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275話 決意と決断


 みんなのところに戻り、俺は大声で――。


「みんな、聞いてくれ、大事な話がある!」


 みんな俺に視線を向いた。


「賊のせいで犠牲者が出て、建物がほとんど壊滅して住める環境でなくった……。これはあくまでも提案なんだが、俺の領地に来ないか?」


 俺の発言で周りはざわつく。

 無理もない、急に故郷を離れろって言っているからな。

 

「理由はまた賊――ズイールの奴らが来る可能性がある。これ以上、悲劇を起こさないようにもっと安全場所――俺の領地は賊が来るのに距離が遠くて安全だ。無理に返事をしなくていいから考えてくれないか?」


 俺は言いたいことを言った。

 これが俺が背負う責任だ。

 あとはみんなの返事を待つだけ――。


 するとミツキさんが俺の方に向かい、みんなに振り向き――。


「み、みんな! 私はレイさんと一緒にいたけど、楽しいことがいっぱいあって、何も苦労することはなかったよ!も、もし む、村を出るとしたら辛いと思うけど……ぞの分、楽しいことが絶対待っているよ! だ、だから……みんなで村をで、出て……新しい暮らしをしよう!」


 ミツキさんは涙を流しながら伝えた。

 村の発展に貢献したミツキさんもかなり辛い決断だ。

 無理をしがちだと思うが、みんなを想って言っている。


 周りはミツキさんの発言で頷いて、賛同してくれる声が――みんな涙を流して――。


「「「うん!」」」


 同意をしてくれた。

 辛い決断だと思うが、みんな強い。


「ありがとう……これだけは言わせてくれないか。何があっても絶対に守ってみせる。これだけは約束する。もう辛い思いはさせない」


『そんな大きなこと言って大丈夫なの?』


「『大丈夫だ。これからみんなの領主となるからこれくらい覚悟しないとな』」


 エフィナは心配して言うが、本当に大丈夫だ。

 絶対に守ってみせる。



 こうして話は終わった。まだやることがある――そう、埋葬だ。

 南の方にある先人たちが眠っているお墓に行く。

 ここは荒らされていなくて本当に良かった。

 みんなのために戦ってくれた英雄たちを埋葬をする。


 みんな涙を流して手を合わせる。 


「今はこんなことしかできないが、アタイがいいお墓作るからそれまで我慢してくれよ……」


 フランカは呟いた。

 本当に優しいな……。


 それと返さないといけない。

 涙をこらえている子ども――ミスリルの短剣を渡していた子に無限収納から使ったミスリルの短剣を出して――。


「はい、おかげでみんなを救うことができたよ。これは形見として持ってくれ」


「うん……」


 剣を返すと、その子は剣を抱きしめて大泣きをする。

 このままそっとして――。


「レイしゃん……ボク……強くなりたい……みんなを守るように強くなりたい……」


 ボロボロと泣きながら俺に言う。


「そうか……じゃあ、強くなるように特訓しないとな」


「うん……」


 この子は絶対強くなると思った。

 俺は確信した。


 埋葬も終わり、夜になった。

 

 このまま夜を過ごすのは危ないから、俺の領地に行くことが決まった。

 もちろん、「ゲート」を使って移動する。

 大人数だが、魔力量も増えて、フランカとルチルも取得したからなんとかなりそうだ。


 みんなで瓦礫をあさり、使える道具を探して持ち出していく。


 移動する準備はできたが、守り神がいない。

 いるとしたらあそこしかないか――。


 俺は神社の方に向かうと――いた。


 社内で丸まって座っている。


「守り神、何をしている? 一緒に行くぞ」


『儂はもういい……。あの子らを守れなかった……。このまま飢えて罪を償いたい……』


「お前のせいではないから、みんな心配しているぞ。ほら、来いよ」


『しかし……一緒に行ったって、儂はもう……寿命が……』


 魔石にヒビが入って、自分が危ないとわかっているか。

 だったら――。


「本当にみんなに責任があるのか?」


『そうだ、儂はあの子に悪いと――』


「あるのだったら、みんなと一緒にいろ、みんなと長くいれるように生きろ。それがお前の責任義務だ」


 俺の発言で守り神は口を開けて呆然とする。

 本当のことを言ったまでだ。


『儂もついて行っていいのか……?』


「もちろんだ。じゃないとみんな不安だぞ」


『…………そうだな……では命ある限り面倒を見ないとな……』


「あまり無理をするなよ。ゆっくり休んでくれ」


『そうか……ではお言葉に甘えておく……では……ここに住まないのであれば儂たちの宝物を持っていくがよい』


「いいのか?」


『儂は桜の花を見たい。お主の領地に植えて見ないと長生きはしないからな』


「わかった。全部持っていくよ」


 少し強引だが、仕方ない。

 本当は俺に託してほしいのかもしれない。

 それだったらしっかり管理する。


 倉庫にある袋に保管されている種を全部、無限収納にしまう。


 これで守り神を説得して、行く準備できた。

 

 みんな涙を流して長年住んでいた場所に「ありがとう」と言う。


 もう絶対悲劇を起こさない――俺はそう誓った。


 俺たちは「ゲート」を使い、領地へ戻る――。

 

次の更新は29日です。

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