222話 協会とギルドマスター
――翌日。
朝食を終えて、行く準備ができた。
俺たちは庭で待機してると、一緒に同行するメンバーが来た。
ザインさん、リリノアさん、オルリールさん、ヴィクトリアさん、ガレンさんに、初めて見る4人――鎧を着たフランカと同じくらい背で褐色肌の茶髪女性ドワーフ、ロープを着た赤髪男性エルフ、軽装の鎧でウサギ耳の白髪ロング女性、ベストを着たスキンヘッドで厳つい男性だ。
初対面の4人は俺たちを見ると頷いて納得している。
強さがわかったのか?
「皆さんに自己紹介しますね。協会に所属しているドワーフのマリアーテさん、こちらがエルフのホルダーさんです」
「よろしくな!」
「よろしくお願いします」
「俺たちも紹介するか。カルムから南東の海の都――カーインのギルドマスターで獣人のミミルカと、アスタリカのギルドマスターをしているヤーワレだ」
「よろしくね!」
「よろしく」
ガレンさんとザインさんが4人を紹介してお互い挨拶をして握手をすると――。
「噂では聞いていたが同族が賢者の弟子とは驚いたな! 余裕があったら勝負しようぜ!」
「ああ、いいぜ!」
マリア―テさんはフランカを同族と思い、意気投合をする。勝負って……腕相撲だよな。
印象も良いから問題ない……って、ルチルと握手をしているヤーワレさんは強面だった顔がデレデレになった……。
「て、天使だ……」
「アタシは天使じゃない! 小人だ!」
「小人は俺からしたら天使しか見えない……」
「わけがわからない!」
ルチルが反論してもデレデレです……。
この人……ロリコンなのか……。
『もしや……母性が……素晴らしい……』
いや、エフィナさん……母性ではないぞ……頭のてっぺんから質の良い魔力がかなり放出されているが……。
「みんな来たな! そろそろ行くぞ!」
ヴェンゲルさんは城から出てきて、みんなシエルに乗ろうとするのだが。
「いい肌をしていますね……素材にしたらどのくらいの値打ちに……」
ホルダーさんはシエルの鱗を顔を擦りつけてスリスリする。
シエルは危険を察したのか、ゾクゾクと振動が伝わり、寒気がしています……。
「ホルダーさん、怯えていますよ」
「フフフ……冗談ですよ。ブルーワイバーンなんて初めて見るのでつい……」
冗談ならいいのだが……冷やかさないでください……。
「かわいい小人ちゃん! 一緒に座ろう!」
「うん!」
ミミルカさんはルチルを抱きながら座った。
先を越されたのかヤ―ワレさんは悔しがっていた。
「て、天使と座りたかった……いや、ここで一緒に座ると変態扱いされるから我慢だ……」
意外に理性は保っているな。
『もっと母性を開放すればいいのに……残念だ……』
エフィナ……期待はしてはいけません……。
合法でもアウトです。
いつもと変わらないのはザインさんとリリノアさんだ。
新婚旅行に行くかのようにイチャついています。
多分リリノアさんはザインさんと離れたくないから一緒に行くみたいですな。
「ハハハハハ! 魔大陸の魔物よ! 待っていろよ! オイラが全部討伐してやるからな!」
「あのな……レイたちがやるって言ってるのに、もう少し話を聞けよ……」
ヴィクトリアさんは尻尾を振って、オルリールさんは溜息をついている。
お二人も変わらない様子で……。
王様たち、騎士団も来て、見送りをしてくれる。
「みんな気をつけてね。無理はしないように」
「頑張って行ってきてね!」
「皆様、お気をつけて」
「あまり無理をせずに」
王様ご家族の発言でみんな頭を下げる。
王族が直々に見送りなんてあり得ないことだよな。
「グランドマスター、これをルージュに届けてほしいの」
スカーレットさんはヴェンゲルさんに手紙を渡した。
「わかったよ。何か報告することでもあるのか?」
「えぇ……とっても大事なことよ……」
そう言いながらソウタを見つめる…。
察しがつきました……。
「あともう少し……我慢よ……」
「これで安心……」
「魔性の女とおさらばです……」
精霊たちはスカーレットさんの誘惑から解放されてるからひと安心していた。
一時的なことだからなんとも言えないが……虜になっている騎士たちもソウタがいなくなるからホッとしている。
また王都に戻ったらソウタは大変だな。
シエルが上空に飛び立つと――王様たちは手を振り、ファイスさん率いる騎士団は敬礼をして見送る。
デストルツは王都から東2000㎞くらい離れている。普通なら夕暮れ前には着く予定だが、シエルは【身体強化・変】大きくして魔力を多めに使って飛行しているから今日中に着くかわからない。
とは言ってもフランカの家があるから全然野宿しても問題はないが。
みんなお空の移動で大変賑やかです。
初めてシエルに乗るのは滅多にないことはわかりますが、遠足じゃないですよ……。
まあ、気を抜いていないとは思うが。
次の更新は6日です。




