376話 理事長は人気者
ローズさんが来て5日が経つ。
スカーレットさんとしっかり話し合い、代理は保留となった。
理事長をしてれば忙しいし、無理があるよな。
次からは勝手に決めないでください。
ローズさんは肩の力が抜けて、硬かった表現は軟らかくなり、メガネを外して集会場のイスに座ってお茶を飲んでいた。
ピリピリして近寄りがたい人だったが、あくびもして双子の妖艶さがある。
こうして見ると双子と変わらず美人だよな。
それを見た尻追い騎士は心を奪われたのか――。
「俺と付き合ってください!」
っと手を差し伸べて告白をしていた。
何を言っているのだ……この前、ソウタがいなくなったことを狙ってスカーレットさんに告白して粉々に砕かれたのに、今度はローズさんかよ……。
姉妹なら誰でもいいのか……。本当に懲りないな……。
しかもほかの尻追い組が並んで待っていた。
「いいでしょう。付き合いますよ」
「えっ、噓だろう……。や、やった……」
告白した騎士は喜びに震えてガッツポーズをする。
マジか……。まさか好みのタイプだったのか?
すると、ローズさんは腰に付けている短剣を抜かずに鞘ごと取り出して――。
「ぐはぁぁぁぁ――――!?」
横腹を狙って、薙ぎ払って吹き飛んでいき、仰向けに倒れて気絶をした。
付き合って稽古のことですね。真面目な性格をしているし、そう思いますね。
「せっかく付き合うのに、喜んでいる暇がありますか? それでも王国騎士ですか? 次の方、期待してますよ」
後ろに並んでる人も稽古相手だと思っている。
「「「がはぁぁぁぁ――――!?」」」
ものの数分で全滅した。少しだけ魔物を戦っているとこを見たが、動きがルージュさんと似ている、しかもルージュさんより早い。
小人――ナゴミと負けないくらいの強さを持っている。
剣と魔法を使えて小人にも負けない強さなら王様が代理にしたいわけだ。
「ローズ、この人たちが言っている付き合ってくださいは、あなたに恋人になってほしいとのことだよ」
「えっ…………? えぇ!?」
スカーレットさんの発言で驚いて顔を真っ赤にし、恥ずかしくなり猛ダッシュし、この場を離れた。
何気にかわいいところあるのだな。
騎士たちは起き上がると、何やら火がついてしまい、ローズさんを探しにいく。
本当に懲りないな……。
そのローズさんは俺の屋敷の書斎で身を潜めていた。
隠れるのに良い場所を選びましたね。
落ち着くまでいてもいいが。
落ち着きを取り戻し、何気ない顔で外に出ると尻追い組が再び告白をする。
「あなたたちは、弱いです。私はSSSランク以上の魔物を1人で倒せる強いお方しか興味がありません。諦めてください」
っとバッサリ切り、尻追い組は地面に膝をついて泣き崩れていた。
このくらい言わないと諦めないよな。
冗談だとは思うがSSSランク以上を1人で倒せる人とかこの世にあまりいないような気がする。
尻追い組はローズさんを諦めたが、スカーレットさんは何度もアタックしていた……。
その体力……見張りで使ってくれ……。
――――◇―◇―◇――――
――翌日。
いつものようにローズさんは魔道具を借りて職員と連絡する。
明日で戻るが、最初から最後まで忙しいですな。
「なんですって!? あの気まぐれエルフが昨日の昼間からいない!? その後、授業はどうなりましたか?」
どうやら問題が発生したようだ。
校内に問題児がいるのかな?
「大丈夫ですか?」
「つい、大声を出してすいません。講師が急にいなくなってしまい、少々問題が……。あの気まぐれエルフはどこに……」
講師がドタキャンするとは自分勝手だな。
よくそんな人を雇ったな。
「その気まぐれエルフとは誰です?}
「商都のギルドマスターのリリノアさんです。まさ面倒になって帰ったとか……?」
…………リリノアさんかよ!?
確かブレンダが臨時講師をしていたと聞いたな……うん、リリノアさんなら絶対にやる……。
いなくなったのは思い当たりところがあります……。




