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20話 猪祭①

 ――翌日。


 朝早く起きる……。

 この日がやっと来た――そう「(ボア)祭」が……。

 今の時期は暖かくなり、ボア系の魔物が繫殖期を迎える。

 この時期のボアの肉は栄養を蓄えているせいか、赤身は濃く、脂身は甘みがあり、美味しい。

 だが、その分闘争心が激しく、凶暴であり大群で街に突っ込んでくる可能性があるから対処しないといけない。開催初日にランクの強さが発表される条件付きの参加型の祭りである。

 ランク指定はザインさん1人で決めるのではなく、ミランドさん、商業のギルドマスター、隣街のギルドマスターとギルドで配布されている魔道具(通信機)を使い、相談をし、ボアの状況を偵察したりなどして決める。

 分担もあって狩り、運び、解体、加工とある。

 去年の強さはFランクであり、一般市民も狩りに参加できた。

 このとき、俺はアイテムボックスを使って運び役をしていた。

 狩りと加工もしたかったけど、みんな楽しそうだったからいいかと思った。

 参加者の報酬は肉をもらえる。もちろん、頑張った分、多めにもらえる。

 そして期間中は肉が無料で食べられるからこんな嬉しいことはない。

 街にとって一大イベントだ。

 

『レイ、楽しそうだね!』


「ああ、待ちに待ったボア祭だからな! いっぱい貢献して肉を貰わないと!」


『やる気満々だね!』


 今回は無限収納がある。もらった肉を腐らせずに保管できるからいろいろと料理ができる。

 この機会に生ハムや生ベーコン(パンチェッタ)を作るのもアリだな。

 やばい、楽しみだ!

 今回はアイシスも参加する、そして……やっぱり精霊もついて来るのか……ボア系の魔物なら大丈夫か。

 準備が整い、広場へ向かう――広場は参加する人で埋め尽くされていた。みんなまだかまだかと期待を寄せている。

 進行役であるザインさんが来た――けど深刻な顔をしている。どうしたんだ? 


「今回の祭りだが、少し厄介だ……これよりランクを発表する! 今回……Cランクとする!」


 周りがざわついた…………Cランクか……初めてだな、今回はそんなに危険なのか?


「今回は例年より、ボアの数が多くて危険だ! そして偵察によってわかったことは、キングボアがいることだ! そいつはビッグボアの大群を引き連れていることで非常に厄介だ……そして今回は狩り、運びはギルドと護衛で対処することになり、ほかの者は悪いが解体、加工に回ってくれ!」

 キングボアか、珍しいな……確か山奥に生息しているはずだが、平地まで来たのか……。強さ的にはCランクだった気がする。全長は10mとか聞いたな。そして、ビッグボアは全長2~3mでEランクの強さ、それを引き連れているとか、本当に厄介だ。

 この街周辺に来なければ問題はないだろう。


「不安なやつもいるが、心配するな!  たとえ数が多くとも好都合だ!  たくさんの肉が食べられて最高だろ? それに、俺たちは強い!  怯えることなど1つもないぞ!  この祭りを盛大に楽しもうじゃないか!」



「「「――――オオオォォォ――――」」」



 先導者の如く周りを激励し、それに答えるかのように参加者は雄叫びをあげた。


「よろしい! 期間は半月だ! 各自、担当者の指示に従ってくれ! それでは、解散!」


 半月もやるのか……。去年は1週間半だったのに、そこまでボアの数が異常ということか。

 さて、狩りと運搬はギルドで指示があるからギルドへ向かう――ギルドのホールにはいつもの人たちと護衛、それに商業ギルドの人たちが集まっている。

 みんな頼もしい存在だ。再びザインさんが来て指示を出す。


「これから分担を発表する。狩りは冒険者ギルドのDランク以上の者、また護衛はミランドが選んだ者が入ることにする。それ以外は街の周りを警備し、門番と連携し、運搬する者は商業ギルドと連携してくれ!」


 そう言うとみんなそれぞれ配置につく。俺とアイシスは運ぶ側に行こうとするとザインさんが――。


「レイと嬢ちゃん、悪いが狩りの方に行ってくれ」


「いいのですか?」


「お前たちの実力を見込んで判断したから大丈夫だ! もちろん、狩った奴はアイテムボックスに入れてくれ」


「わかりました」


「おう! よろしくな! 狩り担当はスールだからな」


 狩り側に行くと――選抜されたメンバーがそろっていて、護衛の人も……ってブレンダもいるのかよ!?

 今回は危険だから無理だと思ったが、参加するのか……。


「あっ、お兄ちゃん! おはよう!」


「おはよう、まさか狩り側に入るとは……」


「大丈夫です! ぼっちゃま! お嬢様は必ず私がお守りします!」


 鎧を着た、20代後半くらいの髪が黄色いショートの女性が話しかけてきた。

 確かエレセさんの後輩のカミラって言ってたっけ、ブレンダの護衛に当たる人か。


「そうですか……それなら大丈夫ですね」


「はい! お任せください!」


 まあ、この人が護衛なら安心だ、ミランドさんのお墨付きでもあるし。


 スールさんが来て今回の狩りのやり方を教える。

「――まず最初に、街から周囲20㎞までとします。10㎞以上先はBランク以上の方でお願いします。優先的にビッグボアを狩ってください。それ以外の方は10㎞圏内でボアを狩ってください。もしキングボアを見かけましたら、周囲の方たちと連携して狩ってください。それと、5日間ボアの数が減らなければ、範囲を30㎞に変更しますので、よろしくお願いいたします。。長丁場は禁物です。朝、昼、夜と3つに分けて行います」


 今回は徹底しているな、安全第一ってことですな。

 スールさんの指示で3つに分かれる。俺とアイシスは昼の担当で、10㎞以上先を狩ることになった。アイテムボックスを持っているからだと思う。ボア系は昼に活発で、狩ったものを街に持ち運ぶのに大変だから、適任なのかもしれない。


『あの残念エルフ、このときだけしっかりしているね』


 スールさんはAランクだからそこは責任重大でしっかりしていないと困るけど……。


「――これで以上となります。昼の方は用意をしてください」


 さて、俺も指定された場所へ行きますか。俺は西の方角、アイシスは東の方角を頼まれた。


「ご主人様、気をつけてください」


「大丈夫だよ、危なければ逃げるよ」


 精霊が「私に任せて」って顔をして胸を張る……やっぱり俺のについてくるのか……。


「頼もしいですね……それではまた後ほど――」


 アイシスと別れて指定された場所に行く――。 

ギルドの魔物のランク強さはSSS~Fと設定しています。



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― 新着の感想 ―
[気になる点] まぁこんな突っ込みは野暮なことでしょうが気になったので。。 暖かくなってボアの活動が活発になるのは分かりますが、その前に、冬は食べ物が少なくて秋に蓄えた栄養を使いつくしていて痩せてい…
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