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266話 闇の魔剣


 少女になったわりには大人っぽい雰囲気をだすな。

 そして頭の中には【破壊者】【威圧】【魔力解放】【隠密】のスキルに闇魔法、無魔法上級の獲得が浮ぶ。

 さらにチートになってきたな。だが、小人のために有効活用してやる。

 

「どうかワタクシにご命令を……」


 闇の魔剣は俺にお辞儀して待っている。


「好きにしろ……」


「仰せのままに……では周りの下等生物をおとなしくさせます……」


 妖艶な笑み浮かべて、闇魔法――いや、回復魔法を含む【混合魔法】を使う――。




「――――マナドレイン……」




「「「――――ギャァァァァ!?」」」



 賊の魔力を吸い取り、闇の魔剣の右手に球体になって集まり、徐々に大きくなっていく。


「助けてくれ……」

「聖石をつけてるのに力が抜ける……」

「イタイ、イタイ、イタイ! 助けてくれ!?」


 相手が干からびるほど魔力を吸い取ったな。

  

「少々やりすぎましたね……」


「吸い取った魔力はどうするんだ? クズの魔力なんて汚いぞ……」


「下等生物にお返しします……。――――ダークブレイク……」


 吸い取った魔力の球体を手で握りしめると、賊の邪石が砕け散り、破壊される。

 破壊されたことで周囲は灰にまみれとなる。


「お掃除完了しました……」


「次だ……」


「はい……主様……」


 俺たちは【威圧】を出しながら歩き、次々と賊が向かってくるが、それに当てられた賊は身動きが取れなくなった。

 無意味だな、自ら向かってくるということは死を意味する。


 馬車も動きが止まった。馬も【威圧】当てられたか。

 もう少しだ、今助けてやる。


「レイさんがいる!」


 小人たちは俺に気づいたのか喜ぶ声がする。

 あと少し――。


「ふざけるな! 金物を逃がすわけに――――グエッ!?」


 闇の魔剣は【武器創造】らしきスキル――闇を付与した鉄球で鎖に繋がれている星球武器(モーニングスター)を出して、口に出した賊の顔面を強打する。

 原型がなくなり、灰になる。


「はぁ……口の減らない下等生物ですこと……身の程をわきまえろ、ザぁ~コ……」


「「「うわぁぁぁぁぁぁぁ!」」」


 仲間がやられたのを見て、奇声や発狂する。

 【威圧】に耐えられなくなったのもあるか。

 

「そうですわ……下等生物には恐怖と絶望がお似合いですこと……」


 不気味な笑みを浮かべて微笑んでいる。

 とんでもない魔剣を創ってしまった……。まあ、おかげで楽に進めるが。


 周りが混乱している隙に檻に入っている小人に近づく。

 みんな安心した様子だが、傷だらけで怪我人もいる……。

 本当によく耐えた。

 そして首に小さな邪石が付いた首輪をされている。

 これで魔力が抑えられているわけか。

 

「レイさん、この首輪のせいで力が出ないの! お願い!」


「わかった、ちょっと待ってくれ――――アンロック」


 無魔法――解除系の魔法を発動し、首輪は石が砕け散り外される。

 うん、魔力も安定しているし、本来の力が発揮できる。

 檻も同じように開錠し、小人たちが出てくる。


「あら、怪我をして不便なこと――――ヒール・サークル……」


 闇の魔剣は範囲系の回復魔法を使い、小人を治療した。

 本当に助かる。


「「「ありがとう!」」」


 小人たちは俺たちに笑顔でお礼を言う。


「フフフ……もっと褒めて讃えてもいいのよ……」

 

 とりあえず数十人ほど助けることができた。

 まだ十数もの檻がある――時間がかかりそうだが確実に助ける。


 多いな、弱体化させる邪石がなければこっちのものだ。

 空に炎魔法(フレイムバレット)を撃ち上げて、みんなに合図をする。

 小人たちを逃がさないと――。


「レイさん、ボクたちも戦う!」


「後ろにみんなが待っているから逃げるんだ」


「閉じ込められているみんなを放っておけない!」


 助けたいのか、魔力を多めに出してやる気のようだ。

 気のせいなのかルチルと同じ魔力を出している。


「主様……おチビちゃんのお願いをどうか耳を傾けてくださいませ……。ワタクシがみんなをフォローをしますので……」


 お前もか……まあ、小人の性格上、理解して言っているとは思うが。


「しょうがない……しっかり守れよ、これは命令だ」


「仰せのままに……さあ、おチビちゃん……武器を取りなさい……」


 闇の魔剣は【武器創造】で無数の闇を付与した(ダーク)青銀の短剣(ミスリルダガー)を出す。

 ミスリルか、ということは俺もプラチナからミスリルにグレードアップしたみたいだな。

 小人たちは武器を取り、準備ができた。


 すると、他のと比べものにならない禍々しい魔力が来る。

 親玉――いや、2番目に強い奴だな。

 そいつは現れたって……コイツかよ……。

 この大陸を逃げたはずのジャックが胸元に大きな邪石を付けている。


「檻が壊されて、首輪が外れるんだよ!? 絶対に壊せない特注の奴隷の首輪だぞ……ありえねえ!? って……なんで氷迅の魔導士がここにいるんだよ!? 俺の計画を邪魔するんじゃねえ!」


 俺に気づいたのかかなり驚いている。

 コイツ【威圧】が効かないのか?

 特大の邪石をつけているから効かないか。

 というか絶対に壊せないとか言って簡単に解除できたが、もしかして【破壊者】のスキルが発動して簡単に解除できたのかもしれない。


「お前……ギルドカード剝奪されたからって、クズい行動をするなよ……」


「うるさい! てめえにわかるかよ! 精霊使いのせいで俺の人生は滅茶苦茶だ! そう、精霊使いが悪いんだよ!」


 逆恨みのもほどがある……。本当に救えない奴だな。


「それで、お前たちは小人を攫って何をするつもりだ?」


「雇い主に頼まれただけだ! 小人一人に大金貨1枚もらえるからな! こんなウマい話はない!」


 天を仰ぐかのように高笑いをしている。

 腐っている……。 

 ここまで落ちたとは同じ大陸の人間として恥だ……。


「その邪石は雇い主にもらったのか?」


「邪石じゃねえ! 聖石だ! そうさ、雇い主のおかげで俺は最強の力を得られた! 誰も負ける気がしねえ!」


 雇い主は帝国の関係者だな、それだけ情報がわかれば十分だ。

 その雇い主(ゴミ)をぶっ潰してやる……。


「こんなゴミみたいなのを付けて、最強とは正気の沙汰ではありませんこと……」


「黙れ小娘! よく見たらルージュと同じ雰囲気があるな……俺の女にしてやる……」


「主様……ゴミを付けて、顔がブサイクの下等生物に欲情されました……気持ち悪いです……」


 闇の魔剣はジャックの発言にドン引きして俺の後ろに隠れる。

 

「このガキ……舐めやがって……俺の奴隷にしてやる……」


 挑発させてどうする……いや、ワザとやって楽しんでいるな。


「主様……ここはお任せください……おチビちゃんの方へ……」


 なるほど、ジャックを引きつけている間に小人を助けろってことか。

 その考え乗った――。


「頼んだぞ」


「はい……おチビちゃんを守ることも忘れていないのでご安心を……」


 そう言って、闇の魔剣はみんなの邪魔にならないように端に移動して――。


「どうしたのです、下等生物……? ワタクシを奴隷にしないのですか……? それとも……反論できないただのザぁコですか……? 何か言ってみなさいザぁ~コ……」


「わけがわからないことを……絶対服従してやる!」


 よし、ジャックが闇の魔剣の挑発に乗っている間に――。


「レイ、遅いぞ! いつまで待たせるつもりだ!」


 合図でソウタたちが来る。

 このタイミングは――。


「精霊使い……」


 ジャックはその声でソウタに振り向く。

 マズいな……ジャックの魔力が膨大になっている……。

次の更新は10日です。

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