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232話 まだ終わりではない


 ヴェンゲルさんは砂まみれになっているジャックに近づき呆れていた。


「弱すぎる……こんな奴がSランクだったとは……恥をしれ、ルージュも何かしら言ってくれれば早く処分できたのにな……」


「この方はSランクになった途端に強欲な性格に変わってしまいした。私の手違いで申し訳ございません」


「まあ、そんな奴はハッキリ言って冒険者に向いていない。処分は当たり前だ。おい、お前、いつまで寝ている。俺の機嫌が変わる前に早く消えろ」


 ジャックはよろけながら立ち上がるが、逃げはしなかった。

 

「お、俺は戦乙女と一緒に……」


 まだ諦めていないようです。誰かさんと同じで異常だな……。


「いい加減にしろよ。お前はもう冒険者ではない。もう一生ルージュには会えない諦め――」


「ふ、ふざけるな!? 俺は戦乙女といられないだと!? 俺はルージュの婚約者だ!? ルージュは俺様の物だ!? 何を勘違いしている!? 俺たちは愛し合っている!?」


 逆上したのかヴェンゲルさんに怒鳴り散らす。

 うわぁ……もうダメだコイツは……。

 当然ヴェンゲルさんは拳に魔力を通し――。


「この愚か者が――――!」


「――――ゴブエェ!?」


 顔面を殴り、更に遠くまで吹っ飛んでいく。

 ジャックの顔は原形をとどめていない。


「早く消え失せろ! 命令が聞けないのであれば強行手段だ。誰か、こいつを遠くに飛ばす自信のある者はいないか?」


「グランドマスタ~、ワタシにお・ま・か・せ・あ・れ!」


 トリニッチさんは膨大な魔力を解除して、仰向けのジャックの足を脇の下に挟み込んで回転――ジャイアントスイングをする。

 勢いがいいのか周りに砂嵐が発生した。


「じゃあね~ジャック~お空の旅を満喫してね~」


「やふぇろ――――」


 砂嵐の中からジャックが投げ飛ばさせられ――遥か彼方まで飛んでいった。

 飛ばした方角って……帰らずの沼の方ですけど……。

 まあ、距離があるから手前で落ちるか。

 

「スッキリしたわ~! やっとルージュちゃんがあのクズな男に解放されたわ~」


 投げた本人は満面の笑みでやり切った感があります。


「お疲れさん、アイツのせいで無駄に時間が過ぎたな。お前たちもゆっくり休めよ」


 こうして傍迷惑な騒動が終わった。

 今日は街の散策でもしようと思ったが、見てるこっちも疲れたな……。

 ギルドに戻ってゆっくりしてソウタとルージュさんが起き上がるのを待つか。


 ギルドに戻り、ホールに設置してあるイスに座りゆっくりする。

 昼過ぎになるとソウタとルージュさんは手を繋いだままホールに姿を現した。

 当然精霊たちは圧を出して許さない。


「ここは我慢よ、我慢できる乙女は一流の証で魅力があるわよ」


「わかったわ……我慢する……」

「ここは我慢……」

「わ、わかりました……」


 トリニッチさんの発言で圧がなくなった。扱いがよろしいですな。


 ヴェンゲルさんは2人に会議で決まったことジャックの騒動を解決したことを話すと2人はホッとひと安心だった。


「そうなのね……良かった……ありがとうございます」


「辛かったら早く言ってくれ、ルージュとスカーレットの幸せは俺の幸せでもある」


「ありがとう……グランドマスター……これで私は幸せな一歩に近づけたわ」


 ルージュさんは安心したのか大胆にソウタに抱きついた。

 

「我慢よ……」

「我慢……」

「我慢です……」


 精霊も必死に堪えています。

 

「それでもう一度確認するが、ソウタと結婚をしたいのか?」


「はい……運命の人なので……」


 ルージュさんは赤くなって言う。

 本気のようですね。


「ならいい……ソウタ、ルージュは俺の子供同然のように育てた――もちろんスカーレットもだ。2人を絶対に幸せにしてくれよな」


 まさかヴェンゲルさんに許しをもらうとはやりますなソウタ。

 本人は急なことで焦っていますが。


「えっ!? ちょっと待って――――」


「幸せにするよな!」


「は、はい!?」


 少々無理やり返事をさせるが、ソウタは精霊を見て伺っております。精霊は溜息をついて怒りはしなかった。


「しょうがないわね……ただし、条件がある」

「認めたくはないけど……条件がある……」

「一緒になりたければ条件があります……」


「いいのか!? その条件、何かわからないがなんでも聞くよ!」


 条件がつきで許してもらえるみたいだ。

 その条件って……察しました……。 

 条件を聞かずになんでもは言ってはいけない……というかルージュさんと結婚したいのか……。


「「「トリニッチちゃんと結婚して」」」


「……ん? 今なんて……?」


「「「トリニッチちゃんと結婚して」」」


「あらヤダもう!? 精霊ちゃん大好き!」


 やっぱり……ソウタは汗を垂らして身体が震えています。

 トリニッチさんは嬉し泣きをしながら精霊たちを抱く。


「ままままま、待ってくれ……る、ルージュに確認を……」


「私は歓迎するわ……大事な親友と一緒にいられるなんて幸せよ……」


 …………いいみたいです。

 ソウタ、口を開けたまま無言にならないでください。


「ソウタ、3人の約束守ってね。じゃないと私……許さないから……」


 リフィリアさんも【威圧】を出して脅して言いますね。

 今回は…………しょうがない。いや、今回もか。

 ソウタの問題だから何も手助けはしない。


「オホホホホ! みんなまとめて幸せにするわよ!」


「ガハハハハハ! だとよソウタ、契約者のお前は精霊の命令は絶対だぞ! トリニッチとも幸せにな!」


 ただ言えることはソウタ、2人の嫁? とも一緒に末永くお幸せに。


 

 ――夕方頃。



 2人の婚約を祝って、昨日と同じレストランとメンバーでヴェンゲルさんの奢り――協会の経費で祝う。

 ソウタはルージュさんとトリニッチさんに両手に肩を組まれて呆然とする。


『アハハハハハハ! ソウタは幸せものだね~!』


 エフィナさんは婚約が決まった時から笑いが止まりません。

 今年で一番の大爆笑です。


 お開きになったらソウタはルージュさんとトリニッチさんと二次会に――。

 俺に助けを求めたが、手を振って見送りをした。

 ソウタ、頑張れ! そう心の中で思った。




 

 ――――◇――◇――◇――――




 ――翌日。



 今日は予定通り街を散策するのだが、周りは昨日と違い活気がない。

 スタンピードが近くなると無理もないか。

 しかし歩いていると小耳に挟むのは――。

 

「来る予定の食料が来ない」とう噂が絶えない。

 

 あくまで噂だが、気になるからギルドに行って確認をするか。

次の更新は30日です。

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