322話 4つの分かれ道
「あら~迷っちゃうわね~。どうしましょうか?」
「できれば分かれないで進みたいとこですね」
「そうよね~。じっくり考えていきましょう~」
大人数いるが、4本もあるとロクなことがない。
トリニッチさんの言うとおり――。
「ボクはここ!」
「私はここ!」
「オイラはここ!」
小人たちは自分の行きたい通りを申し出ています……。
あっ……ダメだまとめられない……。
「おやつにするぞ!」
「「「わ~い、おやつだ~!」」」
ライカが叫ぶと小人たちは集まっておやつ待つ。
助かった……このままバラバラに移動したらどうなるやら……。
無限収納から饅頭を出してみんなで食べる。
「すまんな……うちの子が……」
「いいのよ~。ワタシも休憩したかったのよ~」
「それはいいが、どうする? 小人らは行きたい道は決めているし、ルチ助も同じで勝手に決めているぞ」
フランカの言うとおり、ルチルが決まっているなら多数決は無理そうだ。
ここは元ダンジョンマスターの意見を聞かないとダメか。
「セイクリッドは4本の分かれ道はどう思う? 強い敵が現れる可能性は?」
「ふむ、可能性はなくはないが、複数の道を生成するのはかなりの魔力を使う。一つ一つ環境が整っていれば強い奴も現れる。そうでなければさっき戦った蛇くらいの強さだ」
環境か……わかることは分かれ道が作るダンジョンマスターはかなりの強敵だということ。
セイクリッドと同じくらいと考えていいか。
今のところ海系の魔物だったが、ここの階層は乾燥していたって普通だ。
海系の魔物で統一してるかと思ったがそうでもないようだ。
先に進まないとなんとも言えないが。
「このどれか通れば、ダンジョンマスターに繋がっている可能性は?」
「全部繋がっているとは思うぞ。でなければ面白味がない。行き止まりなら考えていることに理解できん」
元々セイクリッドは戦闘狂で強い奴を求めたダンジョンだったしな……。
この階層が迷路だったらあり得ないはないが。
俺の考えでは4本も道を作っていることは、よほど自分に自身があるってことだ。
相手を惑わして引き返させる心理的戦略はあり得ないしな。
どの道も強い魔物がいるに違いない。
悪いが、みんなに説得して一つに絞るしか――。
『考えすぎじゃない? 別に好きな道に行かせればいいじゃん。心配性だなー。みんな子どもではないから大丈夫だよ』
…………エフィナの言うとおり心配しすぎか……。
あり得ないメンバーで攻略していることを忘れていた。
こうなることは予想していたが、しょうがない、自由にさせよう。
「じゃあ、好きな道にしよう。ただし、ダンジョンマスターはみんなと合流してから倒すってことで」
「「「わ~い、やった~!」」」
さすがに強いとはいえ、ダンジョンマスターは慎重にいかないとな。
「分かれるのであれば、子どもたちだけでは何をするかわからない、すまぬが保護者として最低でも1人ついてくれないか?」
やっぱりしっかりした人がいないと心配か。
相談した結果、右端は俺とセイクリッド、その隣――斜め右の道はメアとルチル、左端はライカとトリニッチさん、斜め左の道はフランカ、小人の中で一番強いナゴミとアリシャたちと分かれるようになった。
「よ~し、行くぞ~!」
「「「お~!」」」
ルチルは決まったら先頭になって走って、小人たちも続いて行きました……。
気が早い……。
「せっかちなおチビちゃんですこと……。ワタクシがしっかり面倒を見るのでご安心ください……」
そう言ってメアも行ってしまい姿が見えなくなった。
なんだかんだメアは面倒見がいいし、安心する。
「それじゃあ、アタイたちも行くか、はぐれないように気をつけろよ」
「「「は~い!」」」
フランカたちも行ってしまった。
アリシャたちがついて行けるか少し不安だが、フランカが空気を読んでくれると思うし心配はないか。
「さて、儂らも行くとするか、子どもたちを頼むぞ」
「気をつけてね~。無事に再会しましょう~」
ライカ、トリニッチさん組も行ってしまった。
「ハハハハ! 我らも行くとしよう! 我の勘だとこの道は強敵が待っているぞ! しっかり準備するのだぞ!」
「「「おお~!」」」
本当に的中しそうなのだが……。戦闘狂の勘は鋭いからな……。
まあ、強敵がいても問題ないとは思うが。
俺たちも選んだ道を進む――。
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