373話 理事長の説教
2人を降ろさずにそのまま説教が始まった。
ローズさんは今まで溜まっていたことを吐き出すかのように一方的に言う。
しかも今回の件以外のことも言う。
ルージュさんが来て、宥めるが聞く耳持たず。
どれだけ溜まっていたんだ……。
「反省しているから、そろそろ下してくれない? ローズの魔法はきつすぎるわ」
余計なことを言ってまた挑発していますね。
さらに縛っています。
「あの……俺関係ないのですが……」
「そうよ……ローズ……お兄さんは悪くないよ……」
「仕方がありません、ルージュお姉さん免じて下ろします」
ソウタはホッとひと安心した。
まだ安心している場合ではないぞ、疲れ果てている騎士が体力を戻してゆっくり向かってきている。
休んでいる暇なんてないぞ。
今日は一日中逃げないと。
「むっつりなお兄さんを下ろすのですか……? ワタクシはこのまま反省させたほうがよろしいかと……。たまに独り言でルージュよりスカーレットほうが良いと耳に入りました……」
「ちょっと止めて、お兄さんどういうこと……?」
「俺はそんなこと言っていないぞ!?」
またメアはしょうもないことを……。
面白くさせようとするのではありません。
「まあ、お兄さんったら私を選ぶなんて……」
その発言でスカーレットさんは顔を赤くする。
わざとらしい……。
「お兄さん……お仕置きが必要ね……。反省して……」
結局ソウタは縛られたままになった。
騎士たちも来て、いつ下りてもいいように準備ができている。
「「「精霊使い……許せない……」」」
「レイ、助けてくれ! このままだと領地が滅茶苦茶になるぞ!」
いや、15人くらいで無茶苦茶になるわけがないが、のんびりしてる人には少々迷惑だ。
しょうがない――。
「騎士のみなさん、ソウタをやるなら領外で」
「「「ハッ!」」」
俺に敬礼をするくらいまだ理性はあるようだ。
「メア、ソウタと騎士を外に移動させてくれ」
「仰せのままに……」
「私も行くわ……」
メアは空間魔法を使ってソウタとルージュさん、騎士を外に移動させた。
これでよし、ソウタに悪いが、騎士が気が済むまでやらせる。
あとは説教を待つだけだ――。
夕日が沈むんでも説教が続いていた。
「まだ言いたいことがありますが、今日はこのくらいにします」
今日はって……1週間も滞在するしスカーレットさんには酷だ。
いや、自業自得か。
スカーレットさんを下ろして闇魔法を解除した。
説教が終わったことだし、アイシスに滞在用のゲストハウスの案内をお願いをする。
さて、俺は――。
「それで、ローズさんは代理をしてくれるのですか?」
「言っても無理よ。私の話を全然聞いてくれないもの」
今日は溜まっていたことを吐き出していたし、言える状況ではないか。
「俺の領地に来る前に説得してください……」
「まさかここに来るとは思わなかったわ。ボウヤにはまた迷惑かけたわね」
「では、あなたを追っている騎士たちにしっかり仕事するように言ってください。それで迷惑をかけた分はなしにします」
さすがにソウタを敵意むき出しで仕事に集中できないしな。
ここはスカーレットさんが説得すれば見張りの仕事をしてくれるはずだ。
「わかったわ、その分働くわ」
「それと、ローズさんが滞在するまでに話をつけてくださいね」
「もちろんよ」
スカーレットさんはのびのびとしてこの場から離れていった。
なんだかんだ解決はしそうだ。
これで面倒事は起きなく済みそうだ。
――夕食の時間。
みんなが集まり、食事を摂っているが、スカーレットさんとローズさんが一緒の席に座っていた。
ローズさんがまた説教をしていて、スカーレットさんは耳を塞いでまったく聞いていない。
仲がよろしいことで。
「理事長じゃないっスか! 久しぶりっス!」
メメットはローズさんに近づき挨拶をする。
そうか、大学を卒業しているから知っているか。
そのままメメットは隣に座り、2人はいろいろと話をしていた。
スカーレットさん、メメットに助けられましたね。
しかし、外に移動した組はまだ帰って来なかった。
あっちはあっちで楽しんでいますね。
今日中に終わらせてください。




