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375話 グランドマスターの怒り


 察しがつくが、とりあえず聞いてみるか。


「なんでソウタに用があります?」


「アイツがルージュよりスカーレットが良いと言ってな……許せない……。平等に愛せと言ったはずだ……」


 ですよね……。

 帰りが早いと思ったらヴェンゲルさんに相談に行っていたのか……。

 いや、メアが何か吹きかけたに違いない。

 罰を与えたつもりだったが逆効果のようだ……。


「ほどほどにしてください……」


「それはできない……ルージュを泣かせた奴には手加減無用だ……」


 噓泣きですよね……?

 後ろでクスクス笑っているのはなぜです?

 女って恐ろしい……。 


 この状態でソウタと鉢合わせたら周囲の建物が崩壊する。

 …………さっさと終わらせよう。


「メア、ソウタを呼んでくれないか? ヴェンゲルさん、ソウタが来てもすぐに手を出さないでください。もし手を出したらソウタを逃がします」


「フフフ……仰せのままに……」


「わかった……」


 メアはソウタを呼びに行って十数分が経つ、感づいて逃げたか?

 

「――遅くなりました……。むっつりなお兄さん捕まえるのに少々時間がかかってしまい……」


 メアは空間魔法(ゲート)を使い戻ってきて、ソウタを闇魔法(シャドウチェーン)で縛りあげている。

 やっぱり逃げていたか……。


 ヴェンゲルさんは手を出そうと堪えているが、さらに魔力を多めに出している。


「なんだこの状況は……?」


「テメェ……よくもルージュを泣かしたな……」


「早まるな、グランドマスター! 何かの勘違いだ! 俺は何もしていないぞ!」


「ひどい……私を見捨てて、そんな言い方……」


「そうです……。さっきまでスカーレットさんとお熱くなっていたのに白を切るつもりですの……?」


 2人とも噓を言うな……。

 ああ……ヴェンゲルさん魔力が……。


「テメェ……覚悟はできているな……?」


「だから俺の話を聞け! レイ、なんとかしてくれ!」


「悪いが、無理だ、死ぬ気で逃げろよ、健闘を祈る」


 ここまできたら説得の余地はない、諦めてくれ。


「テメェが我慢すればいい話だ……。レイ、そろそろいいか……?」


「はい、ですが迷惑がかけないように外の方でやってくださいね。メア、外に移動させてくれ」


「仰せのままに……。むっつりなお兄さん……外に出たら解放しますので安心してください……」


「やめてくれ――――!」


 再びゲートを使い領外に移動した。

 おぉ……遠くでもヴェンゲルさんの魔力が爆発してます……。


 この修羅場? を見ていた子どもたちが気になって行こうとするが、大人たちはダメと言って止める。


 子どもには悪影響ですもんね……。


 俺は結果を待つだけだ――。


 夕日が沈む頃にはヴェンゲルさんの魔力が正常になった。

 終わったか、さて様子でも見に行くか――。


「コイツ……逃げ足は早いし無駄に硬いぞ……手こずらせやがって……」


 ヴェンゲルさんはボロボロになったソウタを片腕で持って来ました。

 気絶しているということで命に別状はないとのことです。

 ……まあ、よしとしますか。

 

 ヴェンゲルさんはまだ気が晴れていなく、不満げだが、メアとルージュさんは満面の笑みでした……。

 これ以上ソウタで遊ばないでください……。


「レイ、コイツだが王都に持っていくぞ」


「どうするつもりで?」


「Sランク以上の依頼を強制的に受けさせてコイツの性根を叩き直す。士爵になってどうも浮かれてやがる。数ヶ月は借りるぞ」


 数ヶ月もか……。

 まあ、ソウタは絞られている日々が続いて、身体が訛ってる。

 今後――(ゴミ)どものことを考えると鍛え直したほうが身のためか。


「わかりました。性根もそうですが、強くさせてください」


「おう、俺が稽古もつけるから安心しな、精霊たちにも言ってくれ」


「お兄さん……逞しく帰って来てね……」


 ルージュさんが手を振って見送り、メアがゲートを使い戻ってしまう。

 しょうがない、言ってくるか。


 事情の知らないソウタの嫁と精霊たちに強くなって戻ってくると、ごまかすと納得してくれた。


「寂しいけど、仕方がないわ~。夜の時間がなくなって困ったわ~」


 こうしてトリニッチさんは夜の見張りをしてくれるようになった。

 面倒事は起きたが、結果的に良い方向に進んだからよしとしよう。

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