336話 許可待ち
魔王が来て3日が経つ。
「いつまで寝ている、起きろ!」
毎日のように勝手に寝室に入って無理やり起こされる。
相変わらず早起きだな……。仕事もないのだからもっとゆっくり休めばいいのに。
「これだから成長しませんこと……」
メアさん、魔王に睨まれているので、朝っぱらからケンカするのはやめてください……。
そのあとに強制的に散歩に付き合わされる。毎日続くとさすがに寝不足なのだが……。
「レイさんと魔王だ~。おはよう!」
「朝から精進しているな、頑張れよ!」
「うん!」
ナゴミとナギは俺たちに挨拶をして再び稽古をする。
この2人は朝から稽古していたのは知っていたが、まさか薄暗いときからやっているのは初めて知った。
本当にみんなのために頑張っているな、あとで差し入れでもしよう。
しかし……ここでも魔王は小人に好かれているな。
俺たちがダンジョンにいたときに魔王は「魔大陸で一番偉い人」だと胸を張って言ったらしく。
「「「すご~い!」」
っと言って歓迎してくれたらしいです。
特に子どもには人気で遊んでくれている。
ワガママではあるが、面倒見はいいのは変わらないな。
「気に入ったぞ! オレは魔王を引退したらここの領地に住むぞ! よろしく頼むな!」
「「「は~い!」」」
ちょ、勝手に決めるなよ……。サイガさんに怒られるだろう……。
引退とはいつだ? 魔王の感覚では数百年くらいだと思う。
まあ、すぐに引退したらシャーロさんは黙ってはいない、無理だな。
「ところでソウタはまだか? アイツらいつまで子作りをしているのだ、そろそろオレと相談しろ!」
少々不満気味でした。
俺に言っても困る……。ソウタは変わらず干からびていて話をする余裕がない。
この件は俺は参加していないからソウタがいないと話が進まない。
まあ、俺は乗り気ではないからな。
魔王は諦めてサンプルを作ってくれたフランカに相談をするようになった。
忙しいなか本当に申し訳ない……。
さらに2日が経ち、俺は誕生日を迎え、17歳になった。
この1年激動の日々だった。スタンピード、領地開拓となかなかにハードだった気がする。
最悪なこともあった、まだまだ傷が癒えていな人はたくさんいる。
みんなには幸せになってほしい、だから俺は領主とサポートしないといけない。
これからもみんなに応えないといけないな。
『まあ、気長にいこうよ。誕生日なのに重い顔していたら、みんなが不安になっちゃうよ』
「ああ、悪い悪い」
エフィナの言うとおりだ。ちょっと考えすぎたな。
せっかくの誕生日は楽しまないとな。
みんなにお祝いされてあっという間に1日が終わった。
――――◇―◇―◇――――
――3日後。
庭で魔王と一緒にお茶していたら――。
「主よ、子供らに許可をもらったぞ。準備もある5日後でよいか?」
ライカが笑顔で尻尾を振りながらきた。
チトセの子どもを捜す件で許可をもらったみたいだ。
ライカが旅に出ると言ったときは――。
「「「え~!?」」」
っと驚いていたな。泣く人もいた。
この短期間でよく説得したな。
「ああ、問題ないよ」
「よろしく頼む、儂はシエルに言ってくる」
楽しそうに去っていった。
「なんだ、もっと遅くてもよいぞ。オレはもう少しゆっくりしたいぞ」
いや、魔王、結構のんびりしているぞ……。
それに5日もあるのだから十分だぞ……。
じゃあ、俺も同行するメンバーに言っておくか。
今回はアイシス、フランカ、メアが行くことになった。
特にアイシスが同行するのは珍しかった。
「身体が訛っているので、たまにはお出かけして運動したいです」
その運動とは魔物を倒すことですよね……?
まあ、好戦的になってくれるのは嬉しいが。
それに好奇心旺盛なルチルはお留守番するとのこと。
「シノちゃんとマイヤちゃんとベヒジャミちゃんの世話があるから今回はいい!」
とのことです。
なんだかんだ忙しいみたいなのでそっちを優先したらしい。
同行するメンバーに伝えてこれで大丈……夫ではないな……もう1人忘れていました。
さて、ある程度は体調を戻したソウタに言いに行くが…………またかよ……。
「ああああああ……ああ……」
ソファに倒れて意識が朦朧として干からびている……。おいおい、朝食のときは元気だったぞ……。
この短時間に何があった……?
『なんでそんなに干からびるのが好きなの? ソウタは物好きだね~』
エフィナさん……好きでなったわけではありません……。
「すまないがレイ殿、旅の話はまた今度で……」
ウルマは呆れて言う。
ですよね……。準備期間もあるし大丈夫かと思ったが無理だな。
今回は諦めて周りの面倒を見てもらおう。
まあ、この様子だと安静だが。




