320話 攻略開始
俺たちが動き始めるとサハギンは――。
「ピギィィ――――!」
うるさっ!? 奥のほうから奇声が響くと敵は列になり陣形を組む。
指揮している奴がいるな。ここの階層ボスってことだよな。
「あら~、そんなに興奮しなくても逃げないわよ――――烈震斬!」
「「「ピギィィ!?」」」
トリニッチさんは高く飛び――陣の中に入り、剣を地面に叩きつけて周囲の敵を水しぶきとともに吹き飛ばした。
地面に倒れると、薄水色の魔石に変わった。
さすがSSランクの冒険者、Bランクの魔物を一撃で十数体の敵を倒すとはやりますな。
俺も【武器創造】でミスリルソードで敵の攻撃を躱しながら切りつける。
「――――旋脚!」
「――――刹那!」
「――――羅刹!」
小人たちは水に浸かっても余裕で倒していく。
あれ? ルチルは顔を膨らませて、あまり楽しそうではないな、どうした?
「気持ち悪くてやる気が出ない!」
いつものルチルでした……。
まあ、みんなが倒しているし、次の敵に魔力温存させてくれ。
『好き嫌いはダメだよ~。そうやって敵を選ぶのはよくないよ~』
「『エフィナの言っていることはわからない! ちゃんと倒してるから関係ない!』」
『なっ、理解に苦しむ……』
エフィナさんルチルに言っても無駄ですよ……。
「『アタイもアネキに賛成だな……。けど、水があって余計に魔力を使うから困るぜ……』」
確かにフランカにとっては不利な場所だ。
だが……炎を付与した青銀の斧で地面を叩いて水蒸気爆発させて倒している。
多少使っているがまだ蒼炎ではないからマシかと……。まあ、ここで蒼炎を出したら大変なことにはなるが。
「この醜い生物を気持ち良く倒さないとはもったいないですこと――シャドウバインド……」
メアは嬉しそうに魔法で相手が苦しむところを見ながらじっくり倒しています……。
楽しそうで何よりです……。
「――シャドウバインド! お姉様これでよろしいでしょうか?」
「まだまだ弱いですわね……もっときつく縛りなさい……」
「はい!」
ミルチェと契約した闇の精霊――ベーラはメアの指示に従っている。
頼むから他人の精霊に変なことを教えないでくれよ……。
その契約しているミルチェは地の精霊――ジゼルと援護をしていた。
「僕だって頑張るよ――――シャドウランス!」
「少しでも役に立ってみせます――アースアロー!」
2人の魔法は腹と頭に刺さり倒した。
威力も申し分ない、契約したころより強くなって十分戦えている。
アリシャ、ガルク、アミナも俺たちと変わらずについてきてる。
強くなったな、この4人はAランクの試験は余裕で受かるはずだ。
「ここは儂は有利だ――――抜刀・雷迅!」
「「「――――ピギャァァァ!?」」」
ライカは【武器創造・雷】で鞘付きの雷を付与した青銀の刀で刀を抜き、雷を纏って敵に突っ込み、周りを感電させる。
派手に倒したな……。まあ、俺たちは加護のおかげ雷耐性があって感電しないのは助かるが。
ライカは圧倒的強さを見せる――敵は矛で突こうとするが、鞘で防ぐと電流が流れ込んで痙攣を起こして倒れる。
一振り、二振りと適当に当てても、相手は感電して魔石に変わる。無双状態です。
「ハハハハハ! やるではないか――――覇閃斬!」
「「「――――ピギャァァァ!?」」」
セイクリッドは負けじと剣を振り下ろして、衝撃波が無数の敵に当たる。
もうこのメンバー余裕では? 十数分しか経っていないのほとんど魔石になって倒している。
予想よりも早く終わって日が暮れる前に帰りそうな気がする。
「オホホホホ! これで終わりよ~ん」
トリニッチさんのが最後で、周囲の敵はいなくなった。
そう、通常のサハギンは片付いた――。
「まだ出てこないかしら~。恥ずかしがり屋さんなのね~。ワタシから行こうかしら~」
「ピギィィィィィ――――!」
さきほどよりもうるさい奇声を発し、そいつは現れたら、3m近くあるサハギンだ。
やはりこいつが指揮をしていたか。
「あらやだ、大きくてイケメンなAランクのサハギンキングだわ~」
えぇ……通常のサハギンより顔が酷いのですが……。
冗談かと思ったら顔を赤くして見とれています……。
「酷い顔ですこと……。いじめがいがありますこと……」
「メアちゃん~、ワタシにこの男ちょうだい~。お願い~」
「そうですか……。ではオネエさんに譲ります……。思う存分楽しんでください……」
「ありがとう~。お言葉に甘えて楽しむわよ~」
メアは戦う気はないだろう……。
ただ、いたぶっているのを見たいだけだな……。
みんなはトリニッチさんに任せて魔石回収に移った。
「ピギィィ!」
トリニッチさんが近づくと、大きな矛で腹を突こうとする――。
「やっと、やる気になったわね~。今の一撃痺れるわ~」
剣で軽々と防ぎ、弾き返す。相手は繰り返し突こうとするが、トリニッチさんは攻撃しないで遊んでいる。
「いいわね~。アナタが人だったら抱かれていたわよ~。けど、残念だわ~短い間だったけどお別れね~」
そう言ってトリニッチさんは矛を持っている腕を切り落とした。
「――――ピギャァァァァ!?」
「あら~刺激が強かったかしら~? ごめんなさいね、手加減ができないのよ~」
もう片方の腕を切り落として相手は何もできない状態になったが、ものすごい速さで泳ぎ始め――勢いよくトリニッチさんに飛び込んで嚙みつこうとする。
「意外にタフね~。じゃあ、ワタシの愛を受け取ってちょうだい――――轟震滅斬!」
「――――ピギャァァァ!?」
剣を魔力で振動させ、切りつけると――全身がバラバラになって、水色の魔石に変わった。
「楽しかったわ~。ちょっと時間をかけてごめんなさいね~。次に行きましょう~」
やっぱりAランクの魔物はお遊び程度ですな。
みんな魔石の回収を終えて、奥のほうへ進む――。
次の更新は12月1日です。




