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274話 最悪な結末


 ――夕日頃に村に戻ることができた。


 小人たちは真っ先に家族のもとに行く。


 無事な人もいれば、大声で名前を呼んでも来ない人もいる。

 呼んで来ない人はもう……。


「ご主人様!」


 アイシスが涙を目から流して駆け寄って抱きしめてくる。

 かなり心配させたようだな……。


「大丈夫だから、心配するな。それよりも……」


「わかっています……ですがこのままにしてください……」


 ああ、ゴミどもの時、再び魔力暴走らしき状態になったのが、わかったか……。

 無理もないか……。


「アイシス、ワタクシに感謝してくださいね……。主様を守りましたので褒めてもらえますか……?」


 メアの言葉も聞かないで強く抱きしめてくる。


「はぁ……聞いていませんね……仕方ありません、今回は大目に見ますわ……」


 メアは深くため息をし、そっとしておく。

 

 十数後、アイシスは落ち着いていつも通りなる。


「アイシス、そっちは大丈夫だったか?」


「はい……特に異常はありませんが……。ただ……。」


「ああ……集会場に行くぞ……」


 苦しいが、現実を受け止めないといけない……。


 集会場にはみんなを守って亡くなった遺体が身元を確認するため並べてある。

 死者は631人とのこと……。


 みんな泣き崩れる……。


 リフィリアは親を失った子に寄り添い、抱きしめて落ち着かせている。


 村長家族も、村長の遺体を確認すると、抱きしめて大泣きする……。

 

 辛い……辛いの一言しかでない……。


『儂のせいで……』


『お主のせいじゃないのじゃ……』


 守り神が泣いているところをシエルが慰める。

 あのゴミどものせいだ……。守り神は何も悪くない……。


「ご主人……アタシ……もっと早く……スキル……【同族強化】がわかれば……みんなを助けられた……」


 ルチルは涙をこらえていたが、限界のようだ……。


「ルチルは何も悪くない……自分を責めるな……」


「うぅ……」


 もし【同族強化】が発動しても全員に強化できるほどの魔力はなかったはずだ。

 ゴミを掃除する前に発動の予兆があったが、発動できない――不完全な状態だった。

 もしかして俺が闇の魔剣を創造したことでスキルが発動できたのかもしれない。


 俺の力が足りなかったから責任に俺にある……。

 

 小人1人で救えないなんて……何がスタンピードを救った英雄だの賢者だ……言われる資格なんてない……。


 俺はいったい……どうすれば……。




『やっと起きることができた』



 エフィナが目覚めた。


「『エフィナ……大丈夫なのか……?』」


『大丈夫っと言いたいところだけど、話があるから、みんながいない場所に移動してね』


「『えっ? ああ……わかった……』」

 

 エフィナの言う通りにみんながいない場所――森の方に向かったのだが……なぜかメアもついてくる……。


「メアはいいのか……?」


『この子はいても大丈夫だよ。そろそろいいかな――レイ、正座してね』


「えっ……? なんで……?」


『い・い・か・ら・せ・い・ざ!』


 エフィナの態度が変わり、俺は正座をする。

 メアもするのか……。


『やっとしたね。では――レイ、なんで自分ばかり責任を持つの! レイが責任を持つことはいっさいないのだよ! 考えすぎ!』


「えっ……でも……」


『でもじゃない! 考えすぎたせいで魔力暴走したのだからね! ボクたちが抑えなければ本当に大変なことになってたよ!』

 

 ぐうの音も出ない……。


「悪かったよ……というかボクたちって……?」


『一回目はボクが止めて、2回目はボクが持ちこたえることができなかったから、無理やり魔力を使って魔剣(その子)を創ったのだよ! 本当に大変だったから!』


「主様の魔力……大変おいしゅうございました……」


 だからか……魔力暴走は魔剣を創れるほどの量を消費して、いかに危ないことがわかった……。


「反省します……」


「絶対に反省してね! 今回は偶然が重なって回避できたけど、次はないからね!」


「わかりました……」


「絶対だからね! この話はおしまい! この子にもしっかりお礼を言ってね! それから今も魔力暴走が抑えられているのはこの子のおかげだからね!」


 メアが……? 確かに闇の魔剣を創った時からゴミどもに怒っても、魔力があまり乱れなかったな。

 という言うことはメアは俺の魔力を管理できることか。


「ありがとう。これからも頼むよ」


「もったいなきお言葉ありがとうございます……。今は主様の魔力は正常ですが、危ない時はお声を掛けますからよろしくお願いします……」


 やっぱり管理している。


「ああ、わかった」


『うんうん、これでよし、レイ、これだけは言っておくよ。本当に責任があるなら今からやるべきことはあるよね?』


 やるべきこと……エフィナは俺が考えていたことがお見通しか。

 みんなに受け入れてくれるかどうか迷っていたが、しっかり話そうとは思う。


「もちろんだ。俺はもう迷わない――その責任……果たしてみせる」


「そうだね! じゃあ、みんなところに戻ろうよ!」


 俺はもう迷わない――みんなのいる集会場に戻る。

次の更新は27日です。

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