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383話 時間があるから――


 ――翌日。


 

 今日は昼過ぎに全生徒に挨拶する。

 まあ、予想していたが、なぜか騎士の練習場だそうです。

 校内ではないのか……。

 練習場はかなり広いし挨拶だけで終わりそうにはない……。


 ローズさんは挨拶だけと言っているが、あまり期待しないでおく。


 朝食のとき、ヴェンゲルさんがいなく、ソウタはひと安心していた。

 用があるということでソウタは昼過ぎまで待機ということです。

 しかも王様たちもこれから用があるそうで、騎士たち――尻追い組を連れて行くので相手もないそうです。


「つまらないですこと……」


 メアさん、我慢してください。

 まあ、ヴェンゲルさんは依頼の確認だと思うし、もしあったらソウタは王都に出て数日は戻って来ない可能性がある。


「それじゃあ、僕たちはこれで、一緒にお茶できなくてごめんね~」


 王様たちは笑顔で席を外して食堂を出ていった。

 ゆっくりできないほどの用なのか。

 

 俺たちは時間があるし、オルリールさんに挨拶でも行くか。


「ソウタ、俺たちはギルドに行くがどうする」


「悪い、部屋でゆっくり休むよ。またグランドマスターになにやらされるかわからないからな」


 まあ、そうだよな。

 体力温存したいし、そんな余裕はないか。


「チッ……」


 メアさん、不満そうな顔して舌打ちしないでください。

 仮に一緒にいても面白いことなんてないぞ……。


 部屋に戻り、無限収納からアイシスに作ってもらった青いスーツに着替えようとすると…………メアが笑顔で見つめてきます……。

 青いスーツをしまい、メアが作った黒いスーツを出して着替えました。


「主様がワタクシのスーツを選びました……。アイシスに報告しますね……」


 顔をうっとりと赤くして喜んでいる。

 いや、選んだもなにも、無言の圧力がすごすぎて着ただけだが……。

 報告しなくていいぞ……。


 メアが上機嫌のままギルドに向かう――。


 中に入ると――受付にいるエミーニャが俺に気づき、駆け寄ってくる。


「久しぶりだにゃ! もしかしてボスたちに用があるのかにゃ?」


「ああ、そうだ。忙しくなければ案内してくれないか?」


「大丈夫にゃ! お連れの子もついてくるにゃ!」


 メアは追求しなく、何も言わなかった。

 まあ、賢者の身内と察したのかもしれない。


 エミーニャは鼻歌を歌いながら案内される。

 やけに上機嫌だな、良いことでもあったみたいだ。

 

 ギルドマスター室に入ると、オルリールさんがソファに座ってくつろいでいて、フェンリは尻尾をブンブン振って、興奮状態だ。


「久しぶりだなレイ、オレと勝負しろ!」


 久々の再開で勝負とは、相変わらずの戦闘狂は健在で……。

 

「悪いが、そんな余裕はないぞ。諦めてくれ」


「そうなのか……? なら、そこの強そうな子、オレ勝負しないか?」


「残念ですがお断りしますこと……。ワタクシ、か弱い乙女です……。勝負事は嫌いです……」

 

「絶対に噓だ、オレの【直感】では弱くはない、オレよりも絶対に強い。そうだろう父ちゃん」


「確かに強いが……。初対面の嬢ちゃんに勝負の申し出をするな……。嫌がっているだろう……」


「わかったよ……。けど暇すぎて死んじゃうよ……」


 何もないとわかると、耳と尻尾が垂れ下がる。

 やっぱり依頼が少ないのか、戦闘狂には辛いけどな。


「死にはしないぞ……。久しぶりだなレイ、俺に何か用か? もしかしてそこの嬢ちゃんにミスリルのギルドカードを渡すしてくれとは言わないよな? ヴィクトリアはいつもの通り不在で渡すことができないぞ」


 ああ……そっちの用だと思っているか……。


「違いますよ、王都に1ヶ月いるので挨拶をしに来ました」


「長期でいるのは珍しいな、何かあったのか?」


「実は――」


 オルリールさんに事情を説明すると、肩をポンっと叩き、同情してくれる。


「リリノアも勝手だな……。頑張れよ……辛かったら俺に相談しろ……いつでも乗るからよ……」


「大丈夫ですよ……。それよりも相談できる時間なんてあるのですか?」


「ああ、最近、魔物の数が少なく、仕事の量が減って楽だ」


「そうですか。じゃあ、ヴィクトリアはいないのはなぜです? 協会の人とはいえ、のんびりできる時間がありますが?」


「それは察してくれ……、強い魔物を探しに遠くまで行った……」


 忘れていました……フェンリより戦闘狂でしたね……。

 

「母ちゃんだけズルい……」


 涙目になるほど辛いのかよ……。

 しょうがない――。


「俺は無理だが、それだけ暇なら俺の領地に来るか? みんなの稽古してくれるなら大歓迎だ」


「本当か!? 今すぐ――」


「ダメだ! お前は試験の真っ最中だぞ! レイ、この話は終わってからにしてくれ」


「えっ? 試験ですか?」


「ああ、フェンリはAランク試験を受けていて、実技だけだ。バジリスクがいなくて待機している」


 まさかの試験途中とは……どおりでおとなしくしていたわけだ。

 というかもうAランクか……フェンリの年齢では早すぎだろう……。


「わかりました。ということだフェンリ、お預けだ」


「うぅ……早くバジリスク狩りたい……」

 

 重症だな……。試験ならしょうがない。


「俺もレイの領地に行ってみたいな、仕事の量が減ってもやることはあるからまだ無理だけどな」


「いつでも歓迎しますので、連絡すれば迎えに行きますよ」


「そうか、楽しみしてるぜ!」


「やったにゃ! 私も楽しみにしてるにゃ!」


 やっぱりエミーニャもついてくるのですね……。


 そのあとメアの自己紹介をし、挨拶が終わった。

 まだ少し時間があるが、やることないし練習場に行って待機でもするか。

 遅れるよりはマシだしな、ギルドを出て練習場に向かう――。

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