361話 火山調査④
「――――ギャァァァァ!」
サラマンダーは雄叫び上げ、口からマグマを放射し、囲んだ岩の壁を破壊する。
頑丈に創っても邪石の強化で防ぎきれないか。
「レイ……どうする……?」
「わかっていると思うが、邪石を破壊しないと無理だな」
「そうなるか……だったら叩くまでだ――」
ソウタはサラマンダーの方へ直進し、再び剣に水を纏い、サラマンダーを一太刀できるほどの大きな水の剣へと変化する――。
「――――ギャア!?」
相手は危険を察知したのか逃げ出した。
「逃がさないぜ――――アースチェーン!」
フランカは地魔法で地面から無数の岩の鎖を巻き付けて足止めをする。
足止めはできたが、溶け始めている。長くは持たない。
「早くしてくれ!」
「十分だ――――水流断絶!」
ソウタは高く飛び――邪石に目がけて一振りをし、蒸気が発生し、視界が見えなくなる。
やったか?
だが、サラマンダーの魔力は消えていない、渾身の一撃でも無理なのか……。
蒸気が消えとサラマンダーは無傷でソウタは膝をついて、剣と鎧は溶かされて火傷を負っていた。
マズい、嚙みつこうとしている――。
「――――ダークホール!」
俺は闇と空間の【混合魔法】を使い、ソウタを黒い穴に入れて俺たちに方に移動させる。
間一髪だったな……。慌てて「ダークホール」を使ってしまったが、危なかったからしょうがない。
「ソータ、しっかりして!」
俺は無限収納からポーションを出して、全身にかける。
火傷もすぐ治り、運良く重傷は免れた。
「助かった……」
「武具はマグマを吐かれて溶かされたのか?」
「鎧はそうだ……。剣は切りに入ったときに溶かされた……。全力で水を出したが、押し負けた……」
魔力と水でコーティングされたオリハルコンの剣が溶かされるのは異常だ。
魔剣でしか破壊できないか。
「俺が終わらせる。後ろに下がって安静してくれ。ルチル、ソウタを守ってくれないか?」
「わかった! マイヤちゃんも下がるよ!」
ルチルたちは後ろに下がり、ある程度の離れる。
安全も確認し、思いっきり力を使える。
「ダンナ、「ゲート」で戻ってアイシスを呼ぼうか?」
「アイシスを呼ばなくても大丈夫だ――――アイスフィールド!」
周囲は熱波から冷気へと変わり、俺が有利になる領域を創った。
もちろん、サラマンダーには通用しないが、氷の魔剣の威力を下げさせないためでもある。
「フランカ、もう一度同じのを頼む」
「あいよ――――アースチェーン!」
再び岩の鎖を出して巻き付かせる。
準備は整った、あとは奴を切るだけだ。
俺は【魔力解放】をしてサラマンダーに近づいて邪石を狙う――。
「――――絶氷!」
しかし、額にあった邪石は身体の中に入っていき、頭を真っ二つにした。
切った箇所は一瞬だけ氷漬けになったが、マグマで溶けていき元通りの姿になる。
そんなのアリかよ!?
その邪石は腹の中心に移動してしまった……。
厄介な箇所に移動したな……。
「ダンナ、早くしてくれ! 持たないぞ!」
魔法が解除される前に仕留めないと、横腹の方に周り――。
「――――氷波!」
腹の方に魔剣を突き刺し、氷漬けにさせようとするが……なかなか凍らない……。
刺した部分しか凍らず、マグマのほうが勝っている……。
すべてを凍らせる魔剣だぞ……。効かないのはおかしい……邪石とサラマンダーでは相性が悪いのか……?
「ダンナ……すまない……」
「――――ギャァァァァ!」
岩の鎖を外され、サラマンダーは暴走し始め、大きな尻尾を振って俺に襲いかかる。
間に合うか――。
「――――アイスシールド!」
氷の盾を創り、防ぐ――。
しかし、盾もろとも吹き飛んでしまう……。
「ぐっ……」
受け身を取り、なんとか軽傷で済んだ……。
もろに尻尾を当たっていたら危なかった。
まさか丈夫なコートでさえボロボロになるとは……。
「ダンナ、大丈夫か!?」
「ああ、動ける……大丈夫だ……」
氷の魔剣は不利で邪石は腹の奥に移動している……。
簡単に終わりそうにはないな……。




