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306話 旅の儀


 ――翌日。


 村人たちは広場に集まりララアの旅の儀が始まる。

 ソウタ曰く、堅苦しいのはなくお守りを渡して温かく見送るとのことです。


 大きい荷物をもったララアは笑顔で父母とハグをして挨拶を済ませて長老の前に出る。

 凛としていた長老も和やかな顔している。


「孫が旅立つのは寂しいな……。辛かったらいつでも帰ってこい……」


「大丈夫だよ。そんな寂しい顔をしないでね!」


 長老は神木で作ったお守り――細い長方形をしたロッドネックレスをララアにつける。

 あとは俺たちと一緒に――。


「私が行く前におばあちゃんに渡したいものがあるの! 受け取ってね!」


「なんだ? 孫にから贈り物とは嬉し……い……」


 ララアは持っている木箱を開けると、長老と作った同じお守りだ。

 それを長老につける。


「なんのマネだ……? 私は旅には出ないぞ……?」


「もう素直になりなよ、本当はソウタが大好きで一緒にいたいくせに。我慢しないでよ!」


「なっ……」


 ララアの言葉に長老は真っ赤になり、動揺をする。

 まさかお守りを作ったのはこのことか。

 俺の隣にいるソウタは「えっ?」っと言いながら大変驚いています。

 えぇ……気づいていなかったのか……。


「私は……ソウタをす、好きでは――」


「本当に頑固なんだから! おばあちゃんも幸せになってほしいの! だから一緒に行こう!」


「私は……」


 沈黙が続く、ここまできたら素直に言えばいいけどな。


「ソウタも何か言えよ!」


「おい、押すなって!?」


 村人は耐えきりなかったのか、ソウタを前に出す。

 近くに寄ると、2人して赤くなり気まずい様子だ。


「本当に……俺のことが好きなのか……?」


 長老は無言ながらゆっくり頷く。

 さあ、ソウタはどうする。この空気は断れないぞ。 


「俺はかまわないぞ……。ただ……長老がいなくなると、村全体は誰が仕切る……?」 


「それなら僕がやるよ。お母さんがいればララアのことは心配しないで安心できるからさ。ララアと一緒に幸せになってね」


「キューク……いいのか……?」


「僕は子供じゃないし、皆をまとめられるよ。安心して行ってね」


「ありがとう……。お前が息子で良かった……。ソウタ……こんな私でも連れてってくれるか……?」


「ああ、大歓迎だよ。改めてよろしくな長老、いや、ウルマ」


「こちらこそよろしくお願いします……」


 愛の告白が終わると、2人は抱きつき、みんなは歓声を上げて祝福される。

 長老家族は涙を流し、笑顔で見る。

 ソウタの精霊陣は潜めるように話す。


「「「保留にする」」」


 ララアと一緒ですね……。

  

『未亡人を口説くとかやるね~。今後が楽しみだよ~』


「ワタクシでも予想外な展開になりましたわ……。まあ、これはこれで面白くなりますこと……」


 まったく……この2人は何を期待していることやら……。

 まあ、婚約者が5人になって今後どうなるかだ。

 修羅場になっても自己責任っていうことで。 


 あっ、空気を読まない村人が2人に近づいた。


「2人ともおめでとさん! もしかして今日の夜はララアと一緒に――――アブヘッ!?」


「ウッサイ! 黙っておれ!」


 いつもどおり、腹パンをして遠く――村の外まで吹き飛んでいった。

 あの人も懲りないな……。


『ボクが言おうとしたけど、先を越されただと……。あの村人やるね……』


 言うのかよ……エフィナはロクなことを考えないな……。


 それはさておき、無事に2人の旅の儀が終わり、長老――ウルマの支度が終わるまで待つ。


「待たせたな、では行くとしよう」


 ウルマは前回と同じように武具を着て、荷物は……ララアが持っている5倍以上はある。

 荷物が多い割には早いな。

 まさかいつでも行けるようにしていたのか?


「やはりワタクシの計画どおり……」


「メア殿の言うとおりだったな」


 メアのことを鵜吞みにして準備はしていた感じですね……。

 なんだかんだ期待していましたね……。


 みんな準備もでき、村人たちは大きく手を振って見送りをする。

 この旅もあっという間だったな。帰ったら開拓を仕事だ。


 その前に人魚の都(トルマ)に行ってカーリーさんを迎えに行く。 

 

次の更新は11月1日です。

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