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285話 魔大陸


 キングクラーケン騒動から半日ほど過ぎた。


 メアはみんなに感謝され拝まれています。


「もっとワタクシに感謝しなさい……」


 微笑みながら満足していました。


「それとワタクシは賢者の護衛です……。主様にも感謝しなさい……」


 なぜか俺にも拝まれました……。

 そして賢者というワードで乗客の1人が、スタンピードを終わらせた賢者とわかってしまい、さらに感謝の嵐でした……。


 俺は何もしていないのに困る……。

 ゆっくり船旅を満喫できなくなった……早く着いてくれ……。


 

 

 ――――◇―◇―◇――――



 ――翌日。


 

 甲板で景色を眺めていたら、陸――建物が見える。

 

「見えているのは人魚の都――トルマです。ここで少し休んでから魔王城に行きます」


 人魚の都だから海上に建物が作られていると思ったが、陸のほうに建てられている。

 他の種族と交流しやすいように作られたのかな? 

 まあ、人魚が住みやすいように水路が多いのは確かだが。


 船が来ることがわかると、人魚たちが次々と近づく……って、多すぎだろう!?


 海面は人魚で埋め尽くした……。

 

 聞こえてきたのは「魔王様の恩人がキングクラーケンを倒した」と、噂が広まるの早すぎでは?


 まあ、入港の邪魔をしていないからいいけど。

 船は港に停まり到着をした。


 船長が出てきて無事到着したことで頭を下げられた。


 それはいいのだが、この状況で船に降りられるのか……。

 人魚たちは陸に上がり俺たちを待っている。


 ん? 気のせいだろうか、尾びれではなく足があり、二足歩行なっている……。


「気がついたか、人魚族はスキルを使って人の足になれるぞ」


「便利なスキルだな……陸と海移動できるとは羨ましい」


「そんなことはありません、人魚族は陸といえど、海の近くにいないと肌が乾燥して、潤いがなくなり大変です。時に死に至ることもあります。もし人魚族が遠出をするのなら海水が必要となります」


 種族的な問題はあるか。


「ですが、最初から足――【陸地】のスキルはありませんでした。人魚族が女神シャーロ様を信仰したところ、【陸地】のスキルを習得しました。シャーロ様の恩恵のおかげで他の種族とも交流ができ、協力できる仲であります」


『やっぱりシャーロは良いことをしてるね~』


 シャーロさん、かなり貢献をしていますね。さすが女神様だ。


「では、休憩する宿がありますので、行きましょう。皆さん、道を開けてください! 魔王様の恩人が通りますよ!」


 サイガさんが大声で言うと、周りは道を開けくれて、陸に上がり休憩する宿まで歩く。

 ハーピーたちは船酔いは回復しているが、まだ万全な状態ではなく、あとから合流することなった。


 途中で小船を使い、水路を移動する。

 人魚たちに注目が多い中、他にいる種族――エルフ、ラミア、獣人、ドワーフにも注目が――。


「あれってサイガさんじゃあ……」

「隣にいる人はスタンピードを終わらせた英雄様か?」

「サイガさんがいる! いつもありがとうございます!」


 忘れていた、魔王の側近であるサイガさんも魔大陸では有名ですね……。

 注目が集まるのも無理もない。

 それに応えるようにサイガさんは手を振っています。

 ファンサービスがよろしいことで……。


 しかし、周りを見渡しても人間が少ない、本当に魔大陸に上陸したと実感する。

 街の中心へと移動すると、水路の中心に囲まれている凛とした長身の獣人像――シャーロさんらしき像が設置してある。

 トリニッチさんで見た像と同じです……。

 どこに行っても盛っているのは変わりませんね……。


「着きました。ここです」

 

 密集した建物から外れ、移動したところには、前世で海沿いに建てられている海の家のような小屋が設置してある。人気がないところだ。


「皆様が来るように数日は貸し切りにしているので、ゆっくり休めます。ご安心ください」


 小休憩のために貸し切りとは……なんかすいません……。


「来ましたよ。カーリー」


「ようこそ、魔王様の恩人のお方、私はカーリー・スレムと申します。少しの間ですがよろしくお願いします」


 小屋に入ると、店内は少し暗く、喫茶店の雰囲気で、笑顔で出迎えてくれたのはウエイター姿の細目で長身茶髪男のダークエルフだ。


「カーリーは私の元同僚でしてね。魔王城の料理長をしていました。引退してこのお店を経営をしています。たまに魔王様もカーリーの料理を食べたいとワガママを言ってここに来ますよ」


「300年もやっていれば、恋しくはなるよ」


 だから、貸し切りにできたのですね……。

 というか長く料理長していましたね……。


 俺たちはカーリーさんに挨拶をするが、メアを見て目を大きく開ける。


「まさか……いや、そんなことはない……」


「どうかしました……?」


「いえ、なんでもありません。旧友の種族に似ていまして……」

 

「気のせいでは……?」


「そうですね……すいません、見間違いでした」


 サイガさんと一緒で姿そのものは吸血鬼と認識しているな。

 この2人が見間違えるほどメアは完璧に吸血鬼の存在となっているみたいだ。


「カーリー、自慢の料理を盟友たちに作ってくれないか?」


「そうだね。お口に合うかどうかわからないけど、少々お待ちを――」


 そう言って厨房に入っていった。

 魔大陸で初めての食事、しかも魔王城の元料理長が作ってくれるとは運がいい。

 期待していいかな?

次の更新は20日です。

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