念ですこと……」


 メアは朝から人の不幸を笑って上機嫌ですね。

 唯一来てはいけない人がいないのは、良かったと思う。


「ほどほどにしなさいよ……」


 リンナさんは呆れていた。

 ソウタがトラブルに巻き込まれたのは察していましたし、災難だと思っている。

 まあ、抑えきれなくて見て見ぬふりをしているが。


 悪いがソウタを慰める余裕がない、頑張ってくれ。

 朝食も済ませて準備もできた、お城を出て学校に向かう――。


 道中、登校している生徒と会うと、俺たちに気持ちよく挨拶をしてくれる。

 多くは――。


「「「楽しみにしてます!」」」


 と言われます……。そんなに期待しないでくれ……。

 

「お兄さん、メアさん、おはよう」

「レイさん、メアさん、おはようございます」


 ブレンダとルルナが走って向かって来た。


「2人ともおはよう」


「あ、あの……最初から授業を受けるのでよ、よろしくお願いします!」


 ルルナは思いっきり頭を下げた。

 昨日確認したが、最初はルルナのクラス――2年A組クラスを教えることになった。

 

「こちらこそよろしく、無茶はしないように」


「はい! 頑張ります!」


 やる気なのはいいが、魔力が漏れている……。

 朝からマナポーション不回避ですな……。


「いいな、ルルナちゃんは、私は昼過ぎからだよ……」


「順番だからしょうがない、しっかり教えるからちゃんと待ってくれよ」


「うん、じゃあ私たちは先に行くね――」


 そう言って2人は走って門をくぐっていく。

 今日は各クラスの2年生と大学1年生を教える予定だ。

 名簿を確認したところ、ルルナとブレンダが書いてあった。

 それに生徒の適性も書いてあり助かっている。

 ただ、大学生は自由参加であるため、確認はできない。

 その中に王子とベルガがいそうな気がする。

 

 この2人はいろいろと言われそうで不安しかない……。

 まあ、どこまで教えるかわからないがやれるだけやるか。


 職員室に入り、挨拶をして、各クラスを担当している職員に教える魔法、生徒の進歩状況などを確認する。

 聞いたら2年生はまだ進学したばっかりで魔法が打てないのがほとんどだ。各魔法の初級を教えてほしいとのこと。

 各担人はブレンダとルルナを褒めていた。1年でアロー系の魔法を使えて、成績が優秀とのことです。

 やっぱり進学早々に魔法を使えるのはすごいか……。


 だいたいのことはわかった。

 そろそろ時間で魔法練習場に向かう――。

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