341話 魔王の手助け
エレガントモンキーが住んでいる密集地に案内される。
畑を見たが、【創種】で創られた作物はなく、この世界で一般的な野菜が栽培されていた。
ここにはチトセの子どもがいないとわかった。
ライカは気づいたのか、尻尾が垂れ下がり落ち込む。
そう簡単にはいかないか。
「ウキィ、ウキィ」
そのまま奥に案内されて、縦長の大きな平家に着く。ここに人がいるのか?
中に入ると――ベッドで寝込んでいる黄色髪の男性エルフだ。それもエレガントモンキーに看病されている。
このエルフがエレガントモンキーに知識を与えたのかもしれない。それにしても立派なベッドだな。
しかし……虚ろな目をしている……魔力も小さい、もう命が……。
「ウキィ……」
「そこにいるのは……イヴァか……? 私は大丈夫だから……」
案内してくれたエレガントモンキーに名前まで付けていたのか。
もう目が見えないのか……?
「おい、そこのエルフ、噓をつくな、大丈夫も何もないぞ」
「その声は……久しぶりに人の声が聞こえた……とうとう私も最期か……」
「寝言は寝て言え、お前の近くにいるのは魔王だぞ」
いやいや急に魔王が来たとか信じるわけは――。
「魔王様ですか……? 私は夢を見ているのか……。 魔王様に会えるなんて光栄です……。どうしてこの島に……?」
そのエルフは涙を流した。
目が見えていないのに信じるのですね……。
「ちょっとわけあって寄っただけだ。お前は名前は?」
「クリントと申します……」
「クリントよ、なぜエレガントモンキーと暮らしている? わけを話せ」
「私は……ゲホゲホ……。すいません……身体の調子が悪くて……」
「まあ、よい。お前の蝕んでいるのはなんだ? 助けてやるぞ」
「助けてくれるのですか……? ありがたいのですが……もう限界に近いです……。身体全身痺れて動けないのです……それに目も見えない……私が知らない病です……」
「全身が痺れる? 考えられるのはポイズンフィッシュか? 毒は弱いが集団で刺されたなら納得がいくが」
「いえ……ここ最近海には行っていないです……。年月とともに身体が痺れていき動けなくなりました……。」
「海の魔物ではないと……? しかも徐々に痺れていくとは……」
魔王は腕を組んで悩んでいる。麻痺なら解毒薬で治せるがそんなに重症なのか?
だったら――。
「俺が回復魔法で治しましょうか?」
「待て、魔法で治せるほどのものではないぞ。オレの手持ちにはその解毒薬は持っていない」
「探しに行くしかないのですか?」
「無理だ、探しに行っても遠いぞ、その前に絶えてしまう。仮にあっても手遅れな状態かもしれんしな」
「じゃあ、この人は……」
「「「ウキィ……」」」
「ごめんね……。お前たちと長くいたかったけど、ここまでかもしれない……」
エレガントモンキーたちは下を向いて悲しんでいる。
こんなに悲しんいるとはよほどクリントはかなり好かれているな。
それを見た魔王はため息をつく。
「しょうがない、今回は特別だぞ――」
そう言うと自分の指を噛み、血を出す。
いったい何を……?
「口を開けろ、嫌でも絶対に飲め」
「は、はい……」
クリントは口を開けて、血を数滴流し込む。
飲み込んだ、瞬間――クリントの魔力が正常になり、虚ろだった目も元通りに、さっきまでボロボロだったのに普通に起き上がる。
「えっ、治った……長年苦しんでいたのに噓だろう……。目も見える……」
「まだ治ったばっかだ。安静にしてろ」
「あ、ありがとうございます、ま、魔王様!」
クリントは涙を流しながら頭を下げてお辞儀をする。
「このことは内緒しろよ。まあ、ここでは内緒にするのは意味がないけどな」
「「「ウ、ウキィィィィ――――!」」」
「ハハハ、もう大丈夫だから落ち着いてくれ」
エレガントモンキーは泣きながら飛びつく。
落ち着くまで俺たちは家を出て、いろいろと確認しないといけない。
「魔王さん、あなたの血は万能薬ですか?」
「伝説級の薬ほどではないぞ。まあ、クリントくらいなら普通に治せる。幼女神もいろいろとやってくれるものだ」
『シャーロはならこれくらい簡単なことだよ』
それ、ほぼエリクサーじゃん……。
しかも噛んだ指から血が引いているし……【再生】スキルですね……。
地上の管理人だから不老不死にさせるのは当然か……。
さすがシャーロさん。
「しかし……いろいろと不可解だ……。まあ、この島に来る前ならあり得るが」
来る前? どういうことだ?
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