251話 勝手に決めています……
謁見が終わり、客室用の寝室に戻る。
いろいろとありすぎてベッドに寝込んでしまう。
夜はお祝いをするから今のうちに休まないと気力が持たない……というかお偉いさんたちにいろいろと言われそうだ。
――夜頃。
大広間に移動する。
お偉いさんたちと豪華な食事を立食しながらお祝いをするのだが、精霊組、セイクリッドとシノも参加しています。
王様曰く、「お祝いに種なんて関係ないよ」といいらしいです。
寛大でありがたいのですが、大広間に入るとすぐに注目されました……。
まあ、何かあっても騎士が見張って対応してくれるから問題はないけど。
それに思うことが……サーリトさんと話をしているミランドさんだ。
謁見では見かけてはいなかったが、お祝いには招待されているみたいだ。
他にもブレンダとルルナも一緒にいる。お偉いさんの子どもも参加していいのか。ミランドさんたちは俺に気づくと駆け寄り――。
「フハハハハハ! レイよ。授爵おめでとう! 実に素晴らしいよ!」
「レイ君、授爵おめでとう」
「お兄さん、授爵おめでとう」
「レイさん、授爵おめでとうございます」
お祝いの言葉をいただきました。
ミランドさんは周りに聞こえるかのように喜んで言うのですが……。
「あ、ありがとうございます……」
「そう緊張するでない! もっと男爵らしく誇らしくしていいぞ! そう、元男爵の私のように!」
「ん? 元って……どういうことですか?」
「今のさっき陛下から話があってな。リンナ――リンアイナ第一王女をカルムで匿っていたから子爵に上がることになった! 私も出世したものさ。ハハハハハ!」
確かにリンナさんを長年何事もなく、無事に匿っていれば功績として上がりますよね……。
だから招待されて上機嫌か。
「そ、そうですか……子爵おめでとうございます」
「フハハハハハ! ありがとう! ただ、残念なことにリンアイナ王女と正式に婚約を結んでしまったから、ブレンダの式を挙げるのが遅くなってしまったことだ。私の予定ではブレンダが成人したらと思っていたが、陛下は5年以上先と言っていた。そして相談した結果王女の式が終わった2年後に挙げると決まった。私としては残念だが、しょうがないことだ。ということでよろしく頼むよ」
…………また俺の相談なしで勝手に決めている!?
まだ先の話なのにみんな飛ばし過ぎだ……。
ブレンダを見ると顔を赤くしています……何か言ってください……。
「き、気が早いですよ……まだ先の――」
「何を言っているのだね! 私としては遅いほうだよ! ブレンダもそうだね!」
ブレンダはゆっくり頷いた。
本人はいいのかよ……。
「それと、レイは土地をもらったと聞いた――ブレンダが学校卒業したらすぐにレイの領土に住まわせるからよろしく頼むよ」
そっちも勝手に決めるな!?
卒業って確か5年制――ちょうど成人になるころだから、あと4年後か。
いや、親が勝手に決めていたことだから本人に確認しないと……。
「ブレンダはそれでいいのか? まだ先の話だからもっとゆっくり考えていいのだぞ?」
「私はお兄さんと一緒にいると決めたの……。だから学校終わったらよろしく……」
さらに顔を赤くして言う。
本人が本気なら俺は止めはしない。
「わかった。そのときはよろしくな」
「うん!」
とびっきりの笑顔で返してくれました。
「いいな……」
ん? 今ルルナから「いいな」と聞こえたのは気のせいだろうか?
「レイ君、ルルナも学校を卒業したら住ませてくれないかね? 学校に卒業しても魔法十分に取得しているかわからないから、暇なときは練習の付き合いをしてほしい。秘書くらいはできると思うから、僕からもお願いするよ」
サーリトさんまで……しかも俺の秘書にですか……。
いや、その後に魔法大学に行く予定はないのか?
大学に行くより俺のほうがいいのか?
『よし、採用だ!』
エフィナも勝手に……まあ、秘書はともかく面倒は見れるから大丈夫だ。
というか伯爵のお願いを断れない。
「ルルナが良ければいいですよ」
「あ、ありがとうございます!」
「良かったね。ルルナ」
ルルナは喜んで深く頭を下げる。
『いや~やっとレイが弟子を取る気になったか~。ボクは嬉しいよ!』
弟子とは何も言っていないが!?
しかしブレンダはともかく、ルルナまでもか……それまでに住める環境を整えないといけないな。
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