表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
338/918

332話 訪問


 領地に戻ると――知っている魔力を確認した。

 えぇ……来たのか……。こちらとしてはこのタイミングは困るのですが……。


 アイシスは俺たちが帰ってきたのがわかり、俺たちに駆け寄ってくる。


「おかえりなさいませ、急ですがお客様がお出でになりました」


「わかっている。すぐ向かうよ」


「ワタクシもいきます……。ご挨拶をしなければ……」


 メアはただ、からかいたいだけでは?

 悪いが、オーロラとリヴァの案内はライカにお願いして、みんなと解散する。


 俺の屋敷の庭に行くと…………やっぱり魔王か……。カーリーさんと話しながら牛丼を食べていた。

 痺れを切らして来たか……ってことは【飛行】スキルを使ってきましたね。

 こんな短時間で俺の領地に来られるわけがない。


「相変わらず絶壁ですこと……」


「誰が絶壁だ!」


 まだ距離があるのに聞こえたのか……。意外と地獄耳だな。

 あっ、こっちに向かってきた。

 メアのほうに近づいて――。


「久しぶりだな小娘、相変わらず憎たらしいな」


「ごめんなさいね、本当のことですこと……。あまり近づかないでくれませんか……? 口の周りに米粒がついて、人に失礼です……。行儀の悪い魔王ですこと……」


「誰も迷惑なぞかけてはいないぞ。小娘こそ、毒舌を直さないといつか孤立してしまうぞ」


 互いに嫌味を言いながら、睨み合っている。

 メアさん、少し【威圧】を出すのやめてくれませんか……?


「ケンカするなら領地の外でやってくれ……」


「ワタクシの愛情表現です……。主様は気にしないでください……」


「レイよ久しぶりだな、オレはケンカに来たわけではない、せっかく直々に来てやったのだから、しっかりもてなせよ!」


「わかりましたよ……もてなします……。それで魔王さんはどのくらい滞在しますか……?」


「2週間はいるからよろしくな! オレがいる間にレイは誕生日を迎えるらしいな、オレが祝ってやるから感謝しろよ!」


 そんなにいて大丈夫なのかよ……。というかなぜ俺の誕生日を知ってる? 

 考えるとしたらシャーロさんが言ったのかもしれない。

 まあ、魔王がいても何も変わらないが。


 すると、ソウタが慌ててこっちに向かってくる。


「なんだ、ソウタは元気じゃないか、そこのメイド(アイシス)は体調がよろしくないとか言ってたが、ピンピンしてるぞ」


 結構やつれているが……。


「魔王様、彼は毎日忙しいので察してください……」


 カーリーさんもツッコミますよね……。


「そうなのか? まあ、いい。いろいろ聞きたいこともあってちょうどよいな」


 魔王、今日はそんな余裕はないと思う。カーリーさんもすぐに拝まないでください……。まだ決まってはいませんから。 

 そして、ソウタは俺のコートをつかんで涙目だ。


「レイ、頼む匿ってくれ!」


 いつものことでした。帰ってきたトリニッチさんに会いたくないのですね。

 今のトリニッチさんは興奮が抑えられなくて危ない状態だと察知したみたいだ。今日は【第六感】がさえていますね。

 そう言っても無駄だと思う、前にソウタは【隠密】を使って逃げていたが、すぐ見つかってミイラになるほど干からびて愛し合っていた。

 多分だが、トリニッチさんは【直感】をスキルを持っていると思う。

 そんな人に逃げも隠れもできない、諦めてくれ。


「ソウタ、久しぶりだな。さっそくだが、娯楽施設の――」


「魔王、それはあとにしてくれ! 俺は逃げなければいけない相手がいる……」


「そんなにヤバいのか? だったら、このオレが追い払おうか?」


「本当か!? 恩に着るよ……」


「任せろ、誰だかわからんが、オレのビジネスパートナーに手を出すことは許さん」


 おいおい魔王にお願いするなよ……。

 身内の問題を魔王に任すな……。


「ソウタちゃ~ん~。逃がさないわよ~!」


「ひぃ!?」


 あっ、トリニッチさんが向かってくるのだが…………着替えてピンク色のキャミソール姿です……。

 おぉ……なかなかの破壊力ですな……。

 ソウタは怯えながら魔王の後ろに隠れる


「ん? 男でよいと思うが、どうも引っかかる……」


 いや、どう見ても男です……。オネエであるが……。


「あらやだ、魔王様じゃない!? ワタシはトリニッチと申します! お会いできて光栄でございます!」


 トリニッチさんは膝をついて魔王に敬意を表す。

 見たことがあるのか。これは魔王の言うこと聞いてくれそうだ。


「ほう、オレがわかり、礼儀を表す者がいるとは、レイの領地に来てカーリーとメイド以外お前が初めてだ」


「ワタシは何度も魔王様を見ています。当然のことです」


「悪くはない、トリニッチと言ったか、ソウタはお前に嫌がって逃げている。今日は引き返せ」


「魔王様、申し訳ございませんが、ワタシは引くわけにはいきません……。理由もしっかりあります」


 深刻な顔して言わないでください……。

 理由は大したことはないはず……。


「ほう、その理由を言ってみろ、もしオレが納得しなければ、すぐ引き返せ」


 魔王が優勢だな。今日はソウタは干からびなくて済むようだ。


「つまらないですこと……」


 残念だが、魔王がいる限りメアが面白いことにはなさそうだ。

 とうとうソウタも期間限定だが、穏やかに過ごせる日々がきたか。 

次の更新は25日です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ