359話 火山調査②
マイヤのおかげ順調に進んで行く――。
こんな簡単に進むとはな……。
それに大量の灰を取り込んでも平然としている。
スライムさまさまだ……まあ、マイヤが特殊だけだが……。
すると、山が噴火し始めた。近くに溶岩が飛び散ってくる。
ちょっと待て……この感覚……噓だろう……邪石と同じ反応があるぞ……。
それもとびっきり大きいのが奥――火山の中に2つ……。
『レイ……この火山噴火は自然に起きていない……』
「ああ、人為的に起きている……」
まさか、こんな偶然があるのか?
明らかに俺たちを狙った可能性はある。
ベースンが言っていたな―――雇い主がここの大陸を把握していると。
もしかしたらゴミたちの失敗がなんだったのか見に来て、俺たちの領地を発見したに違いない。
じゃあ、なんでこんな姑息な真似を――。
「レイ、考え込むな! あの邪石をなんとかしてからにしろ!」
ソウタの声で我に返った。
考えている場合ではない。
「そうだな、壊してからだな」
邪石が関わっているなら噴火は止められない。
早めに蹴りをつける。
「俺は先に行く、シエル、てっぺんまで頼めるか?」
「任せるのじゃ!」
「アタイも行くぜ! 2つあるなら片方はアタイに任せてくれ!」
フランカが一緒に来るなら早く終わりそうだ。
「ということだ、終わるまで待機してくれ」
「うん、マイヤちゃん、ちょっと待ってね。ご主人が安全なために先に行くから」
ルチルが言うとマイヤは飛び跳ねて答える。
理解してくれて助かる。
「俺も行く」
「私もよ!」
「早く終わらせたい、悪いが残ってくれ」
ソウタとプロミネンスは不満なようだが、邪石が関わっているなら別だ。
いくら耐性があったとしても何が起こるかわからない。
俺とフランカはシエルに乗るが――。
とてつもない地響きがなり、さらに火山が噴火し始める。
てっぺんはマグマが流れいき、1つの邪石の反応が火口からゆっくりと姿を現してきた――。
遠くからでもはっきりと見える炎を纏った鋭い鱗の大型のトカゲで、額にはこれまでとは比べものにならない大きな邪石を付けている。
『サラマンダー……』
「サラマンダーって、ズイール大陸しか生息していないSSランクの魔物じゃないか……」
「おいおい、おかしくはないか? この大陸に生息していないのなら、邪石のせいで魔物の姿にされたとか?」
ソウタの言うとおりだ。また実験のためにここに寄越した可能性が高い。
『いや、そうではないよ。よく見て――お腹の中に魔石があるよ』
俺たちは腹の方を確認すると、魔力の塊が見えた。
本当だ、魔石があると確信した。
魔物まで実験をするのか……いったい何を考えて――。
『ギャァァァァ――――!』
サラマンダーの雄叫びを上げると――火口から無数のサラマンダーと同じ姿をした小型のトカゲが出てくる。
『ヴェルカニックリザードだね』
この魔物はこの大陸にも生息しているAランクの魔物だ。
火山周囲でしか生きられないからあまり害のない魔物だが、ここ周辺の環境も変わり、普通に俺たちの近くまで来られる。
『レイ、サラマンダーは炎を吐いてくるからいくら耐性のあるシエルでも危ないよ。まずは周りを片づけをしないとね』
そうなるか、SSランク魔物で邪石をつけているなら強さがわからない。
人と違い、未知数だ。ここはエフィナの言うとおりする。
「撤回だ、ヴォルカニックリザードの倒しながら進む、手伝ってくれるか?」
そう言うとみんな頷く。
「悪いがルチル、マイヤを守って戦うことになるがいいか?」
「大丈夫だよ! マイヤちゃん、危ないから後ろに行こうね!」
ルチルとマイヤは後ろに下がってくれた。
あとは、戦いがしやすく、この周辺積もった灰をなんとかしないとな――。




