346話 どこの島も……
尖った山に周りは樹木が生い茂げっている密林だ。
まだ暗くはないからシエルに低空飛行で周りを飛ぶようにお願いする。
ひと通り確認をしたが、畑や家など何もなく、頑丈そうな貝殻を背負っている青いヤドカリが住み着いているだけだ。
ここにはいないとわかった。
「なんだ、ブルークラブしかいないのか。ちょうどいい、あいつを獲って夕飯にするぞ」
「食べられるのですか?」
「ああ、味は淡白だが美味しいぞ」
なるほど、大量にいるし、みんなの食料にでもするか。
「儂がヤドカリを獲ってくる。少し待ってくれ――――雷走!」
ライカは飛び降りると、雷を纏って走り出す。
島中に紫色の雷光と轟音が鳴り響く。
派手にやっているな、魔力も過剰に使っていてライカらしくはない。
「日頃のストレスを発散ですね……。わかります……」
『ライカが知らない間にストレスを……意外だ……』
まあ、チトセの子どもが見つからなくて焦りはあるだろうな。
そんなに乱れていないし止めはしない、気が済むまでやらせる。
俺たちは邪魔にならないように砂浜で待機する。
数十後に戻ってきた。
無限収納からこんがりと焼けたブルークラブを大量に山積みして出す。
結構狩りましたね……。
「何かあればワタクシがなんでも相談しますこと……」
『辛かったらボクにも相談してね……』
「なんのことだ?」
2人ともそんな重いストレスを抱えてはいないだろう……。
困っているぞ……。
ともあれ、ライカのおかげで夕食と安全を確保できた。
今日の捜索はここまでとして、この島にお泊りする。
フランカの家に入り、ブルークラブを使って、カニ玉、カニクリームコロッケにして夕食を作った。
食べてみると、味はリバークラブと同じで美味しかった。
っとなると、この島は月日が経てばブルークラブが繫殖して元の数になるよな。
そしたら「ゲート」を使って狩りに行ける。もうカニには一生困らないじゃん、良い穴場を見つけてしまった。
ライカには悪いが俺にとって良い収穫をした。
――――◇―◇―◇――――
――2日が経つ。
見つからないまま予定した最後の島に向かっている。
やっぱり今回は厳しいか。
南側の島で見つけたのは――。
――8つ目の島もブルークラブだけ。
――9つ目の島もブルークラブだけ。
ここの周辺の島は甲殻類しか生息していないのか……。
ライカは島を上陸するたびに「雷走」でブルークラブを蹴散らしていました。
9つ目の島の奴は跡形もなく消していて、少々気が立っていた。
終わった後は耳と尻尾を垂れ下がり落ち込んでいた。
「やはりストレスが……」
『そんなに辛いことが……』
エフィナとメアもそのくらいにしておけ……。
まあ、今回で見つかると期待していたなら、しょうがないとしか言いようがない。
「見えたぞ、最後の島だ」
とうとう最後か。
期待はしていないが、なんだかんだ最後の最後で見つかる可能性は…………ありませんでした。
最後島はドデカイブルークラブが数十といた。
「キングブルークラブか。あんなにいるとは珍しいな、あれだと普通の人は住めないな」
ですよね……。今回は捜索はあっという間に終わった。
最後にキングブルークラブを仕留めてお土産に……。
あの、ライカさん……身体をバチバチと雷を纏いでください……。
気が早いですよ……。あっ、飛び降りた。
「――――雷走!」
まだ陸に到着しないまま、海面に降りて、そのまま島へと走っていく。
あの速さなら海上も走れるか……。
近くにいた魔物たちは感電したのか、浮かび上がり倒れていた。
そして島に着くとこれ以上のない速さで島中――雷光が見えた。
俺たちが上陸すると、キングブルークラブは丸焦げになっていて、よろめきながら戻ってきて砂浜に倒れた。
「今回はもういい……諦める……」
「また捜そうな、予定がなければすぐに捜すことができるしな」
「そうしてくれ……」
まあ、諦めてくれるならこちらも助かる。次はいつになるかわからないが、何もなければ早いうちに再開はしそうだ。
キングブルークラブを回収して――。
「おかしいですわね……地図に載っていない島があります……」
メアが指を差したところに、遠く離れた島らしきものが見えた。
確認したところ、載っていなかった。よく見つけたな。
「確かにあるな、まあ、地図に載っていない島なんぞ、いくつもあるだろう」
そこまで正確には載るわけではないか……。
「どうします……? 行きますか……?」
まあ、まだ昼過ぎ出し、余裕はあるな。
「じゃあ、回収したら行くか。ライカもそれでいいか?」
「かまわない……。どうせ見つからないけどな……」
完全に諦めモードだな。まあ、確かめる価値はあるが。
俺たちはキングブルークラブを回収して、地図に載っていない島に向かう――。
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