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245話 ゆっくりできないので


 視察が終わるまで街の外にいる。

 その間にみんなはシエル同様にシノに興味を持つ。


「ワフゥ……」


 シノは見られているのがストレスだったみたいでルチルが半径5mまでしか近づいてはいけないと指定する。

 少し距離を取ってもシノに負担が掛かるが……。


 ミツキさんたちも俺たちが戻ってきたことがわかると駆け寄る。


「おかえりなさい! 守り神様と同じ狼だ~!」


 ミツキさん、ユナとヒナはシノを見ると大喜びだった。

 守り神を狼と思っていたのか……。

 

「ワン!」


 シノは3人をペロペロと尻尾を振って舐める。

 ルチルと同じと認識して顔見知りしないようだ。

 

「「「微笑ましい……」」」


 その姿を見たウィロウさん、グラシアさん、ヤーワレさん、輩3人組(ジャックたち)はデレデレでした。

 ヤーワレさん……鼻血出ていますよ……地面に垂らすほど出ているので早く止血してください。

 

 ――2時間後。


 ハーピーたちが戻ってきた。

 多少は魔物がいるが警戒するほどではないとわかり、ヴェンゲルさんはスタンピードが終わったと告げた。

 みんなは歓声をあげる。


「やっと終わった……」


 サイガさんは膝をついて泣き始めた。

 いろいろと重みだったのか、気が抜けたみたいだ。大変だった分、今は休んでほしい。


 その後、街を囲んでいた防壁を解除して、街中はスタンピードに解放されて宴が始まった。

 まだ冒険者側は後処理があるからまだ参加はできないが、俺たちは休んでいいとのことで宴に参加した。

 参加したのはいいが、噂が広まり周りは俺たちを見かけると「英雄」と持ち上げられる。

 普通に歩けないな……人も集まるから結局ギルドに行き待機をする。

 

 ゆっくり休めないしフランカの家を出せない。

 見かねたルージュさんはある提案をする。


「だったらトリニッチの家に行ったら? 後処理はグランドマスターがやってくれるから、予定より早く終わる。一緒に行こう」


 まさかのトリニッチさんの家か。

 親友のルージュさんなら許可をもらえるはずだ。

 1時間経過し、ルージュさんが仕事が終わり一緒にトリニッチさんの家に行く。

 

 貴族街に入り、着いた場所は周りとは違う大豪邸で中央には噴水が設置してある。

 トリニッチさん、かなり稼いでいますね……。さすがSSランク冒険者。

 執事、メイド――使用人が出迎えて中に入ると、ホールには高身長で髪がスーパーロングな凛とした獣人の像が設置してある。

 もしかして……。 


『シャーロの像だね~。さすが大豪邸だね~』


 全然違う……ソウタが言った通りですな。

 ティーナさんと同じで逆に失礼では?

 そう考えるとソシアさんも違う感じがするな……。 


 というかトリニッチさんはシャーロさんを信仰しているのか。

 魔大陸に近いから珍しくはないか。


 客間に案内に案内されてトリニッチさんを待つ。


「あら~みんなしてどうしたの~? 今いいところだったのに~」


 トリニッチさんはバスローブ姿で精霊と一緒に来る。

 お風呂に入っていたみたいだ。


「突然すいません。あの……ソウタは?」


「ソウタちゃんはワタシの部屋でぐっすり寝ているわよ~。刺激が強すぎたみたいだわ~」


 刺激とは……精霊とメイドは顔を赤くして、執事は冷や汗を垂らして苦笑いしている。

 …………考えるのをやめよう。


「トリニッチ、お願いがあって来たの……」


「お願い? 何かしら~」


 ルージュさんが訳を話すとトリニッチさんは納得してくれた。


「そうね~。スタンピードを終わらせたら英雄扱いになるのは当然だわ。街にいる間はワタシの家に泊まっていいわよ~」


「いいのですか!?」


「いいに決まっているわよ~。街を救ってくれたから当然よ~」


「ありがとうございます!」


 まさかの大豪邸で泊まれるとはありがたい。

 本当に優しい人だ。


「た・だ・し、夜のほうは邪魔しないでね~!」


 …………ソウタ、ご愁傷様です。


 こうしてトリニッチさんのご厚意で泊めてもらうことができた。

 俺も昨日の疲れがあるから昼寝でもするか。

 メイドに客室用の寝室に案内をしてもらい、眠りにつく――。






「起きて……起きて……」



『こら、寝坊助! いつまで寝ている!』



 少女――シャーロさんとエフィナの声が聞こえる……。

 目を覚ますと……シャーロさんが小さな手で俺の顔をツンツンと指を当てる。

 明らかにトリニッチさんの豪邸ではない……可愛らしいぬいぐるみを置いている部屋のベッドで寝ている……。

 シャーロさんがいるってことは天界だよな?


「やっと起きた……」


『全く、30分も起こしていたのだから大変だったよ! まあ、噓だけどね!』


「5分くらいだから気にしないで……」


「噓なのかよ!? というかここは……?」


「アタシの家だよ……その寝室……アタシを信仰している像が近くにあったからうまく呼べた……」


 やっぱりシャーロが呼んだのか。

 呼ぶのはいいが、なぜ寝室なんだ……色々と疑問がある……。


「そうですか……。なぜ庭園に呼ばないのですか?」


「アタシはどこでも呼べるから……庭園に呼ぶのは面倒くさい……だからアタシの家に呼んだ……」


 まあ、個人的にそのほうが都合がいいですな。


「じゃあ、俺が向かう時は庭園に移動することですか?」


「そうだよ……だけど……アタシの像で、アタシを強く念じれば家の近くに行くことは可能だからそのほうがアタシは都合がいいけどね……」


 なるほど、そういう仕様ですか。

 じゃあ、ティーナさんの像だと、ティーナさんの家の近くに移動するのか。

 ……うん、像を出すと強制的に呼ばれるから収納して正解だ。


「ところでなぜ呼んだのですか?」


「とりあえずリビングに来て……」


 シャーロさんは俺の手を繋ぎ、引っ張りながら部屋を出てリビングに向かう。

次の更新28日です。

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