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364話 火山調査⑦


 マグマは「アースコントロール」で穴を開けた箇所を通過する。

 満タンに入った水は一瞬に蒸気へと変わり、マグマで埋め尽くされ、岩の壁に当たり、その衝撃で少しマグマが俺たちに飛び散ってくる。


「予想以上の量だな――――アースウォール!」


 フランカは3層に分けて追加で岩の壁を創った。

 もうすでにマグマは一つ越えられた……。


「もう魔法で創れる余裕がないぞ……。ルチ助、いい加減手伝え! 気持ちはわかるが、余裕がない! 頼むから手伝ってくれ!」


「…………」


 ルチルはいまだにショックで立ち直れていない。

 

「ルチル……頼む……」


 俺が言ってもダメだ……ちくしょう……マナポーションを飲んでも全然回復しない……。

 【魔力解放】の代償が大きい……。このままだと俺たちが呑み込まれてしまう……。



 そのとき、魔力反応が――後ろを振り向くとリフィリアが飛んできた。




「酷い……フランカ頑張って――――マナチャージ!」



 リフィリアはフランカの背中に手を当てて、【混合魔法】使って魔力をあげる。


「助かったぜ! これで多く創れる――」



 追加で岩の壁を創った。

 リフィリアが早く来なかったら危なかった……。

 だが噴火は激しくなり、量が増えて厳しいのが現状だ……。


「マスターも回復させてあげる」


「いや、俺よりもマグマを止めてくれないか? 今もらっても、全然回復しない……」



「わかった――――ウインドウォール!」


 

 リフィリアは風の壁を創り、援護をする。

 追加した岩の壁も溢れてきて、風の壁へ通過した。


「いつまで続くの……? 私でも長く維持できないわ……。ルチルも手伝って……先生から聞いたよ。辛いけど、マグマを止めて……じゃないとみんなを守れない……」



 リフィリアの声も届かなかった。

 本当にマズいぞ……。応援に来てくれる人まで防ぎきることができないぞ……。

 風の壁からもうこぼれ始めている……。



「――――ダークウォール……危なかったですこと……」



 メアが来てくれて闇の壁を創ってくれた。

 ちょうどいいタイミングで来たな……。



「主様、遅くなって申し訳ございません……。リフィリアみたいに早く飛ぶことができなくて……」


「大丈夫だ……みんなが来るまで頼む……」


「仰せのままに……。その前に言いたいことがあります……。おチビ、落ち込んでいる暇があるなら手伝ってくださる……?」


 メアは少し抑えめに言っているが【威圧】を使って内心は怒っている。

 それでもルチルは聞いてくれなかった。


「はぁ……そうですか……。わかりました、おチビはワタクシたち――皆様を見捨てるつもりですか……? 皆様の命より、スライム1匹の命が大切ですか……? 魔剣として失格ですこと……。あっ、そのスライムは死んでいましたか――」


 手伝わないからってさすがに言いすぎだ……。


「ち、違う! マイヤちゃんは死んでないもん! アタシはマイヤちゃんをずっと回復させていたの! マイヤちゃんを治したら手伝うのに……全然治らない……」


 ルチルは涙をボロボロ流しながら両手が輝いて――回復魔法(ヒール)を使っていた。

 これでまでずっとマイヤを回復させていたのか……。

 それも最小限の魔力でだ。

 最小限の魔力を使って治し、温存した魔力で手伝うことなのかもしれない。


 だが、マイヤは痙攣したままで治っていない。


「でしたら私たちも優先してください……【大器用】のスキルがあるのでしたら両方できるはずです……」


「そんなのできない! スキル関係ない! マイヤちゃん……早く治って……」


 ルチルは葛藤があっただろう。マイヤを死なせないためにこっちを優先したのは大事な家族だからだ。

 ルチルの判断は間違ってはいない。

 …………俺も諦めてはいない、助けられたからには救わないとな。

 魔力もある程度回復して立ち上がることができた。


『レイ……もしかして……』


「ああ、いつものことさ。マイヤを()()にする、これしか救う方法がない……。その魔剣の力でマグマを止める」


『言うと思ったよ、今に始まったことではないからね』


 エフィナは呆れて言う。

 何言っても無理と思ったか。

 それが優しさでもあるが。

 本当ならマグマを止めるのを優先したいが、マイヤを魔剣にしたら打開策はあるかもしれない。


『でも魔力は全然回復してないけど、厳しいよ。緊急事態だしボクの魔力を使っていいよ』


「それはダメだ。これは俺の判断だ。エフィナは見ていてくれ」


『回復するのに時間がないよ、どうするのさ?』


「問題はない、メア、「マナチャージ」は使えるだろう? ある分全部くれ」


「主様がワタクシの魔力を求めている……なんてありがたき幸せ……。喜んで差し上げます……」


 メアは頬を赤くしてうっとりしている。

 メアの魔力量なら十分魔剣を創れる。

 あとは――。


「ルチル、マイヤを魔剣にするが、いいか? 絶対に救ってみせる」


「本当に……? 魔剣にしたらマイヤちゃんは元気になる……?」


「ああ、絶対だ。だからマイヤを俺に渡してくれ」


「ご主人……お願い……お願いだからマイヤちゃんを元気にして!」


「もちろんだ!」


 ルチルは涙をふき取り、マイヤを渡してくれた。

 吹っ切れたのか、魔力を全力で解放する。


「おチビ……ワタクシは主様に魔力をあげるので、邪魔にならないように全力でマグマを止めてくださる……?」


「言われなくれもわかってるよ!」


 ルチルが本気で止めてくれるなら安心して魔剣を創れる。

 頼んだ――。

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