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366話 目を開けると――


 意識が戻った――。


 目を開けるとエフィナらしき姿に合った真っ白い空間にいた。


 夢なのか……? でも意識がしっかりしている。

 

 周りを見渡すと――遠くに離れたエフィナらしき少女が後ろ姿でいた。

 

「エフィナなのか?」


 俺は少女に声をかけて駆け寄る――。

 少女は俺に気づくと振り返って笑顔でいる。

 だが、あと数mの距離で走っているのに前に進めなかった。


「なぜ進めない……」


「まさかここで二度も会えるとは意外だよ。ボクの姿は見えるの?」


 その声を聞いてエフィナと確信した。

 まさかこの少女が魔剣だとはな。


「ああ、はっきりと見えぞ。だけど近くに行けない……」


「そうか……。やっとここまで来たか……。近くに行けないのはまだまだ力不足だね」


「力不足? マイヤのときは手を握って力を貸していたのはなぜだ?」


「あれはボクから近づいて魔力を与えたからね。まさかボクがいる空間に現れるのは予想外だよ。そのおかげでレイに簡単に魔力を与えたけどね」


 エフィナの空間? 俺の中でもあることだよな。

 もしかして魔剣を創ったことに魔力量が増えて、干渉できるようになったのか?

 そう考えればエフィナを元に戻せる可能性はある。


「じゃあ、エフィナから近づいてくれよ」


「それは無理。無理やり近づいたから今はそんな力はないよ。簡単に言えば見えない壁が張られている感じかな」


「そうか……。じゃあ、なんで俺は今、ここにいるんだ?」


「たまたまだと思うよ。無意識に来たのかもしれない。そんなホイホイとボクのところに会えるとは思わないで。あと、ボクに会えたからって、ボクをもうすぐ元に戻せるのは違うからね。そんなことしたらボクは怒るから」


 エフィナは笑顔から真顔に変わった。

 違うのか……。 

 まだ道のりは険しいか……。

 いや、数年でエフィナの姿が見えるならかなり進んだと思う。

 ポジティブに考えよう。


「わかっているよ。でも、エフィナの本当の姿を見れて安心した。もう少し身長があると思ったが」


「失礼な、こんなスタイルの良い美少女をお目にかかれるなんて滅多にないよ。それもレイの中にいるなんて興奮しないの?」


「興奮も何もないぞ。まあ、ソウタならわからないが」


「アハハ! そうだよね~。胸はルチルくらいあるからボクの姿を見たら欲情しちゃうね! そのときは助けてね!」


「わかったよ」


 エフィナと冗談を言いながら笑いが絶えなかった。

 この感じ、出会ったときと変わらないな。

 本当に魔剣だったのが不思議で……ちょっと待て……魔剣が思い出せない……どうしてだ……?


 同じ髪の色をしたのは思い出せるが形と長さが思い出せない……。

 なぜだ……あんなきれいな魔剣を忘れるなんてどうかしてる……。


「あ~おもしろかった~。早いけど、お開きにしよう」


「そうだな、じゃあ、またあとでな」


「あ~それだけど、実はまだ目が覚ませないみたい、少しだけ眠るだけだから心配しないで」


「えっ? 眠るって……」


「ちょっと無理しちゃってね。大丈夫だから」


 笑顔で言っているが、それほど魔力を使ったのか……。

 俺はまたエフィナに無理をしてしまった……。

 

「なんで……あのとき力を貸してくれた……? 力を借りなくてもギリギリなんとかなったぞ……」


「そういうとこだよ。レイはいつも無茶をするからね。もっと自分を大事にして、今回は危なかったからボクの判断でやったから後悔はないよ。むしろ助けることができて嬉しいよ」


「今回はじゃなくて、今回もだろう……。無茶をしているのはどっちだ……」


 もうエフィナの力は絶対に使わない、もし同じことが起きればエフィナが消えそうで恐い……。


「そんな悲しい顔しないで、本当に大丈夫だから。それじゃあ、おやすみ。そうだ、ティーナたちにも大丈夫だと言ってね。3人とも心配性だからしっかり言ってね」


 そう言って手を振り、エフィナから勝手に遠くへ離れていき、視界が真っ暗になった――。

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