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218話 説得させる


 庭に着くと、大きなテーブルと椅子が設置していて、みんな座り、王様はアイシスが言ったことをすべてリンナさんとザインさんに伝えると、顔が真っ青になる。


「ちょっと、アイシス……何勝手なこと言っているの!? 本当に大丈夫のなの!? というか教会に恩を売ってどうするのよ!?」


「恩を売るのは別として……少人数だけで前に行くのか……無謀だぞ……」


 まあ、急に2人に言うとそうなりますね……。

 

「リンナ様、いえ、リンアイナ様、私たちを信じてください。必ず全滅させますので」


「リンナでいいわよ! 何根拠のないことを言っているの! 私は反対よ!」


「俺も反対だ……全員でまとめてやった方がいいに決まっている……」


 やっぱり反対ですよね……。

 王様はニコニコと笑顔で余裕だが、どう説得するのか。

 

「まあ、反対するのもわかるよ。だけどね、この子たちの魔力を見てどう思う? 僕が見える限り、僕たちより遥かに魔力を超えている。リンアイナもわかるよね?」


「そのくらいわかっているわよ! けど……レイ君たちの魔力が上がりすぎて未知数よ……」


 確かに俺たちは魔力が上がりすぎたのだが、【魔力制御】でかなり抑えられている。

 【魔力感知】があるとしても、ある程度の人には魔力の強さを把握できない。

 リンナさんまでわからなくなったのか……というか王様はわかるのか……。


『ん? 謁見の間の時は適当に言っていたと思っていたけど、ボクたちの魔力が本当にわかるのなら王様は【第六感】を持っているね。やっぱり一番偉い人は違うね~』


 【第六感】持っているのか……。

 さすが王族……侮れないですね。

 じゃあ、俺たちをしっかり見極めて前線に行かせてくれるのか。


「わかっているなら、大丈夫だね。ほら、ヴェンゲルもザインに何か言ってあげなよ」


「ザイン、俺はレイたちを前線に向かわせてもいいかもしれない。不満があるが、グランドマスターの命令だと思ってくれ。責任は俺が持つ」


「わかったよ……叔父が言うなら止めはしない……」


 ザインさんはため息をついて、渋々納得してくれた。

 あとは――。


「ギルド長がいいとしても私は納得しない! 教会にも恩を売っているようなマネもしといて、私とレイ君が危険よ!」


 無理ですよね……あれだけ大変な思いもしといて信じるのも無理か。


「大丈夫、大丈夫。これからリンアイナがすごい納得する――いや、大喜びすることを言うから耳を貸してね」


「えっ、何よ――」


 王様はリンナさんの耳元に近づいてひそひそと話す。

 周りに言えないことなのか?

 長いな……リンナさんの表情がころころ変わる。

 しかもいいように驚いたり、顔が赤くなったり、喜んだりと……。


『何か良からぬことを考えたね……気になる……』


 エフィナさん……王族の話は盗み聞きしてはいけませんよ。

 あっ、終わったようだ。

 さっきまで【威圧】を出していたが収まった。

 

「なんだ親父、最初から言ってくれればいいじゃない! レイ君たち、頑張って討伐してきてちょうだいね! なんなら私も行こうかしら?」


 納得した……魔力を出して満面の笑みで喜んでいます……。

 どんな手のひら返しを使ったのだ……。


「そうかそうか~喜んでもらって嬉しいよ。不満だったらほかに条件をつけようか?」


「いいよ、親父! 十分すぎるわよ! それじゃあ、私も準備するわよ!」


 十分すぎるほどのなのか……。よほどリンナさんにとって好待遇みたいだ。

 というかリンナさんもデストルツに行くのか……。


「残念だけど、リンアイナは城で待機してね。いろいろと面倒になるから大人しくして」


「しょうがないわね……アイシス! しっかりレイ君を守ってちょうだいね! これは第一王女としての命令よ!」


「かしこまりました」


 ここで王族の権限を使うのですか……。

 まあ、変な命令ではないからいいが。


「お姉様が城で待機ですの!? 嬉しいですわ!」


「ちょ、やめなさい!?」


 王女さんはリンナさんに喜んで抱きつく。

 久々に一緒にいるのは嬉しいよな。

 僅かだが空いた時間を埋めてほしい。

  

「さて、リンアイナも納得してもらったことだし、明日も大変だな~。アイシスさん、また同じお菓子お願い」


 王様はのびのびとしてアイシスからパンナコッタをもらい、喜んで食べている。

 気に入ったのかな?

 王様は明日も大変って言っているが毎日が大変では?

 少なくともスタンピード辺りは大忙しのような気がするけど……。


「ところで陛下、何を話して――」


「これは家族だけの秘密だよ。でもその内わかるから楽しみにしといてね」


 ザインさんも気になるようだ。

 その内わかるって、今は誰も言えないのか。

 まあ、家族内しか言えないのはしょうがない。


「はぁ~よく寝た~。あ~リンアイナ様だ~久しぶり~」


「久しぶりね、エクレールちゃん。元気にしてた?」


「うん、毎日元気だよ~」


 スカーレットさんの胸元からエクレールが出てきてリンナさんにお辞儀をする。

 エクレールを知っていることはスカーレットさんと長い付き合いみたいだ。

 ということは俺がリフィリアを連れて来たとき、精霊とわかったのはこのことか。

 いろいろとリンナさんのことがわかってきます。 


 しかし、よく寝る子だな、リンナさんの【威圧】でも平然と寝ているなんて恐ろしい子だ……。


 とりあえず問題は解決かな?

 明日はヴェンゲルさんの会議が終わり次第、要望が通れば確定ですな。


 ようやく落ち着いて肩の力が抜ける……。

 俺もパンナコッタもらおうかな。

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