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315話 変人ですね……


「あら~何かしら~。まあ、ソウタちゃんが見違えるほど、たくましくなっているわね~」


 トリニッチさんはソウタの姿に顔を赤くする。

 事の経緯を話すと、喜んでいます。


「まあ、ワタシとソウタちゃんのためにありがとね! 今日も張り切っちゃうわよ~」


「では……よろしくお願いしますね……」


 メアは闇魔法(シャドウチェーン)を解除すると、トリニッチさんがソウタを抱きしめる。

 先ほど暴れていたが、見つめているのですが……。

 

「ひぃ!?」


 あっ、我に返ったようですな。

 逃げようとするが遅いです。


「もう~。ワタシに見とれて~、我慢できないのかしら~。では、ワタシたちは失礼するわね~」

 

「イヤァァァァ――――!?」


 ソウタは涙目になりながら引きずられて部屋から出ていった。

 ご愁傷様です。


「フフフ……ワタクシの望んだ結果ですわ……」


 メアさんはご満悦ようで良かったですね……。


「危なかったっス……。予想以上の効き目で困ったっスよ。領主様が持っている素材が良すぎたかもしれないっス。今度は加減して作らないといけないっスね」


 ソウタに服を引き裂かれたメメットが着替え直してきた。

 無限収納で保管しているし、上質なまま調合できるかもしれないな。

 

「改めてよろしくな、急に来たから小人たちが住んでいた家(シェアハウス)しか空きがないが、それでいいか?」


「いいっスよ! けど……家賃は安くしてほしいっス……」


「家賃も何もタダで借りていいぞ」


「た、タダっスか!?」


「別に驚くことないだろう。みんなタダで住んでいるしな。飯は3食付きだ。みんなで一緒に食べるから絶対に集まれよ」


「食事付き!? いやいや、普通におかしいっスよ! この世にタダがある場所なんてあり得ないっス! まさか……あっしをただ働きさせるつもりっスね!?」


「ああ、そのことなんだが、リフィリアの納品分を手伝ってほしい。日給――銀貨1枚でどうだ? もちろん、終わったら自分の時間に使ってもいいぞ」


「1日で銀貨1枚もらえるんスか!?  …………家はタダで借りられて……食事付き……高額な日払い……。こんなところ絶対にないっス……。領主様は女神様のようなお方っスね……。一生ついてきます……」


 メメットは涙を流して俺に拝む……。

 泣くことか……? いったいどんな人生を送ったのだ……。

 

「まだ何もしていないぞ……。わからないことがあればメイド(アイシス)に聞いてくれ」


「はいっス! よろしくお願いしますっス!」


 こうしてメメットが領民になった。少々変人ぽいが、みんなとは仲良くやってくれそうだ。

 その夕食のこと――いつも通りの食事なのだが……。


「こんな豪華な食事……初めてっス……。ありがとうございます……」


 泣いて喜んで食べていました……。

 どんなけ金がなかったのだ……。

 身を削ってまで研究をしたいのか……。

 

 そして活力がみなぎっていたソウタが夕食を食べに来たが、再び干からびていました……。

 さらに酷くなっているのは気のせいか?

 そのトリニッチさんは鼻歌を歌いながら大満足しています。

 恐るべしトリニッチさん……。

 また栄養ドリンクを作ってもらおう。

 


 


 ――――◇―◇―◇――――





 メメットが住み始めて1週間が経過した。

 言われたとおりにリフィリアの調合の手伝いをしていた。

 リフィリアはメメットの働きぶりに助かっている。

 ポーションとマナポーションは同じ質に作ってくれて、作業は早く終わって感謝している。

 ただ――。


「作り方が違うとこんなにも上質なのができるなんて初めて知ったっス。あっしもまだまだ勉強不足っスね」


 さすがのメメットも驚かされていた。

 まあ、この世に存在しない素材も使っているからなんとも言えないが……。


 もちろん、納品しているのは王国騎士だけで市場には出回らない。

 というか出回ったら大変なことになる。1等級並みのポーションと今までにない効能なマナポーションの仕上がりだからだ。

 王国騎士専用として特級ポーション、特級マナポーションとして1個銀貨1枚として納品をしている。


 今まで使っていたものより破格の値段で提供しているから王様と騎士団長(ファイスさん)も大喜びです。

 大幅にコストカットできますからね……。


 終わったら、部屋を出ないでそのままリフィリアと一緒に研究をしている。

 リフィリアも研究内容が気になるらしいとのこと。

 仲がよろしいことで。


 だが、好奇心がありすぎて――。


「剝がれたのでいいのであっしにくださいっス!」


「イヤじゃ! 妾の一部が取れてもやらないのじゃ!」


 稀少種のシエルの鱗を研究材料として使いたいそうです。

 シエルは何かと言わないが嫌らしく、剝がれた鱗は自分で燃やしている。


 前にフランカも武具が作りたいと言っておねだりしたが、ダメっだった。

 フランカが嫌なら無理ですな。

 膝をついて悔しそうに諦めました。

 まあ、近くにほしいものが手に入らない気持ちはわからなくはないが……。


 そのほかにも――マイヤがほかのスライムより大きいからと一部採取したいからと追っかけたり、セイクリッドの鎧をペタペタと触り、嚙みついたり、ライカとシノのモフモフな尻尾を毛づくろいして、抜けた毛をコレクションにするなどといった変人行動をする……。


 やはり、考えていることは違うな……。

 まだ許容範囲だからいいが、苦情がきたら注意でもする。

 なんだかんだみんなと仲良くやっているからいいけど。

次の更新は22日です。

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