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372話 理事長


 夕食を済ませて、ローズさんに連絡をする――。


 俺が出てくるのがわかると、ため息をついていた。

 やっぱりこうなると予想はついていたか。


 スカーレットさんのことを伝えると――。


『あの愚姉……また勝手なことを……』


 通信機でも怒りが伝わっているのがわかります……。


『すいません、説得しても無理でした……』


『いえ、レイさんは悪くありません、あの愚姉がすべて悪いです。ご迷惑をおかけして申し訳ないです。手がかかる愚姉ですが、よろしくお願いします。では失礼します』


 そう言ってすんなりと切れてしまった。

 怒っていたが潔いいな。

 まあ、スカーレットさんのことだから言っても無駄か。

 

 さて、この話は終わったし、俺には関係なくなった。


 


 ――――◇―◇ー◇――――



 ――翌日。



 王様から連絡が来て――王国騎士を30名ほど派遣する話になり2日後に迎えに来てほしいとのことです。

 それにしては準備が良すぎるのでは?

 まあ、開拓の手伝いをした騎士たちだろうし、喜んで引き受けたのだろう。


 

 ――2日後。


 

 王国騎士が来る日となった。

 アイシスが空間魔法で向かいに行き、俺は集会場で待っていた。



 十数分後――おっ、戻って…………なぜだ……半数の兜を被っている騎士は武器を持ち、魔力を出して臨戦態勢だが……。

 それ以外の騎士は顔を出して前に手伝いに来た人とわかった。

 それに……あの双子の姉妹に似た、メガネをかけてオールバックの赤髪セミロングで正装に腰に短剣を付けている女性が大型のスーツケースを持っているのですが……。

 妹のローズさんとわかった。ああ、察しが付く……。


「フッ……。スタイルはよろしいですが……2人に劣りますこと……」

 

 メア……鼻で笑うのではありません……。

 あの姉妹と比べるものではありません……この人もそれなりにあって、かなりの美人だぞ……。


「コホン、あなたがレイさんですね。私がローズです。急で申し訳ありませんが、1週間ほど滞在します。よろしくお願いします」


 本当に急だな……まあ、空き部屋があるし問題はない。


「わかりました……。ところで仕事のほうは大丈夫ですか?」


「あらかた片づいております。心配ご無用です。さっそくですが、愚姉はどこにいますか?」


 お茶でも用意しようと思っていたが、そうはいかないか。

 スカーレットさんは今日もお取込み中だと思うし少し待つように言うか。


「では……ワタクシが案内をします……。ですが……あなたのお姉さんは婚約者とお熱くなっていますよ……。それでもよいのですか……?」


「えぇ、かまわないわ、案内してください」


 メア……面白い展開になるからって案内するな……。

 

「「「精霊使い……許さない……」」」


 兜を被った騎士たちはさらに魔力を出す……。

 まさか、この人らはスカーレットさんを狙っている奴かよ……。


 とうとう、痺れを切らして来てしまったか……。

 というか、よくこいつらを出したな、半数なら大丈夫と思ったのか?


 しかもメアの後ろについているし……。

 ほかの騎士が呆れながら止めようとするが、聞く耳持たず。

 そのままついて行ってしまった。

 

 …………とりあえず様子は見るか。

 ここでガス抜きしておかないと、余計に面倒事が起きる。


 領地を荒らすなら止めるが。

 

 俺も遠くから後を追う――。


 ソウタの家に着くと、ララア出てきて何があったのか驚いていた。

 事情を話すと2人はお取込み中だそうです。


 だけど、家には2人の魔力反応がない。

 …………あっ、微かに家の裏に反応があるな、【隠密】でも使っているのがわかった。

 まさかスカーレットさん【隠密】持ちだったか。


「隠れても無駄――――ディスペル!」


 ローズさんは無魔法上級を使い――家の周囲を魔力の輪が包み込み、2人の【隠密】を解除し、反応が大きくなった。

 ディスペルってスキルも解除できるのか。まあ、スキルに効くやつもあるってことか。

 それに【無詠唱】も使えるとはさすが理事長だ。


 急いで逃げだした――。


「待ちなさい! 逃がさないわ――」 


「「「精霊使い……覚悟……」」」


 ローズと騎士たちは追いかけていく――。


「なんで俺もなんだ!?」


「お兄さん、口を動かすより走りましょう」


 さて、俺は捕まるまでお茶を飲んでいるか。


 


 ――2時間後。



 まだ2人とも捕まらず追いかけていた。

 意外にもスカーレットさん体力あるな、いつもゆっくりしていたがソウタと一緒に走っている。

 じゃないと専属の魔導士なんて務まらないか。

 さすがの騎士たちはバテてしまったのか地面に倒れて離脱している人が多い。


 ただ、1人だけ――ローズさんは疲れも見せずに追いかけていた。

 王様は剣を使えると言っていたし体力もあるわけだ。


 それにしても魔法で逃げ場をなくせるのに追いかけてるだけだ。

 スカーレットさんも魔法を使っていない、逆に魔法を使うと隙がでるのか?


「そろそろね――アーストラップ!」


 ローズさんは2人の前に地魔法で地面に穴を無数あけて――落とし穴に入れるつもりだ。

 周囲を穴だらけにするとはすごいな、しかも周りには何もなく、逃げ場もなくなった。

 まさかずっと追いかけていたのは、周りを把握していたのかもしれない。


「私とお兄さんがこんな小細工で通用すると思っているの?」


 2人は手前で高く飛び――越えようとする。

 そう、うまくいくわけないか。


「残念、その小細工が通用するのよ――シャドウバインド!」


「「えっ?」」


 穴のほうから無数の影が出てきて、2人掴み、縛りつけてぶら下がる。

 これは予想外だ――ローズさんの戦略勝ちだ。


「やっと捕まえた……言いたいことは山ほどあるわ……」


「お手柔らかにね……」


 スカーレットさんは妖艶な笑みでローズさんを見つめている。

 逆効果なのか怒って魔力を出しています……。

 刺激してどうする……説教が長くなるだけだぞ。

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