325話 それぞれの道③
こうなったら後ろに行かせないで4体倒してやる。
「ブモォォ!」
1体のアーマーキングミノタウロスが斧を投げつけ、アタイたちを狙われず、アリシャたちにほうに――。
マズい、地魔法間に合うか――。
「――――クリスタルウォール!」
ナゴミが結晶の壁を創り、斧は、はじき返して防ぐ。
助かったぜ……。まさか中級魔法を覚えていたとは意外だ。
ルチ助の【同族強化】の恩恵が思った以上に大きくて助かる。
「ブモォォォォ――――!」
投げたアーマーキングミノタウロスは悔しいのか、地面を思いっきり踏み叩き、そのままアタイたちの頭上を飛んでいき、斧を回収をする。
あの図体で軽く飛べるのか……。
しかも、よりによって4体の中でも魔力が多い奴が……。
結晶の壁に近づいて斧を振り、壊そうとする。
ヒビが入って4人が危ない、いくらナゴミが結晶魔法が使えてもまだ魔法に慣れていなく、強度が足りない、急いで向かわないと――。
「「「ブモォォ!」」」
ほかの3体は斧で地面を叩きつけてフロアの床が波のように揺れてアタイたちを襲う。
ちょっと待て、こんなのアリかよ!? 床が破壊されないで揺れるとかどんな仕様だよ!?
バランスが崩れ、立つことができない。
ちくしょう……アリシャたちを助けられない……。
けど、1人だけ――ナゴミは普通に立っていた。頼むしかないか。
「ナゴミ、アリシャたちを助けてくれ!」
「うん!」
ナゴミは頷いて揺れている床を軽々と飛び、結晶の壁を破壊しようとしている1体の頭上に――。
「――――豪襲脚!」
「――――ビモォォォォォ!?」
――兜に蹴りを入れて破壊し、キレイに着地した。
あまりの痛さに頭を抑えて壁を壊すのをやめる。
兜を破壊してダメージまで与えるとはさすがだ。
ナゴミなら十分1人でも戦える。
安心して任せられる。
揺れが収まると再び3体が斧を大きく上げて仕掛けてくる。
残念だが、お返しだ――【武器創造・炎】で炎を付与した青銀の鎚を創り、地面を叩く。
「「「ブモォォ!?」」」
あの3体より揺れが激しく、山盛りになって相手は体制が整えず転げ落ちていく。
話にならないな、アタイのほうが一枚、二枚、いや三枚うわてだ。
揺れが収まると、近くに1体と、奥に2体と分かれた。
よし、これなら――。
「みんなは近くの1体を頼むぜ、アタイは奥の2体をやる――」
「「わかった!」」
1体なら小人たちで倒せる範囲だ。
奥のほうのに向かい――。
「なに休んでいる――――烈焔破!」
「――――ビモォォォォォ!?」
仰向けになっている敵を炎を纏った鎚で腹を叩き、鎧を破壊して全身が燃えていく。
燃え終わると、相手は真っ黒になり、茶色い魔石に変わった。
なんだ、異常種とか聞いて手ごたえがあると思ったが、ただ鎧を着ただけの見せかけのミノタウロスじゃん。
まあ、アタイが強くなったってのもあるが。
「モォォォォォ――――!」
もう1体は立ち上がり、斧を大きく振りかぶり襲ってくる。
隙だらけだ――。
「――――コメットバレット!」
「ブ……モォォ……」
彗星の弾丸で心臓を貫通させ、倒れ――魔石に変わる。
アタイのほうは片付いたが――。
「「「デカい牛、倒した~」」」
小人たちも倒して魔石を持って喜んでいた。
さすがだ。あとはナゴミのほうか。
「ブモォォ! ブモォォ! ブモォォ!」
ナゴミは鎧の隙間を狙い、2刀のミスリルの短剣で連続で切り刻む。
相手は必死に斧を振っているがナゴミのほうが素早いし追いついていない。
勝負あったな、そして背後に周り――。
「――――刹那!」
首を二刀で切り込みを入れて大量出血をし、倒れていった。
さすがに全部は切れないか。いや、最近魔物をかなり倒しているし、切れ味が悪くなっているか。
帰ったら手入れでもしないとな。
「倒した~!」
ナゴミは小人たちほうを向いて喜んでいた。
今まで強い魔物を倒したことないから自慢したいよな。
ん? おかしいな、倒したのに魔石にならないぞ。
まさか――。
「ブモォォォォォ――――!」
「わっ!? 離せ!」
アーマーキングミノタウロスは起き上がり、ナゴミを大きな手で捕まえる。
死んだふりとはやってくれるな……油断した……。
もう片方の手には斧が、マズい、もう振り下して――。
「――――絶剣!」
「ビモォォォォ!?」
アリシャが、斧を持っている手をミスリルの剣で切り込む。
相手は深手を負ったのか斧を落として、ナゴミを離して片方の手で抑える。
絶妙なタイミングだ。
「やった……」
まだ震えが止まっていないな。
相手はアリシャを睨みつけ、拳で殴ろうとする――。
「させるかよ! ――――重閃!」
ガルクが前に出て、盾で突っ込み、拳を弾いた。
まさかあの大きな拳を防ぐとは成長したな。
「頼んだぜ! ミルチェ、ベーラ!」
「「――――シャドウチェーン!」」
「ブモォ!?」
ミルチェとベーラは床から無数の影の鎖を出して身動きが取れなくなる。
アタイたちのオリジナルの魔法を覚えたのか。いや、ダンナが教えてはいないと思うが、もしやメアが教えたのかもしれない。
ベーラが覚えたから、契約者として繋がっているミルチェも自然に覚えたに違いない。
さすがのSSランク魔物も2人から拘束されると逃げられない。
ジゼルも応えようと地魔法で攻撃をする。
「お願いアミナ!」
「雷鳴よ来たれ、地を汚す、仇なす者に雷撃の鉄槌を――――サンダーボルト!」
「ビモォォォォォ――――!?」
雷魔法で敵の頭上に大きな雷撃が直撃し、焼け跡がついた。
アミナも成長したな知らない間に上級魔法を覚えていたとは。
「もうダメ……疲れた……とどめお願い……アリシャ……」
「任せて! 私たちは乗り越えないといけないの――――滅魔斬!」
「ビモォォォォォ――――!?」
アリシャは剣に膨大な魔力を込めた渾身の一撃を敵の胴体――鎧ごと真っ二つにし、魔石に変わっていく。
4人は倒したことがわかると、へとへとになり床につく。
ナゴミがある程度、傷を与えていたが、まさかここまで強くなるとは予想外だ。
それにトラウマだったミノタウロスをあれだけ戦えば立派なものだ。
「「「やった~!」」」
小人たちは4人の激闘に大喜びをする。
ナゴミは魔石を持って――。
「はい、これ」
「えっ、もらっていいの……?」
「うん! 私を助けたしいいよ!」
「ありがとう……」
ナゴミは満面な笑みでアリシャに渡した。
この魔石は売らずに記念にとっておけよ。
アタイも神経を使って疲れたな。少し休憩して進むか。
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