237話 スタンピード③
ルチル視点になります。
わ~い、魔物がたくさんいて楽しい!
魔剣を自由に使えるから簡単に魔物が倒せる~!
けど、ヒュドラまで少し距離があるけど、我慢する!
「待ちやがれルチ助! アタイの獲物だぞ!」
わけもわからないで後ろからフランカが魔剣を使って敵を倒しながらアタシを追ってくる。
獲物? アタシが狙っている他と比べて一回り大きいヒュドラを狙っているの?
…………アタシの獲物!?
あのヒュドラはアタシのコレクションにするの!
いつも邪魔してくるフランカなんて無視だ!
ゆっくりしていると取られちゃうからペースアップする!
【武器創造・結晶】で虹色に輝く結晶の剣を出して左手に持って、風魔法も使う――。
「――――アクセラレーション!」
脚に風を纏って加速させる――。
「こら、待ちやがれ! 卑怯だぞ!?」
卑怯とか何言っているのかわからない!
風魔法持っている特権だもん!
フランカになんてアタシの獲物は渡さない、早い者勝ち!
脳筋なフランカにアタシの速さに追いつけるわけがない!
魔物を切って切りまくってもう少しでヒュドラは近づく。
「このチビ助!? 人の話を聞きやがれ!? ――――オーバードライブ!」
フランカが全身に炎を纏って魔物を吹き飛ばしながら直進してアタシに追いついてくる。
…………なんで!?
「チートすぎ!? そんな魔法知らない!」
「知らなくて当然だ! 炎と時の【混合魔法】だからな!」
「いつの間に時魔法なんて覚えたの!? ズルい!」
「ズルいも何もあるか!? 覚えたければ【魔力変換】を使え! やっと追いついたぜ……このまま抜いてやるよ……」
マズい……フランカに抜かれる……どうしよう……せっかくのアタシの獲物が取られる……。
「――――ブモォォォォ!」
他のミノタウロスと違い、二回りも違い、黒い立派な角が生えている金の斧を持ったミノタウロスがアタシの前に立ちはだかる。
もしかしてリフィリアの魔物の本で見た…………キングミノタウロスだ!
…………わ~い、大きくていい踏み台になりそうだ!
「――――ブモォォ!」
横から斧を振ってくるのを飛んで回避してそのままキングミノタウロスの顔面に降りる。
そのまま脚に「アクセラレーション」を継続して思いっきり魔力を込めて高く飛ぶ――。
「――――とうっ!」
「――――グモォォ!?」
「ひ、卑怯だぞ!? デカブツが邪魔で通れない!?」
よ~し、フランカの魔法でも大きい敵は吹き飛ばすことはできない。
このままキングミノタウロスの相手をすればいい!
いい踏み台がいたからヒュドラまで直行だ!
「――――ブエェ!?」
ん? 着地したけど何か踏んだのかな?
まあ、いいや、それよりも目の前にいるヒュドラを倒すぞ~!
「――――ギャアァァァ!」
アタシに気づいて無数の頭から火球を次々と放ってくる。
大したことないけど、活きがいい! どのタイミングで魔法を使うかな~。
火球を回避しながら考えていたら当たらないのか激怒している。
「ギャアァァァ!?」
火球からドス黒い球を吐いてきた――。
それを回避すると、地面に落ちてドロドロと溶けて穴が開いた。
う~ん…………毒だ!?
危ないな、アタシが考えている時に毒を吐くなんてダメでしょう!?
このヒュドラを良い教育を受けていない!
もういいや、すぐに終わらせる!
「――――クリスタルウォール!」
魔法で結晶の壁を創って毒球を防ぐ。
無駄だよ、何十発、何百発吐いてもこの壁を超えることはできない。
さて、フランカが来るから終わりだ!
「――――アブソリュート・クリスタル!」
「ギャアァ!?」
ヒュドラの胴体をから結晶に覆われて首、頭と結晶化して動かなくなった。
倒したかな? 無限収納に……しまえた!
よ~し、アタシのコレクションが増えた!
後はゆっくりと魔物の討伐でもしようかな~。
「チクショー! あのデカブツが邪魔にならなければ追いつけたのに……」
フランカは悔しそうにアタシの方に向かってきた。
アタシはいつも日頃の行いが良いからフランカと運が違うのも当然だ!
「しょうがない……違う奴狩るか……」
フランカは落ち込みながらヒュドラがいる方向に行った。
はじめからアタシと同じの狙わないで違うの狙えばいいのに。
魔力の無駄。
さて、次の魔物は…………お腹すいた!?
フランカのせいで予想以上に魔力を多めに使ったからお腹がすいた。
よ~し、ご飯食べてから考えよう!
周りの敵が邪魔だから、さっき作った結晶の壁に上壁に座って無限収納からおにぎりを大量に出して大きく口を開けて食べる。
うん、おいしい! やっぱりおにぎりは口を大きく開けて食べた方が1番おいしい――。
――魔力も回復したことだし、次の獲物は何がいいかな~。
まだフランカはヒュドラの方へ行っているから今のうちにいいのを探さないと。
ん? 微かに周りとは違う魔力を出している魔物がいる。
目では…………見えない!
よ~し、次の獲物はそいつだ~!
結晶の壁を降りて、ロックオンした魔物の魔力のところへ行く――。
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