290話 闇の魔剣、反省する
見えてきた――魔王は【竜装】で着ていた鎧が粉々になり、丸裸で倒れていた。
【破壊者】のスキルも使ったか。いくらアダマンタイトの鎧を着ても関係ないか。
「こ、小娘……やるではないか……」
「魔王……覚悟しろ!」
メア大きく振りかぶり、切りつけようとする。
俺は結晶の魔剣を出し――空間魔法で目の前に移動し、【魔力解放】を使い、攻撃を防ぐ。
地面に足が埋まるほどの力だが、防ぐことができた。
重すぎる……致命傷ですまされない威力だぞ……。
【魔力解放】を使わなかったら俺も大怪我だ……。
「主様……申し訳ございません!」
メアは我に返ったのか、魔剣を消して、膝をついて深く頭を下げる。
「もういいだろう? これ以上やっても無意味だ。終わりだ」
「はい……わかりました……」
『主人が前に出たのに寸止めしないのは、良くないよ。しっかり反省して!』
「申し訳ございません! 深く反省しています!」
あのタイミングで寸止めできるわけないだろう……。
メアは【魔力解放】をやめて、元の姿になる。
『この勝負はなし! お風呂でも入って反省してね。 魔王、お風呂借りるけどいい?』
「ああ、いいぞ。ところでお前、エフィナでいいのだな?」
『そうだよ。久しぶりだね魔王』
やっぱりエフィナを知っているのか。
「久しぶりだな。大半は幼女神に聞いている。まさかレイの中にいるとは……どういう経緯でそうなった?」
幼女神? シャーロさんのことか、じゃあ、連絡している仲なのか?
魔王は女神と繋がっていることが確信しました。
『まあ、いろいろとね。あとでシャーロに聞いてみてよ』
「わかった……。ところでレイ、お前さんの瞳は黄色いかったか?」
「え? 黄色い?」
無限収納から鏡を出し、顔を見ると――本当だ、黄色い……ルチルと同じ瞳だ。
もしかして――【魔力解放】をやめると元の黒い瞳になった。
ああ、俺はメアと違い、こっちに影響するのか。
他の魔剣だとそれぞれ同じ色の瞳になるわけか。
「気にしないでください。みんな心配しているので戻りましょう」
「そうだな、すまないがオレを運んでくれないか? 小娘が予想以上に強すぎて、魔力が尽きた」
「わかりました」
魔王を背負い、魔王城に戻る。
メアは少々やり過ぎたのか下を向いて落ち込んでいる。
しっかり反省しているみたいだ。
無理やりゴリ押して止めたが、無事なら問題ない
「ゲート」で玉座の間に移動し、2人は無事だとわかり、みんなひと安心する。
「魔王様、いい加減にしてください。恩人様に失礼な言動、行動は慎んでください――」
「だって……」
「だってでは、ありません!」
魔王は正座され、ピアさんに説教されています。
魔王の立場……。
その間に俺とメアは風呂に案内されて、入ることになった。
「なんで俺も?」
「主様と……一緒がいいです……見捨てないでください……」
俺のコートをつかんで涙目で訴えてきます。
今までと性格が違うな……。
まあ、旅はシャワーだけしか浴びていないからいいが。
案内された大浴場は床、浴槽――全体が金でできている……。
贅沢だな……全部金ぴかで落ち着けない……。
湯船に浸るとメアは俺の股の方に座り向き合う……。
「どんな罰でもします……どうか見捨てないでください……」
「いや、見捨てるも何もないから……。機嫌直してくれ……」
「本当ですか……? 本当に本当ですか……?」
「ああ、そうだよ……」
「ありがとうございます……。今後はそのようなことが起きないように努めます……。寛大な心ありがとうございます……」
別に怒ってもいないけどな……。
まあ、表情も明るくなったからいいか。
「ピアの奴め……もう少し短めにしろ……話が長すぎる……」
魔王が恥じらいもなく裸で来て湯船に浸かる……。
「なんでここに……?」
「なんでって、ここはオレの風呂場だぞ。いてもおかしくはないが」
サイガさん、なぜ魔王専用の風呂に案内したんだ……。
「小娘、レイを独り占めするな、オレにもイチャつかせろ」
「お黙りなさい魔王……。あなたの絶壁で主様を癒されるわけがありません……。出直してきなさい……」
「なっ、オレは貧相な身体ではないぞ!? はは~ん、さてはオレが魅力的だと思って、レイに近寄らせないためだな~。小娘もかわいいところがあるな~」
「何勘違いしていますの……? あなたとの会話はついていきません……」
「今日はいろいろとやり過ぎたから我慢してやる。次は譲れよ」
勝手なことを……まあ、メアは元通りの正確になったから、良かった。
「しかし、レイよ。お主はいったい何者なんだ? 3人の女神加護といい、エフィナがお主の中にいる。
聞きたいことばかりだ」
まあ、そうなるよな。
教えても大丈夫だが、どこまで言えばいいかだ。
「それ……アタシが言う……」
その声に振り向くと――。
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