241話 スタンピード⑦
エネミーマインドに近づこうとすると、急に不気味な顔をして地面に手を当てる。
「キヒヒヒ……キヒィ!」
急に地面から膨大な魔力が、危険だと思い後ろに下がる――地面が盛り上がり、現れたのは高さが20m以上あり太い足で鋭い爪を持った4足歩行の茶色のトカゲ――いや、硬い鱗で覆われている竜のらしき魔物だ。
『タイラントアースドラゴンだ……まさかここまで強い魔物を指示できるなんて予想外……』
タイラントアースドラゴンって確か聞いたことある……SSSランクの魔物じゃないか!?
こんな隠し玉を持っているなんて厄介にもほどがある……。
今からみんなを呼んで戦いたいところだが、距離がある――時間を稼いで呼ぼうとしてもエネミーマインドが逃げてしまう。
「キヒヒヒヒヒヒ! キヒヒヒヒヒヒ!」
エネミーマインドはタイラントアースドラゴンの背中に乗って手を叩いて笑いながら飛び跳ねている。
逃げはしないで俺を倒せると思い、高みの見物ってことか。
随分と舐められたものだ。
「エフィナ、俺1人でタイラントアースドラゴンを倒せると思うか?」
『平気だよ! けど、油断はしないでね!』
「わかった、みんなが来る前に終わらせる!」
タイラントアースドラゴンをに近づこうとすると――。
「――――ガァァァァ!」
五月蠅い……口の周りに膨大魔力が集まっている。
ドラゴンブレスか!?
躱せることができるが、後ろにいるソウタたちに当たるかもしれない。
だったら防ぐまでだ――。
「――――クリスタルランパート!」
結晶の城壁を創った瞬間にドラゴンブレスが放たれる――。
城壁に直撃し、ブレスが終わるまで俺は魔力を注ぐ――。
ブレスが終わると共に、城壁は粉々に砕けちり、衝撃が走り、周りの小型の魔物は吹き飛んでいく。
「キヒィ!? キエェェェェェ!」
エネミーマインドも衝撃に巻き込まれて吹っ飛んでいく。
かなり吹っ飛ばされたが、逃げはしていない、都合がいい、早くこいつを倒して向かう。
狙うのは首だ――。
「――――ガァァァァ!」
近づこうとすると、前足が伸び、爪で引っかいてくる――速い!?
2刀構えて防ぐ、力は強いが後ろに下がらないのはまだいいほうか、もう片方の前足で引っかいてくる。
その爪、切り落とすまでだ――。
「――――氷風刃!」
2刀で切り上げるが爪は少し欠け、はじき返す……硬い……。
さすがSSSランクの魔物だな……。
「――ガァア!」
重い胴体を素早く動かして尻尾が振ってくる――。
避けきれない!? 全身魔力を込めて、2刀で構えて耐えようとするが吹っ飛ばれる――。
2刀の剣を地面に突き刺して、受け身を取った。
コートのおかげで痛みはさほどない、しかし……強化しても氷と風の魔剣で切ることはできないか。
「――――ガァァァァ!」
今度は前足を大きく上げて地面を叩き始め、俺の方に岩が盛り上がって前進する。
魔力が少ないが止めないと――。
「――――アイスウォール!」
氷の壁を創り、岩の進行を止めた。
このタイミングでブレスを撃ってくなかったのは不幸中の幸いだ。
相手は硬いが、倒せない硬さだ。2刀の魔剣を解除して、無限収納からマナポーションを2本飲んで魔力を全快にする。
再び魔剣――右には結晶の魔剣左は炎の魔剣を出して地竜に向かう――。
「――――ガァァァァ!」
また大きな鳴き声をして、口の周りに魔力――ブレスがくる。
悪いが、そのブレス、有効活用するぞ――吐いてくるタイミングを合わせて、結晶魔法を使う――。
「――――アブソリュート・クリスタル!」
地竜の顔の周りを結晶化させ、ブレスを吐いた瞬間、顔全体を大爆発させ不発させる。
鱗が剝がれて肉片が見えた、怯んでいる隙に首を狙う――。
「――――炎晶刃!」
「――――ガギャア!」
2刀振り上げたが、金属音が鳴り響き、かすりもしなかった。
一瞬にして、地竜の顔が元通りになり、全身に膨大な魔力を通して更に硬くなった。
【再生】スキルを持っているのか。
それに攻撃してこないで急所の方に多めに魔力を使って防御に徹している。
カメになったつもりか? 残念だが攻撃してこないのだったら好都合だ。
地竜の背中に上り、魔力の通りの少ない中心へと移動して左は炎を纏い、右に虹色に輝かせて――。
「――――炎晶乱華!」
背中を切り続けて鱗を剝がす――。
再生する前に結晶の魔剣で刺して魔力を込める――。
「――――晶波!」
「――――ガギャァァァァ!」
背中は徐々に結晶化して、再生を止める。
次第に背中全体が結晶化して、大暴れして魔力が乱れている。
今がチャンス、結晶の魔剣を刺したまま離れて、炎の魔剣を青い炎を纏い、首を刺す――。
これで終わりだ――。
「――――刺爆裂蒼炎!」
大爆発をして、首が吹き飛んでいき――魔力もなくなくなり、崩れ落ちて倒した。
コイツは倒したがまだまだ蹴りがついていない。
エネミーマインドの魔力がある方へ進む――。
「キヒィ……キヒ……」
エネミーマインドを見つけると、地面に顔を当てて、身体をピクピクと動かして痙攣としている。
コイツ……自分自身は弱いのか……。
「キヒィ……キヒィ!?」
あっ、起きた。
俺を見ると驚いてすぐに逃げようとする。
懲りないな、だがもう逃がさない――。
「――クリスタルバインド!」
「――――キヒィィィィ!」
手と足を結晶で拘束して身動きを取れなくした。
「キエェェェェェ! キエェェェェェ!」
発狂しながら騒いでも無駄だ。
首を切り落とし、抵抗しなくなり仕留めた。
確認のために無限収納に――入った。
これで元凶は倒した。
魔力を使い過ぎて休みたいとこだが、残りも魔物を倒さないと。
ちょうどアイシスがこっちに向かって来てるから、お願いでもしようかな。
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