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382話 ここにもいました……


「氷よ、敵を射貫け――――アイスアロー! きゃあ!?」


 ルルナは失敗し周囲に冷気が漏れだした。

 相変わらずだな……。

 だが、前回より杖を破壊しなく終わった。

 成長はしている。

 あとは大量に置かれているマナポーションが少なくなればな……。


「頑張っているな、けど、ほどほどに練習をしなよ」


「レイさん!? お、お久しぶりです!」


 ルルナは疲れているが、俺の声に反応して駆け寄る。

 前よりも少し表情が豊かになっている。

 なんだかんだ1年近く会っていなかったし成長はするよな。

 背も少しずつ伸びているし。

 魔力のほうも……さらに増えている……。

 この子の魔力量はいったいどこまで増えるのだ……?


「元気でやっているか?」


「はい、もちろん……です……」


 そう言いながらも地面についてヘトヘトだ。

 寮に帰るのに身体が持たないな。

 市販されているマナポーションでもすぐに回復はできない。


「今日はもうやめろよ――――マナチャージ」


 風と回復の【混合魔法】で魔力を分け与えた。

 

「えっ、身体が軽い……ありがとうございます!」


 すぐに立ち上がりお辞儀をする。

 

「応急処置だから激しく動かないように」


「わ、わかりました!」


「さすがレイさんですね。やはり私の目に狂いはない……」


 急にローズさんは笑い始めた。

 この魔法は生徒には教えられませんよ……。

 というか練習に来ていた生徒は俺の魔法を見て驚いている……。


「ところでレイさんは、なぜ学校に?」


「リリノアさんに代わって1ヶ月ほど魔法を教えることになった。短い間だがよろしくな」


「レイさんが講師に!? よ、よろしくお願いします!」


「ああ、ビシバシ教えるから魔力を温存してくれ」


「はい、お願いします!」


「それでブレンダが見当たらないが一緒ではないのか?」


「ブレンダちゃんはいつも勉強をしてから来るので、もうそろそろだと思います」


 変わらず頑張っているな、この2人無茶をしなければいいが。


「お、お兄さん!?」


 その声で振り向くと、ブレンダが笑顔で駆け寄ってくる。

 さらに背が大きくなったな……155㎝以上はある……。

 まだまだ伸びしろはありますね。


「久しぶりだな、ブレンダ。元気だったか?」


「久しぶり、このとおり元気だよ。お兄さんは、どうしてここに?」


「ブレンダちゃん、レイさんはリリノアさんに代わって魔法を教えてくれるよ」


「そうなの!? 嬉しい! これからよろしくね、お兄さん!」


 これからこの2人を教えるとは思っていなかったな。

 短期間で教えられるかわからないが、できるだけこのことをしよう。

 

「ワタクシも忘れてはなりませんこと……」


「お兄さんはこの子は?」


「俺の助手をしてくれるメアだよ。アイシスの身内って言えばわかるだろう」


「体型が良いと思ったらお姉さんの身内なのね、納得だよ」


 ブレンダ、スタイルで身内基準するのではありません……。


「フフフ……ありがとうございます……。おふたりもわからないことがあれば、いつでも言ってください……」


 お互い握手して、挨拶をした。

 メア、決して変なことは教えるなよ。 

  

「理事長……この方は……?」


 隣で練習をしていたガタイがいい銀髪の男の生徒が話しかける。

 ちょっと横目で見ていたが「アースランス」の練習をしていた。

 中級の練習だと大学生だな。

 

「こちらはスタンピードを救ってくれた賢者レイさんですよ」


「賢者レイさんだと!? 俺の街を救っていただき、ありがとうございました!」


 俺に思いっきり頭を下げたな……。

 その大声でほかに生徒も駆け寄ってくる……。

 

「そんなたいしたことはしてないって……。救った街ってどこ?」


「デストルツです! 俺は大学1年、魔法科――ベルガ・スモ―トと申します! 魔物の1体も入らせないのはSSSランク冒険者でも無理ですよ! 謙遜せずに誇りに思ってください! 授業、楽しみにしてます!」


 ああ、デストルツ出身か。どおりで腰が低いことだ。

 

「頭を上げてくれ、そんなにかしこまれても困る……。俺が教えづらい……講師くらいの接し方で頼む……」


「わかりました! ではレイ先生と呼びます!」


 かなり砕けたな……。まあ、その性格嫌いではない。

 

「彼はレイさん方々に感銘を受けて進学した子です。どうかよろしくお願いします」


「理事長もすごいお方を呼んで、ありがとうございます!」


「いえ、街を守る魔術師になるよう頑張ってください」


「はい、戦乙女――ルージュギルドマスターが不在なので早く取得して街を守りたいです!」


 ああ……ルージュさんがいないと街が不安になりますよね……。


「そういえば、噂でレイ先生の領地にルージュギルドマスターが移動したと聞きましたが本当ですか?」


「そうだよ。なんか悪いな、大事なギルドマスターを移動させてしまって……」


「とんでもございません! ただ……街で嫌な噂を聞きまして……精霊使いも一緒に住んでいますよね?」


「そうだが、どうした?」


「実は……ルージュギルドマスターは精霊使いに脅迫されて強制的に婚約を結ばれたと噂が流れています……。それは本当ですか……?」


 なんだよその噂は……。

 まさか尻追い組の冒険者の仕業か?

 まったく、どこのどいつも懲りなさすぎだろう……。


「その噂は――」


「あり得ないことはないと思います……」


 ちょっとメアさん……また変なことを……。


「どういうことですか? 詳しく教えてください!」


「詳しくもなにもございません……。ワタクシたちでも事情は把握できませんこと……」


「そうですか……。 まさか……隠しているってことですか!?」


「その可能性はあります……。精霊使い――むっつりなお兄さんは主様の領地に住んでいるのはおかしいと思いました。なぜ遠い未開拓地に移動したのは裏があるかと……」


 もうやめろ……これ以上面倒事増やしてどうする……。

 ローズさんも何か言ってください……。


「確かにルージュお姉さんはグランドマスターに相談していたのはこのことか……。もう少し整理しないとわからないですね……」


 あなたも考えこまないでください……。

 さっき一緒に昼食したでしょう……普通にわかるだろう……。


「やはりそうでしたか! 精霊使い……大事なギルドマスターを……」


 あっ、魔力を出して怒っている……。

 ベルガも尻追い組と確定しました。


 ここで取り消すようなことを言っても無駄な気がする……。

 いや、断言しよう尻追い組は絶対無理だ。

 

 ソウタが王都にいるとは言えないな……。


「情報ありがとうございます! 俺はギルドマスターを救わないといけないようだ、頑張るぞ!」


 ベルガは怒りをぶつけるように再び練習をする……。

 おい、さっき街を守る魔術師になるのではなかったのか!?


「フフフ……頑張ってください……」


 メア、ソウタに恨みでもあるのか……?

 

「お兄さん……本当なの……?」

「レイさん……」


 ブレンダとルルナが俺を見つめる……。


「メアが言っている――ソウタのことは大半が噓だから信じなくていいぞ……」


「「うん……」」


「噓だなんて言ってませんこと……。ですよね……理事長……」


 おい、さらにややこしくさせるな……。

 純粋な2人を巻き込むな。


「メアさんは言っていることは信憑性はあります。信じられないなら、この目で確かめてください」


「「わかりました……」」


 ローズさんがまだ中立なほうで良かった……。

 まあ、ソウタは学校に来ないし確かめるも何もないが。

 大丈夫だろう。


 ほかに駆け寄ってきた生徒にも挨拶をし、ブレンダとルルナにお別れをして、学校の案内が終わった。

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