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378話 理事長にお願いされる


 ローズさんは俺のコートを掴み、涙目で訴えてくる。

 混乱しているな、とりあえずここは冷静に――。

 

「急に言われても困ります……。力にはなれませんのでほかを雇ってください……」

 

「すぐに雇えるのはレイさんしかございません! ほかをあたると時間がかかってしまいます!」


 そうきたか……。


「俺は領地を離れるわけにはいけません……。大変でしょうが、ほかを――」


「私から見ると、皆さんがいれば大丈夫と思います! 王国騎士もいるので安心かと!」


 どうしても俺を雇いたいと……?

 まあ、俺がいなくても大丈夫と思うが、ソウタがいないし戦力は…………大丈夫か。

 大半は干からびて安静にしているし、ここぞってときに戦えるかわからないしな。

 変わりはないか。

 よく考えたら俺がいなくても国も滅ぼすほどの戦力があるよな……。

 ただ単に俺が心配し過ぎか? 

 それでも面倒事だ――。

 

「俺は授業なんて教えられませんよ……。学校に行っていない人に務まるわけが――」


「レイさんにお願いしたいのは魔法取得授業です! 魔法学校では初級魔法を、大学では中級魔法を――レイさんならできます!」


 大学のほうも教えるのかよ!?

 まあ、魔法を教えるくらいなら、なんとかなりそうだが……。

 というか大粒の涙を流しているし……ほかに頼れないのか? 

 …………はぁ……しょうがない、引き受けるか……。


「リリノアさんの契約期間の1ヶ月だけですよ。それ以上はできません。もし、領地が危険となった場合、戻ります。それがダメなら講師はしません」


「あ、ありがとうございます! もちろん、レイさんの都合に合わせます!」


 そのままローズさんはホッとし、抱きついて大泣きをする。

 弱音を吐かない我慢強い人かと思ったが、そうでもないようだ。

 いろいろとプレッシャーに耐えてきたのかもしれない、理事長って大変だな。


 あの……ドアの隙間から圧があり、寒気を感じるのは気のせいか……?


「本当にありがとうございます! 急ですがよろしくお願いします!」


 ローズさんは泣いてスッキリし、職員に俺が講師と行くことを連絡して笑顔で書斎を出ていった。

 あの双子と違い、腹黒くなく純粋な人だよな。

 騙されているわけではないみたいだ。

 まあ、騙されていれば引き受けないが。


 ということでみんなに明日から講師として王都に行く言うと、頷いて納得してくれた。

 だが、メアは手をあげ――。


「主様が行くのであればワタクシも行きます……」


 メアもか。領地に残ってほしいが、身の回りの世話をしてくれるし助かる、1人くらいなら大丈夫か。


「わかった、好きにしてくれ」


「ありがとうございます……」


「俺が教えているとき暇だと思うから自由にしてくれ」


「いえ……ワタクシも参加しますので大丈夫です……」


 はい? なんで?

 またメアは何を企んでいる……?


「参加する必要はないが……?」


「ワタクシは主様の助手として参加するつもりです……。生徒には下賤な輩がいますので口答えする者にはワタクシがお仕置きをします……」


 いや、そんな展開ないぞ……。

 心配するのはわかるが、その必要はない。


「俺1人で大丈夫だから……。その前にローズさんに許可をもらえるわけが――」


「理事長さんには許可をもらっております……。ご安心ください……」


 何も言っていないのに、もう許可をもらったのか!?

 あのとき圧と寒気はメアだったか……。

 まさか抱きつかれたのに嫉妬しているのか?


 どうやら俺を監視が目的らしいな……。

 ローズさんとはそんな関係にはならないが。

 

 メアが気が済むまでやらせるか……。


「わかったよ……好きにしてくれ……」


「フフフ……ありがとうございます……」


 満面の笑みですな……。

 何かあったときメアが対処してくれるのはありがたいが。

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