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335話 頼まれたこと


「幼女神の頼みで調べておいたぞ」


 魔王はシュークリームを食べながら魔大陸周辺の地図を出してきた。

 手ぶらかと思ったらアイテムボックス持ちか。


 その地図には数十箇所の印をつけていた。おそらく無人島のある場所だ。

  

「さすがのオレも幼女神の頼みでも捜すのは骨が折れるぞ。本当にお前の友人の子どもがいるのか?

長年、無人島に住み着いたという報告はないからな」


 確かに数百年経てば何かしら耳に入るか。シャーロさんはのんびり暮らしていたとか言っていたが、その年数がわからない。

最近住み着いた可能性もあるし、数十年かもしれない。

 だが、痕跡らしきものは一切見当たらない、本当に何もなければしらみつぶしだ。


「チトセは警戒心が強く、人にはあまりうち解けない性格をしている。もしかすると大陸から遠く離れている島かもしれん」


 ライカはチトセの考えを推測した。

 痕跡が何もなければその可能性はあるな。


「だったら、上と下のほうしか考えられない。オレが思うにここらかもな」


 魔王は万年筆で大陸の北側と南側にある計10箇所に印をつけた。

 

「遠くてつけてない箇所があるが、何かあるのか?」


「そうだ、人が住めるほどの面積のない島と周辺の海域と上空には強力な魔物がいて人魚とハーピーすら住めない。船とハーピー運送での移動はあまりにも危険である」


「納得だ。チトセは危険を冒してまで移動はしない」


 ライカは腕を組んで頷いた。

 俺もライカと同じことを思っていたが、さすがに狭い場所と危険な場所に住むのは無理があるよな。

 俺も納得です。


「特に上のほうは比較的魔物が少なく、安全に島に移動できるぞ。捜すなら上をすすめる」


「じゃあ、北のほうから行くとするか。シエル、頼めるか?」


「任せるのじゃ! 友としての頼みはなんでも聞くぞ!」


「あとは子どもたちに数日はいないことを言わないと」


 小人たちに説得しないと大騒ぎになるよな。

 まあ、急に捜しに行くことはないから大丈夫だと思う。

 当然、俺も行くが。


「だったら、オレもついていくぞ。オレも把握しないといけないしな。これも魔王の仕事だ。すぐに決断せずにゆっくり小人の説得するのだぞ」


 魔王も行くのかよ……。仕事と言いつつ、サボりたいだけだろうな……。

 帰るの遅くなったらサイガさんたちに迷惑かかるだろう……。

 

「この話は終わりだ。ソウタはどうした? アイツと相談したいことがたくさんあるぞ」


「ソウタは察しください……」


「今日もか? ならしょうがない。明日にするか。カーリーを呼んでくれないか? 今日はウマいものを思いっきり食べるぞ」


 もうすぐ昼食になるのに食べるのか……。


「フフフ……食べすぎて豚になっていること……楽しみにしていますわ……」


「ぬかせ小娘、オレは太らない体質だ。幼女神に創られた身体に太るわけないだろう」


「そうですか……。では胸も成長しないということですか……? 食べても変わらないのなら非常に残念ですこと……。かわいそうに……」


「オレをバカにするな! 見てろよ……メイドが言ったとおりに毎日豆乳を飲んで小娘より大きくしてやる……」


 またメアは嫌味を……。というかアイシス……魔王に豆乳を差し出したのかよ……。

 まったく、魔王にまで教えるものではない……。

 成長するとは限らないぞ……。

 

 さて、俺は会話どころではなかったソウタにチトセの子どもを捜しに行くか。聞きに行く。少しくらいは回復して話せるようにはなっただろう。

 屋敷を出て、ソウタが住んでいる家へ向かう――。


 ――玄関をノックすると、ララアが出てきた。

 

「ソウタは大丈夫か?」


「なんとも言えないけど、おばあちゃんと一緒に看病しているけど、多分大丈夫だと思う」


 干からびているから看病するほどだよな……。


「お邪魔してもいいか?」


「いいよ、どうぞあがって」


 中に入り、ララアにリビングに案内されると、ウルマはソファに座って舌を出しながら干からびているソウタを膝枕していた。


「あ、ああああ……あ、ああ……」


 枯れた声で唸っています……。

 …………朝より酷いのは気のせいだろうか……?


『水飢饉で死にそうな魚――サハギンみたいだね』


 エフィナさん、なんですかそのたとえは……。

 確かにサハギンっぽい顔の状態だが。


「重症だな……」


「レイ殿か、このバカ者に何か用か?」


「あるにはあるが、やめておくよ」


「そうか、なら私に言ってくれ。意識が戻ったら伝えておく」


「ライカの件で旅に出ようかと思って誘おうと思ったが、このまま続くのであれば、連れていくのは無理だな。まあ、まだ日程は決まってないが」


「なろほど、すまんが様子を見てくれないか? 旅の話は私から口に出せない。どうせ言ったら無理にでも行くと思う」


「だろうな、じゃあ、ソウタをお願いします」


「無論だ」

 

「そういえばトリニッチさんとルージュさんはどこに?」


「あの3人はベヒーモスに水浴びをさせているところだ。今のうちに休ませないとソウタは身体がもたないからな」


 ウルマはため息をついて言う。

 ですよね……あの2人がいれば俺は家に入れなかったかもしれない。


 まあ、休める時だけ休ませるしかないか。

 あっ、あの状態で昼食は食べられるだろうか?

 もし無理ならミキサーにかけて流動食にして無理やり口に入れるが。

次の更新は29日です。

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