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323話 それぞれの道①

メア視点になります。


 テンションが上がっている。おチビちゃんたちを追いかける。

 そんなに急がなくても逃げも隠れもしませんのに……。


 ただでさえ、おチビちゃん(ルチル)は燃費が悪いのに、途中でへばって食事を要求しては困りますこと……。

 前回、主様はおチビちゃんの面倒を見るのは大変でしたので、ワタクシが代わりに引き受けて正解でした。

 

「わ~い、広いフロアがあるぞ~!」


 おチビちゃんは楽しそうに大声で言う。

 もっと慎重に行ってくれませんか……。

 それに釣られておチビちゃんたちも喜んでついてく。

 ライカから面倒見るように言われているのでワタクシの身にもなってくれませんこと……。

 言っても無駄だとは思いますが……。


 何かあったらすべておチビちゃんのせいにしましょう。


 広いフロアに入ると、青銀鉱石つけた甲羅のカメ――ミスリルタートルがいますこと。

 その先に繋がる道を塞いでいますね。ワタクシたちに気づいたのか甲羅の中に入ってしまう。

 

 ただの硬いカメですか……拍子抜けですわ……。

 簡単に攻略できて、おチビちゃんにはもの足りない魔物ですこと。

 その本人は急に立ち止まって棒立ちになっていますが、何を考えてますの……?


「キレイだからコレクションにする! ――――アブソリュート・クリスタル!」


 おチビちゃんは魔法でミスリルタートルを全身結晶化させてしまう。

 危ないと思ったのか甲羅の中に入ってしまう。

 急に何を言い出すと思ったらコレクションですか……。

 たしかにミスリルをつけたカメはキレイでほかの魔物とは違うことはわかります。

 おチビちゃんは見る目はありますが、残念なことに――。


「よ~し、終わり~! しまって…………なんで入らないの!?」


 おチビちゃんは無限収納に入れようとしますが、無反応です。

 ワタクシのお好みの展開になりましたわね。

 楽しめそうですこと……。


「おチビちゃん……カメさんは倒していませんわよ……。本体は甲羅の中に入って無傷ですこと……」


「えっ!? 倒してないの!? じゃあ、頭を狙うから出てくるまで待つ!」


「なんで待つのです……? ここはダンジョンです……倒してたら魔石になりますわよ……。無意味なことをしていては日が暮れるのを通り越して、朝を迎えることになりますわ……]


 ワタクシの発言で笑顔だったのが真顔になる。

 先ほどの蛇でわかることなのに、学習能力がないおチビちゃんですこと……。

 これはこれで面白いですけど……。


「残念ですわね……。諦めて魔石だけで我慢しなさ――」


「じゃあ、ミスリルと魔石だけで我慢する! みんな~カメの甲羅に生えているミスリルを採るから手伝って!」


「「「わかった!」」」


 人の話を聞きませんこと……。

 まあ、いいですわ、ミスリルも魔物の一部ですので倒したら消えてしまう。

 フフフフ……おバカにもほどがありますこと……。

 ますます面白いことになりますわね……倒したあとの落胆する姿が楽しみです……。


 おチビちゃんは魔法を解除して、結晶が砕け散って魔物は元に戻る。

 

 おチビちゃんたちは甲羅の上に乗って、ミスリルを根本――甲羅の表面ごと剝がして、下のいる子に投げた。

 なんというパワー技ですの……。【同族強化】でここまで強くなっているのは予想外ですわ……。

 しかも下の子は軽々と受け止めますし……。

 

 おチビちゃんは採ったミスリルを無限収納に回収をしている。

 中には入るみたいですわね。ですが、回収したのが消えしまうので無駄ですこと……。

 

「みんな、ありがとね! あとは好きにしていいよ!」


「「「は~い!」」」


 ミスリルを回収するとたたのカメになりましたわね……。

 下にいるおチビちゃんも甲羅の上に乗って――。



「「「せ~の――――豪襲脚!」」」




「ギャァァァ――――!?」



 息を合わせて皆、同時に高く飛び、蹴りをして硬い甲羅を粉砕する。

 あまりの痛さにミスリルタートルも顔を出しますこと。

  

 口から泡を吹いて、魔石に変わってしまう。


 おチビちゃんが大喜びしているので、そろそろ言って落胆でもさせましょう……。

 

「おチビちゃん……ミスリルを確認したほうがいいですわ……」


「なんで?」


「もしかしたら大変なことになっていますわよ……」


「そうなの? 確認してみる――」


 さあ、ワタクシに絶望を…………あれおかしいですわね……消えていない……。

 おチビちゃんからミスリルが出てきたのですが……消えているのは剝がした甲羅ですわ……。


「メアの噓つき、何も起きてないじゃん。からかうのはやめて」


「そんなはずはないのですが……」


「そんなことはどうでもいい。みんな~、ありがとね~お礼に採ったミスリルをフランカに渡して武具を作らせてもらうよ~!」


「「「やった~!」」」


 まさかあのミスリルは魔物の一部ではなくお飾りということですか……。

 オリハルコンゴーレムも魔石にならなかったのはこのことですか……。

 予想外の結果でつまらないですわ……。

 

 そしておチビちゃん、フランカに何も言わないで作らせるのはかわいそうですこと……。

 本当に勝手ですわね……。


「それじゃあ次に行こう~!」


「「「お~!」」」


 おチビちゃんたちは大喜びでフロアを抜けていった……。

 はぁ……今回はおチビちゃんには期待はしないほうがいいですわ……。


 後を追い、一本道を進むとおチビちゃんの足が止まった。

 青色の大きな扉があった。ボス部屋確定ですわね。

 ほかの道もあってことは、皆様と同じようにたどり着きますわ。


「ダンジョンマスターがいそうだ! 中に――」


「させません――シャドウバインド……」


 扉を開こうとしたおチビちゃんに闇魔法――影で全身縛りつける。


「なんで!? ほどいてよ!」


「主様との約束です……。勝手なマネはするのではありませんこと……」


「少しくらい、いいじゃん! ケチ!」


 まったく……このおチビは……。


「ケチですか……。ではケチらしく、主様に今夜は夕食抜きと言いましょうか……? おチビが約束守らないから、そのくらいはしてくれるかと……」


「ご主人はそんなことしないもん! アタシに優しいから絶対にしない!」


「では……アイシスに言いましょうか……。また主様を困らせたと言うと夕食抜きでは済まされず、説教もついてきますわ……」


「あ、アイシスはやだ!」


「ではおとなしくしてくださる……?」


「わかった……」


 抵抗をやめて、やっとおとなしくなりましたか……。

 本当に世話の焼けるおチビですこと……。


 ほかのおチビちゃんたちはおとなしく待っているというのに、いつも落ち着きがありませんこと……。

 はぁ……愚痴はあまり言いたくありませんけど、理解のあるフランカに今回はばかりは言わないと気が済みませんわ……。

 帰ったら一緒にお酒を飲みながら愚痴をこぼしましょうか……。

次の更新は7日です。

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