354話 積もっています……
外は灰みたいのが降っていて数㎝ほど積もっていた。
「火山灰か?」
「はい、夜に噴火したと思われます」
領地から北側に見える大きな山か、あれは活火山だったのか。
遠く離れているからマグマが流れる心配はないと思うが火山灰は困る、身体に影響を及ぼす。
「誰か灰を吸って体調を崩した人はいるか?」
「報告はありません、むしろ皆様方は外に出て大変喜んでいます」
えぇ……珍しいのか……。それが1番困るのだが……。
『別に火山灰だけで身体には害はないよ。魔力でコーティングしているから大丈夫だよ』
そういえば異世界でしたね……地球とはまったく違いますね……。
「アイシス大変なのはこれだけか?」
「いえ、この火山の影響なのか貯水槽の水が濁っていて使うことができません」
「魔道具でも無理なのか?」
「厳しいですね……。火山灰が降っていますしとても飲めません……」
貯水槽はむき出しになっているし無理があるか、今後のことを考えてタンクにしよう。
「水魔法で飲料水は確保しないとな」
「それでしたら水魔法を使える方にお願いしましたので安心してください」
対応が早いな、さすがだと言いたい。
「あとは農作物を早めに収穫しないと」
「それも朝早くミツキ様が指示をして全部回収しました」
みんな対応が早すぎだろう……わかってらっしゃる……。
俺が指示しなくても平気だな。
「わかった、周りを確認する、引き続き何かあったら報告をしてくれ」
「かしこまりました。朝食は食堂に用意してあるので召し上がってください」
俺は食堂に向かい、おにぎりと味噌汁を食べる。
毎日のように外でみんな一緒に食べていたが、まさか火山灰でダメになるとは予想外だ。
早く落ち着いてほしい。
朝食を食べ終わり、外に出ると――少し硫黄のにおいがする。火山灰に含まれているのか……。
噴火した山を見ると――噴煙で覆われているのかまったく状況がわからない。
火山灰も降り続いて当分は止みそうにないな。
それに――。
「「「わ~い!」」」
小人たちは走りながらはしゃいでいました……。
雪ではないのに……ライカに怒られ――。
「ハハハ! なぜかわからないが、楽しいな!」
ライカも尻尾を振りながら走っていた……お前もか……。
「いぬっころ」ということを忘れていました。
見た感じエフィナの言ったとおりみんな元気で身体に影響はないみたいだ。
まだ最初のほうだしなんとも言えないが、危なかったらマスク着用か家で待機だな。
「オホホホホ! みんなどいてちょう~だ~い!」
上機嫌なトリニッチさんは大きなスコップで積もっている灰をかき集めている。
さすがだ、今後のことを考えて整備して――。
「ベヒジャミちゃんの砂遊び用の代用がきいて助かるわ~。いっぱい集めるわよ~」
そっちか……確かベヒジャミは砂が好きでゴロゴロと身体に擦り付けて遊んでいたな……。
火山灰で代用できるのか……。まあ、周りをキレイにしてくれるのは変わりはないが。
「もうなんなのよ、この塵みたいのは……。これじゃあまともに歌えないじゃない……」
布で口を隠しているオーロラが驚いて歩いていた。
さすがに大きく息を吸うのは無理があるよな。
「オーロラ、当分は歌えないかもしれないが、我慢しろよ」
「もちろんそのつもりよ。早く落ち着くといいわね……」
「ところで、リヴァはどうした? いつも一緒にいるのに何かあったか?」
「ああ、リヴァちゃんね……塵が怖くて家にいるの……。「この世終わりだ」と言って怯えているわ……」
まさか灰が怖いのか……。海竜にとっては得たいなものかもしれない。
「そうか……オーロラもあまり出歩かないようにな」
「ええ、気をつけるわ」
万が一のことを考えてオーロラ用のマスクをアイシスに作るように言うか。
あと、リフィリアとメメットにのど飴とトローチを作るようにお願いでもしよう。
今後、不便になるから早く止んでほしいものだ。
問題のある貯水槽と繋がっている水路の様子を見に行く――。
次の更新は6日です。




