265話 怒り②
ドス黒い反応が強くなった。数は1000人以上はいるな――奥にはこれまでに以上ない禍々しい魔力がある。
親玉で間違いない、これ以上進むと賊どもの【魔力反応】に引っかかって警戒される。
足を止める。
「レイ、どうする? 俺が【隠密】を使って奇襲をかけようか?」
「いい考えだが、その必要はない。俺に任せてくれないか? 空から合図を出すから、それまでみんな待機だ」
「えっ? おい待ってくれ!?」
ソウタの声を無視して、前に進む――。
悪いが【怒り】なんて収まっていない、賊に八つ当たりをしないと気が済まない。
俺に気づいたのか5名ほど近づいてくる。
少人数とは随分舐められたものだ。
「へ、へ、へ、へ、兄ちゃんよ~。こんなことで何をしてるんだ~? 迷子でもなったのか~?」
向かってきた賊どもは額に黒くて禍々しい邪石を付けて、にやけながら剣を構えている。
やっぱりズイールの奴らか……みんなを攫って奴隷にするのか。
「何黙っていやがる。何かはな――」
「――――刹那……」
背後に回り、ミスリルの短剣で首を切った。
うるさい……少しは黙ってろ……。
切った賊の首が地面に落ちると灰になって消える。
所詮、邪石を付けた部位を切ればただの弱者だな。
それを見た奴は足を震えさせて後ろに下がる。
「ひぃ!? なんだコイツ――」
「――――刹那……」
もう1人同じように首を切る。
黙ってろ……怯えているのに口は動くな……。
「――ひぃぃぃぃぃ!?」
残りは3人は背を向けて逃げる。
さっきの威勢はどうした? 情けない……。
「――――羅刹……」
「――――ギャァァァァ!?」
逃げている相手に突っ込み、胴体を切る――。
コイツら本当にバカげている……。
背を向けるとは殺してくれと言っているものだぞ。
まあ、出てきた5人は下っ端で捨て駒でしかないみたいだ。
やられたのがわかったのか、今度は数十人と来る。
さっきの奴よりは禍々しい邪石を付けているな。
そして遠回りして森の中に隠れいるのがいる――狙撃か魔法で倒そうと思っているのか?
「敵襲だ! 相手は1人だが、強いぞ! 皆で一斉にかかれ!」
来る奴らは首、腹、手などに邪石を付けている……1人、1人相手にするのは面倒くさい……。
コイツらには苦痛を味わわせてやる……。
「――ナイトメアバインド!」
「「「――――ギャァァァァ!?」」」
ドス黒い影で拘束をし、周りは奇声と発狂ばかりする。
これは俺のオリジナルの闇魔法だ。
拘束されたものは恐怖に陥いり、精神的痛みを与える。
文字通り――悪夢で【威圧】より強力だ。
しかし、強力とはいえ、束縛した奴ら全員効くとは弱すぎる……。
耐えきれずに次々と倒れていく。
そのまま一生地獄を見ていろ。森の中に隠れていた奴も襲ってこないな、倒れているなら進む――。
大量の馬車で檻を運んでいるのが見えた。
小人の魔力もある――あそこに閉じ込められているな。
だが、魔力量が少ない――いや、魔力を制御されている。
弱体化させる邪石が見当たらないが、どうやら個々に弱体化させる装置を付けられたみたいだな。
「敵が突破したぞ!? 1人相手に何をやっているのだ!」
さっきの倍はいるな……。
もう少しで助けられるのに本当に目障りだ……。
…………もっと楽に殺せないか。
その瞬間、魔力が抑えきれなく、目の前の雑魚どもを殺すことしか考えられなくなった。
「な、ななななななんだ、この魔力は!? かかかかか、か、身体が動かないぞ!?」
俺の魔力に当てられて動かないようだな。ちょうどいい、楽に――。
ん? 右手から黒い球体の光が出る。
抑えてようとするが、光が増すばかりだ。
エフィナの仕業だな……余計なマネを……。
魔剣なんて創っている暇なんてないぞ……。
しょうがない……創ってやるか……。
「出てこい……。――――闇の魔剣……」
周りは暗闇に包まれ、周囲の視界を阻む。
右手には漆黒で目を惹かれるほどの美しい魔剣を持っている。
「な、何も見えねぇ!? た、助けてくれ!?」
何も見えない? ああ、闇の魔剣を創って俺は暗闇でも見えることができるのか。
このまま殺しても構わないが――。
「今すぐ【人化】しろ……お前を使う気分ではない……」
魔剣を地面に置き――。
『仰せのままに……』
少女の声を出す魔剣は俺の指示に従い、人の姿に変わる――。
黒髪ロングでツインテールの赤い瞳で黒いゴシックロリータを着た140㎝前後の少女だ。
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