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208話 タイミングが悪い……

 

 ヴェンゲルさんの後ろから来るのは白紫色のドレスに着た黄緑色の瞳の金髪美少女エルフと護衛らしき鎧を着た女性エルフ2人だ。

 美少女エルフは宝石を付けた首飾り、髪を束ねてミスリルの髪飾りをしている。

 明らかに王族ですよって雰囲気を出している。

 だけどぎこちない様子で俺たちの方に来るが緊張しているのかな?


「ようこそ、我が城へ。私は第二王女――クラ―ラ・ミスティ・エレントアーネと申します。気軽にクラーラと呼んでください。遠方に行かれている父、母――国王陛下と王妃に代わってお礼申し上げます。我が王国騎士団をお助けいただきまして、ありがとうございます」


 王女は頭を下げてお辞儀をする。

 いろいろと整理がつかないぞ……第二王女ってことは姉がいて、しかも気軽に名前で呼んでくれと無理があります……。

 それに王様は遠方に行ってすぐに謁見ができないみたいだな……。


「い、いえ……大したことはしていません……王女様が直々に挨拶をしてくださるとは……私ら申し訳あり――」


「私は王女ではなくクラーラと呼んでください」


「えっ……ですが……身分の違いが……」


「やはりこの格好だと緊張しますわね。少し待ってください」


 そう言って護衛2人と城の中に入った。

 なんで?


「やっぱりクラーラ嬢の正装姿は似合わないな」


「えっ、普段着ているものではないのですか?」


「いや、客人が来るときしか着ないぞ。本人曰く、正装はあまり着たくないとさ」


 えぇ……まさかのドレスが窮屈ですか……。

 

 ――15分後。


 王女が戻ってきた、髪はポニテ―ルにして、動きやすい服――男装姿だ。


『ん? 誰かに似ているような……気のせいかな?』


『アネキもか、アタイも誰かに似ていると思ったが、気のせいだと思うぜ』


 エフィナとフランカ急な発言をする。

 確かに会ってきたエルフの中でいろいろと似ている人は多いが、違うと思う。

 俺も気のせいだと思う。


「これでクラーラと呼んでくださる?」


 服装を変えて名前を呼ぶわけではないのだが……この王女様は天然なのか……。


「レイ、クラーラ嬢は頑固だからお前から折れた方が身のためだぞ」

 

 いいのかよ……いや、王女の言うことは聞かないとダメみたいですね……。


「わかりました……クラーラさんと呼びます……」


「はい、よろしくてよ」


 王女は笑顔になった。

 なぜだろうか……会ってきたお偉いさん方々はフレンドリーなのですが……身分とはいったい……。


 それは置いといて俺たちは自己紹介をした。

 王様がいないのであれば、この後どうすればいいのだ?


「あの……国王陛下が遠方にとは言っていましたが……」


「ええ、デストルツに行っていますわよ。予定ですと、5日後には戻ってきます」


 5日も……タイミングが悪すぎる……。


「では日を改めて、お伺いした方がいいですか?」


「とんでもないですわ。王国騎士団を救ってくれた方々に引き返すことはしません。お部屋を用意するので国王陛下が戻ってくるまで自由にお使いしてください」


 待遇がよろしいことで……。

 まあ、断ったら逆に失礼だし、助けたお礼と思って受け取っておこう。


「ありがとうございます。では――」


「レイ、どれくらい強くなったか稽古しようぜ! 仕事続きで身体が鈍っちまってな! クラーラ嬢、裏庭借りるがいいか?」


 いきなり稽古するのか……というか庭借りられるのか?


「まあ、師とレイさんの稽古は是非観たいですわ。いいですわよ、ですが昼食前に終わらせてくださいね」


「よし、わかった! 食前の運動にちょうどいいな!」


「えっ……今、師と言いましたよね……」


「はい、ヴェンゲル・ガルタットは私の師匠ですわよ」

「クラーラ嬢は俺の弟子だぞ」


 マジか……だからヴェンゲルさんは王女に親しく接することができるのか……。

 

「レイ、時間がないから行くぞ!」


「ちょっ――」


 俺は無理やりヴェンゲルさんの肩に背負わされて城の中に入る。

 俺はいいとも言っていないが……。

 

 強制的に連れてこれられて、周りは芝だけと稽古用の武器が置かれている場所に着いた。

 城がデカいと移動も大変だな、ここに着くのに10分も掛かった。


「さて――行くぞ!」


 ヴェンゲルさんは2本の槍斧(ハルバード)を両手に持ち、消えた――後ろか!?


 俺はすかさず【武器創造】で白銀の盾(プラチナシールド)を創り、薙ぎ払いを防ぐ。

 準備もしていないのに、いきなり来た……しかも本気で……。

 

「手加減してください……」


「何言っている。前より強くなっているからな――――絶槍!」


 盾を突かれ、ヒビが入る――もう片方の槍斧も突いて、破壊された。

 危ないから後ろに下がり、体制を整える。

 ちょっと待て……稽古用の武器だよな……白金が破壊されるとかおかしいだろう……。


『あのグラマス、【破滅者】のスキル持っているね』


『破滅……ユニークなのか?』


『そうだね。【破滅者】は任意のものをある程度壊せるから危険だよ』


 白金がある程度なのか……。

 チート極まりない……恐るべし【破壊者】(デストロイヤー)……。

 前に稽古した時は俺が弱かったから使用してはいなかったみたいだな。

 

「どうした? まだまだこんなもんじゃないだろう――」


 そのままに近づいて槍斧を振るう。

 【武器創造】で白金の剣(プラチナソード)を両手に2刀持ち、受け流す。

 槍斧を受け流す度に剣が刃こぼれする。

 なぜスキルを使ってまで稽古をする……それに笑顔で……よほどストレスを溜まっていたのか……。

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